「歩きつなぎの旅」の記録

2013/07/17(水)08:19

【 北海道一周徒歩旅行 24日目 】 姉別(釧路支庁浜中町) → 東梅(根室支庁根室市)

(完結)北海道一周徒歩旅行(77)

2013年07月08日(月)快晴 04:00 起床。ひと口稲荷の朝食。出発しようと玄関に降りると、宿の主人が昨日言っていた通り、他の客2人の靴がある。ひとつは自転車旅行者のズック靴。もうひとつは、足首の上のほうを太いベルトを巻いて留めるタイプの、ヒールの高い、黒のレザー風女性用サンダル(見ようによっては、SMの女王様風)。 だいぶ履き込んだ感じのサンダル。きちんと揃えて脱がれていない。何となく、投げやりな脱ぎ方。・・・・・こういう安宿に泊まる客の靴としては、ものすごく違和感がある。そもそもこんな宿に、女性がひとりで泊まることは、普通ない。 昨夜 11:30 頃、隣の部屋の客が帰ってきた物音で目が覚めた。たぶん、この靴の持ち主だったのだろう。こんな田舎町の夏祭りに、こういうサンダルの女性がひとり夜遅くまで・・・・・。靴ひとつで妄想が膨らむ。朝っぱらから刺激の強いものを見てしまった(靴の写真を撮っておかなかったことを、非常に後悔している)。04:45 「岩木屋旅館」を出発する。 国道44号線に出て、04:55 ヒッチハイクを始める。当たり前のことだが、早朝のため交通量が少ない。たまに通るクルマも、全然止まる気配がない。いつの間にか、「止まってくれ、止まってくれ」、と口の中で呪文を唱えている・・・・・。05:40 ようやく トラックが止まってくれる。「30キロほど先まで乗せてもらいたいんですけど」、「いいよ、乗って」。 60歳くらいのドライバー氏。釧路から根室まで、毎日野菜を運んでいるそうだ。「走行記録とられてるから、60 km/h以上は出せんよ。違反すると会社から文句言われる」とのこと。「急いでないですから、ゆっくり走ってください」。06:15 距離標識「釧路から 80 km」地点で降ろしてもらう。「助かりました。ありがとうございました」。 昨日の続きを歩き始める。国道沿いに広がるのは、原野と牧場ばかり。「原野」と呼べるような土地が続くのは、日本では北海道くらいだろうなあ、なんてことを考えながら歩く。きょうも快晴、暑くなりそう。日陰はない。 07:15 姉別小学校前でひと休み。この小学校は昨年、閉校している。閉校時の児童数 10名。この広い校舎に10名だけとは、どういう学校生活なんだろう。町の学校へ通った自分には、想像できない。校庭には雑草が伸びてきている。右足裏のシビレ痛は、再び歩き始める度、2~3分で麻痺してくれる。 昨日同様、「釧路から〇〇km」の距離標識を頼りに歩を進める。これが「112km」になる辺りに、今日の宿がある。08:00 根室市に入る。標識にはカニの絵。厚床(あっとこ)の町が近づいてきた。道端の草むらに「厚床フットパス」の道標が見える。フットパスというのは、イギリスで発祥した「歩くことを楽しむための道」のこと。北海道一周徒歩旅行を終えたら、こういう道も歩いてみたいと考えている。 08:45 厚床駅。小さい町だが、道東地域の交通の要衝である。駅舎は無人。事前に調べたところでは、根室交通のバス営業所が開いているはずだが、「当分の間、閉鎖します」の貼紙。当初の計画では、ここが7月6日の宿泊地予定地だった。コンビニでパンとジュースを調達。路肩草刈車が、歩道脇の雑草を刈ってゆく。 厚床を出てしばらく、クラクションを鳴らしながら、トラックが対向車線を近づいてくる。今朝、自分を拾ってくれたトラック。根室で野菜を降ろし、釧路へ帰るところだ。手を振って合図する。09:45 やっと見つけた道路脇の電話ボックスの日陰、パンとジュースで昼食休憩にする。 10:45 後ろで自転車の止まる音。振り返ると自転車旅行者。「歩いてるの?」、「ええ、歩き旅です」。自転車氏は、和歌山から来ている62歳の男性。10分ほど立ち話。「気を付けて」、「がんばって」。別れてから気が付く。「岩木屋旅館」のズック靴は、彼のだったのではないだろうか。 雲ひとつない。日陰もない。牧場の牛達は、日差しを避けて木陰に集まっている。彼らがこちらに送る眼差しは、「このクソ暑いのに、バ~カ」と言っている。早く宿に着いて、靴を脱ぎたい。単調としか言いようのない道を、頭をカラッポにして歩き続ける。風蓮湖が近くなり、風景に湿原が加わる。13:00 道の駅 「スワン44ねむろ」。 13:50 今日の宿・東梅(とうばい)の「民宿 風蓮」に到着。宿の主人に氷水をご馳走になる。「ここを始めて何年になるんですか」、「34年になります」。風蓮湖と春国岱に来るバードウォッチャーが、主な客層とのこと。風呂と洗濯を済ませ、足のメンテナンス。ひたすら体を休める。部屋は木の香りに満ちている。 18:30 食堂での夕食。埼玉からの定年世代バードウォッチャー夫婦、宿の主人と4人で食卓を囲む。地元魚介類を使った家庭料理と旅談義で1時間以上、楽しく過ごす。今回の旅で、唯一贅沢な食事。20:00 就寝。この2日間の日焼けで、腕と首筋が真っ黒。「民宿 風蓮」、夕食付 6700円。 姉別 → 東梅 : 32.2 km ( 北海道一周徒歩旅行累計 885.1 km )

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