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カテゴリ:詩・小説
「あたしを返してよ」
真っ黒なその目から、彼女は涙を零す。 叫びもしない、ただ透明な液体を出し続ける。 その声は迷いもせずに僕を責め続ける。 キラキラと涙が光っていて、綺麗。 「あたしを返してよ」 僕は何もしていないよ。 何も貰ってなんていないよ。 彼女は何もくれない。 今流している、涙の一粒さえも。 少し息を吐いた。 加えている煙草の煙を少し吸った。 いつから目の前の彼女を見つめていたのだろう。 煙草の長さが半分になっていた。 (でもさ、) 目を細めて酷く虚ろな黒い目の中を探る。 少し俯いている瞳を縁取る長い睫毛。 涙に濡れて潤っている。 (やっぱり、君は返さないよ) 「あたしを返してよ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/03/22 10:44:29 PM
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