アーモンド
2020年の本屋大賞受賞作。 泣きながら一読。 著者:ソン・ウォンピョン(1979年生まれの女流作家) 内容は・・・ “感情”がわからない少年が、愛によって生まれ変わるまで――扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖といった感情をうまく感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。祖母は彼を「かわいい怪物」と呼んだ。そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母親が通り魔に襲われ死傷したときも、ただ黙ってその光景を見つめているだけだった。母親は感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」「愛」「悪」「欲」などの感情を丸暗記させることで、なんとかユンジェを“普通の子”に見えるようにと訓練してきた。だが、母は事件によって植物状態になり、ユンジェはひとりぼっちに。そんなとき現れた、もう一人の“怪物”ゴニ。激しい感情をもつその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく――。 主人公のユンジェの視線を通して描かれる世界が、たんたんと表現されていて、大げさな比喩表現や感情表現も出来るだけ省かれているので、まるで映画を観ているような感覚になる。 韓国社会の抱える「競争」がもたらす弊害「人の痛みがわからなくなる」ことや、SNSの普及により「人と人のふれあい」の代わり「表面的で薄っぺらな共感」がはびこる韓国社会を揶揄しているよう。 ラストシーンは涙なくして読めない。 本物の「愛」や「共感」とは?