(*⌒ー⌒) 幻想安寿記 (⌒ー⌒*)

・・・めぐりめぐりて・・・
遠い昔から続き、先人より伝え守られてきた地域の伝承文化である「安寿姫の命日の慰霊祭」、
授産施設みずなぎ学園の皆さんに作って頂いた1000本のローソクに灯りをともし・・始まった、キャンドルイルミネーション(フロートキャンドル)!!

初めての年からの・・こころざしも・・、多くのみなさんの温かい励ましに支えられ、第5回目を迎えようとしています。
第1回目の年にお参りいただいた谷田吉久様の、舞鶴市民新聞掲載「幻想安寿記」は今につながる本当に温かい励ましのメッセージ記でした。
お許しを頂きましたのでこちらのページでご紹介させて頂きます。


静と闇のまつり  「幻想安寿記」   谷田吉久様



 舞鶴市民新聞に連載中の村尾幸作氏の「ふる里みてある記」No.10をガイド役に、下東の安寿姫塚を訪ねました。
 時あたかも安寿姫の命日で慰霊祭が開かれており、KTRのガードに飾られた提灯を目印に右折、暗闇の中で打ち振る係員のライトに誘導されて、到着の駐車場から見上げる漆黒の谷間に、フロートキャンドル(ろうそく)で飾られた参道がクッキリと浮かびあがり、私たちを誘う。
 並べられた足元のキャンドルだけをたよりに暗い参道に歩を進め、湖畔を巡れば、そこはたくさんの提灯やかがり火、キャンドルの炎が湖面に映る幻想の世界、足をとめるといやがうえにも過ぎし往時が偲ばれる。
 静かにバロック音楽の流れる中、安寿と厨子王の苦難の人生に思いを馳せ、安寿姫のやすらかな眠りを覚まさぬように、との心遣いか行き交う人々も大声を発する者とてなく皆黙々とし、覆堂が開放され安寿姫の墓と伝えられる宝篋印塔に手を合わせ、静寂と闇の中の祭りに我が身を包み込めば、しばし俗世間を離れた心境に達する。
 静かに進行する真夏の世の祭りだが、汗をふきふきかがり火の監視をする人から、千本を超すフロートキャンドルの準備と設置をしていただいた方々、日ごろから安寿姫かつえ坂悲運最期の場を守り、その霊を弔うためにお世話頂いている地元に皆さま、文字どおりの縁の下の力持ちに感謝しつつ参道を下りれば、時おり建部山から吹き下ろす涼風が私たちを優しく撫でて通り過ぎる。
 その風音の中に「安寿恋しやほうれやほ」我が娘を偲び訪ねて来た母の声を聞きながら、命の尊さ、人権の大切さをいつまでも後世に語り継いでもらいたいと願い、ロマンの里は下東の谷を後にしました。


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