セミリアイア「晩年」日記

勢子浩爾という人の本。ＳＢ新書。どうもソフトバンク系の出版社らしいが、よく分からない。いろんな新書がやたら出るので、本屋に行くとつい買ってしまう。

この人の本は前にも一度読んだのだが、あまり覚えていない。確か『思想なんかいらない生活』とかいう本だったような気がする。

世に出回る「定年本」のバカらしさを、これでもかと次々に槍玉に挙げる。痛快ではある。「資産運用バカ」「生きがいバカ」「健康バカ」「終活バカ」・・・

要は定年や老後を特別なイベントとしてみて、そこに踊らされる愚かさを、痛烈に批判しているのだ。基本的に、賛成できる。

まあ、とはいってもやはり仕事の第一線から退くというのは、大きく生活が変わることであり、そのことであたふたするのは分からないでもない。

そういう自分だって、ちょっとは資産運用もしているし（といってもたいして儲かってはいない）、やっぱり健康でいなければとも思い（いや、こちらは弓以外は何もしていないが）、あふれかえるモノたちを捨てたりもしている（妻に発破をかけられて）。

特に新たに何かを始めているわけではないが、定年後と前では、まず職場の滞在時間がまるで違う。今週は１週間後の大遠征（といっても飛行機を乗り継いで行くだけだが）に備えて、自宅に仕事を持ち帰りもしたから、２０時間は仕事に費やした。それでも、定年前の三分の一である。もう山は越して、今日２時間ほど出勤すればいい。来週は月・火と休みで、水曜日のみ出勤。３時間。後は有休で、木曜日出発。

仕事は、以前の職場に、普通は週に４回はいくのだから、定年後といっても、そう変わらない。マネジメントの仕事が、元の現場仕事に変わっただけ。

これで、完全なリタイアとなれば、ちょっと退屈すぎるから、とりあえずあと一年は今の形で、その後は非常勤でと思ってはいる。なんだかんだいって、今の働き方は気に入っているのだ。

趣味はもう一つくらいあってもいいと思うが、弓の時間が結構とられるので、そうもいかない。地域活動などにデビューする気はさらさらない。元来、人の上に立つガラではないのだ（弓の方だけは、年数も長いのでしかたないが、それも、まあ、名前だけ）。

どうもこの著者は、自分に似ていて、何もしないでいてもたいして苦痛を感じない性分なのだ。なのに、世間は「定年後の過ごし方」のようなことを大上段から訓示したがる人がたくさんいて、ウザいなぁと思って、こんな本を書いたのだろう。著述が著者のストレス発散にもなっているようだ。

しかし、自分は「老後破綻」はしたくないから、年金とわずかな資産で、何とかやれるかなぁ、くらいの計算はするし、こんなに本があっても、その処分だって大変だろうなぁと思うから、最近は読んだらブックオフにという習慣が身に付きつつある。弓も協会に数本寄付したが、まだ５本くらいある。みんな右用なのだが、ひょっとしたらまた右で射てるようになりそうな気もするので、これは保留状態。

こんなふうに駄文を綴っているのは、朝から雨がぱらついて、射場に行こうにも行けないからにほかならず、これは趣味というより単なる暇つぶしだ。