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母校の講師となった知人からの誘いで
川本喜八郎さんの人形アニメーション映画の 新作『死者の書』の母校講堂での先行上映会へ。 大学のスタジオで撮影が行われたために 今回の上映会が実現したそうだ。 母校に行ったのは冬の後輩の卒業制作展以来だ。 入場時間まで間があったので 待合室や懐かしい図書館を覗いた後 知人を発見して中庭でしばらく話した。 入場時に入り口の脇に セットの一部が展示してあり、 近くで眺めると結構大きくて立派な作りだった。 世田谷区の広報に載せたとのことで 年輩の方が大勢来ていて席は満杯だったが 知人が番号1番2番の整理券を貰っておいてくれたので いい場所に座れた。 講堂の相変わらず固くて窮屈な椅子で待つと 作品上映前に川本さんの大学での ワークショップに参加した生徒の 人形作りの様子を記録した映像を上映していて、 こういう風に作っているのかという 舞台裏が垣間見られて興味深かったのだが、 ワークショップ参加者の作った人形が 本作にちらっと使用されているとのことで、 知人が参加したかったとしきりに羨ましがっていた。 折口信夫原作の八世紀の奈良平城京を舞台にした 生者と死者を巡る物語を 人形アニメーションという手法で 丹念に映像化した『死者の書』は 人形の衣装の色づかいが美しく、 映像にインフェルノ等の デジタル処理も一部使用されてはいたが、 手作りの質感とそれを超えた官能に溢れていた。 宮沢りえに江守徹に黒柳徹子に岸田今日子と 豪華な声優陣も作品の説得力に寄与していた。 本作は「ひとこまサポーターズ」と呼ばれる フィルム一コマずつにお金を出すという形の ボランティアによって支えられているそうで、 エンドロールにずらりと並んだ名前の中には 川本さんと交友があり、 友情アニメーションでも 本作に参加しているノルシュテインや 赤川次郎、うるまでるび、 大山のぶ代といった名前もあった。 上映終了後には 学長となった先生と川本さんの対談があり、 川本さんの本作に至る経歴などが 語られて興味深かった。 コマーシャル映像の世界で成功していたが、 37歳の時に「中年の危機」が訪れ、 コマーシャルは毒のようなもので 自分の作品を作れなくなってしまうので このままでいいのかと感じ、 英語も喋れるようになっていたし貯金もあったので 思い切ってチェコアニメの巨匠 イジィ・トルンカに手紙を出したところ 人形アニメーションが世界に広がるのは 素晴らしいことだと快諾され師事することになり、 帰国してから映画製作や NHK人形劇『三国志』、『平家物語』の 人形美術に携わったとのことだった。 トルンカの「人形は人間のミニチュアではない。 人形には人形の世界がある」という言葉に 目から鱗が落ちるような思いだったそうだ。 母校の学長は「ポスト構造主義」や「野生の思考」など 世田谷の老人達や親子連れが聞いても 何のことやら分からんだろうという言葉まで飛び出し、 言いたいことが沢山あるが 時間が足りず言い足りないという様子だった。 最後の質問コーナーでは、 人形の大きさは 動かす人間の肘の高さに合わせているとか 声優の演技指導については 俳優にある程度まかせることで 自然とその人物になっていくとの解説がされて終了。 郎女(いらつめ)の涙の理由は? などの質問も書かれたアンケートを 急いで書いて提出し会場を後にした。 もっときちんと書きたかったが時間もないので 一言川本さんへのエールを書いておいた。 これまた知人が招待券を貰ったという展覧会の 最終日だというので、 初台のオペラシティに向かい ICCギャラリーの『open nature』展へ。 建築模型や映像、 インターネットや電子回路を使用し “nature”を様々な形で解釈した メディアアート作品の数々は どれもそれなりには面白いのだが、 とりとめがなくインパクトに欠け、 ガツンと来て引き込まれるような 印象的な作品がないのが寂しかった。 ネットのリンクを扱った作品 『コモンズ|テールズ|ルールズ KOP(キングダム・オブ・パイラシー) リサーチ&ディベロップメント』に 試しに自分のサイトで参加してみた。 帰り際出入り口の壁に絵で参加する作品があり、 クレヨンが置いてあったので もう既にびっしりと描かれて隙間がほとんどなかったが 上に重ねるように絵を描いてから出た。 お腹が空いたので オペラシティのカフェでパスタを食べて、 アイスカフェモカを飲みながら 知人の課題についての相談にのってから解散。 課題の準備も面白そうだが結構大変そうだ。 黒ヒゲ先生ことY君ありがとう。 おかげで貴重な体験になりました。 また何かある時は是非誘って下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年07月28日 06時45分33秒
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