カテゴリ:時評
政府はやっとコロナを季節性インフル並みの5類に引き下げることを決めた。「遅きに失する」という言葉があるが、その典型である。
去年の1月にこんな記事を書いていた。→ インフルエンザ並み。 別に先見の明を誇るつもりはない。そんなことはみんな分かっていたのだ。ちょっと一部引用しておこう。 ――― 国民的実感として、コロナで大騒ぎして、飲食店が休業したり、無理にテレワークをさせらりたりすることに辟易し始めたのではないか。マスコミの論調も完全にそうで、「専門家」と称する人たちも「ロックダウン」ではなく「社会生活を持続させた上での感染対策」と口をそろえる。以前とはエラい違いである。ワクチン、治療薬などが現れた今、コロナはちょっとタチの悪いインフルエンザ程度になったのではないか。 というわけで、たっぷり1年は、遅れたのだ。その理由は、日本医師会である。自分の同級生が三代目の院長を務める病院は、藪医者で、普段はほとんど患者がいない。ところが、いち早く発熱外来、PCR検査などの受け入れ体制を作り、世間では5億、いや、10億儲けたという噂がしきりである。そういうところもある一方で、ほとんどのクリニックでは、マスコミに煽られた世間の人と同じく、「コロナ恐い」と思い込み、「熱がある人は、来るな」という対応を取っていた。 どちらにしても開業医の集まりである日本医師会は、自民党にとって大きな力を持つ圧力団体で、その意向に逆らうことはできない。 しかし、一方、経済界からは、マスコミがいまだに「行動制限」と名づける「自粛要請」や、原油高、円安、半導体不足で、疲弊してきている。ここで、景気のカンフル剤として、「コロナ5類移行、行動制限なしに」という政策が喉から手が出るほど、ほしかったのだ。 結局、自ら考える能力のない現政権は、両者の綱引きの様子を見て、経済界の側になびいたということだろうと思う。 一年前よりもさらに患者数は増え、これだけ増えるといくら致死率がインフル並みとはいえ、死亡者数も過去最高を更新している現在、5類移行を決めるのは、あまりいいタイミングではなかった。やるなら、一年前だったと思う。ワクチン、特効薬等は一年前からすでにあったし、患者数などからいっても、その方が効果的だった。 景気の面でも、やはり「遅きに失する」ことになるだろう。「賃上げ、賃上げ」と声高に叫び、ユニクロなどは大胆な賃上げに踏み切るが、あれはグローバル企業が、アメリカやヨーロッパの社員の賃金に合わせたのであり、予定の行動を時流に乗せただけである。同じく、グローバル企業のトヨタなども賃上げはするだろうが、中小企業は企業間物価を製品価格に半分程度しか反映できていない。儲けが半分になっているのに、賃上げをするわけにはいかない。 どちらにしても、何をいまさら、と思う国民は少なくないはずだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.01.28 05:47:35
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