あの頃、マリー・ローランサン
僕がまだ少年の頃、土曜日午後になると決まってローカルラジオのリクエスト番組を聴いていた。その中で幾度か流れて、ついついLPを買ってしまったのが、加藤和彦の「あの頃、マリー・ローランサン」であった。シングルカットされた「優しい夜の過ごし方」の歌詞の世界が、こんな大人になりたいなあと言う、少年の漠然な憧れを包んでくれた。少し余裕(あるいは包容力)があって、深みが垣間見える、そして哀愁を漂わせた雰囲気が少年を魅了したのだ。レコードからCDの時代になって、廉価版のシリーズが出た時分も「あの頃、マリー・ローランサン」と「ヴェネチア」の2作は購入した。 今思えば、「蒼き詩人の世界」で繰り広げている星野美咲氏とのやりとりで大人の対応っぽい返詩などは、憧れていた加藤和彦の影響かもしれない。