クレハの白くて小さな体を、お風呂で洗ってやったあと、
あたたかい湯船に一緒につかっていた。
彼女は膝をかかえて水面を見つめている。
「クレハ、寒いのなおったろ?」
外が異常に冷えるので、帰ってきたクレハが青ざめていたからだ。
あったまれば治ると思っていた。
「・・・うん。でも頭がだるい。」
てのひらで熱をはかってあげてから、細い肩に手を触れると、
すこし、はっているような気がする。
ソファーの背もたれにのりかかるように抱きついて、
クレハはさんざん、シンに肩を揉んでもらっている。
「クレハ、働きすぎなんじゃないの?
ここのところずっと遅いだろ?」
なんていわれつつ、
「ん~~わかんない。」
目を閉じて考え込んでいた。
俺もなにか熱い飲み物をいれようとしている。
「睡眠不足じゃないのか?」
新聞をおりたたみながら、
諌山さんがクレハの隣に座って、彼女の髪をなでた。
「そんなことないの。」
シンの手から逃れて、諌山さんの胸に抱きついていった体を、
彼は当然のように腕で包んで、
さらに服の中に手をいれる。
「痛い。」
ビクリ、とクレハがたじろいだ。
全員の動きが一瞬とまり、
俺達はその反応ですべてを理解した。
「・・・一ヶ月たつのって早いよね・・。」
シンがつぶやいて、クレハの頭をなでている。
今月もまたきっちりとお約束事がやってきた。
出血を伴う女性の体は、とても大変なのだ。