緒形拳のキャラクタとエンディング曲の違和感は依然残るものの、最近ちょっと面白くなってきた。
大筋で原作に忠実と思われた展開が、相馬晴美なる女の存在でちょっとひねられている。登場人物の暗部が由来する時代背景が今回は学生運動末期であり、終戦直後という原作ほどの無秩序状態とはいえないが、そのぶん相馬晴美や今回登場した娼婦(いしだあゆみ)の存在が時代に取り残された虚しさを漂わせ、暗部を生み出す土壌を補っている。
竹野内豊の棟居刑事も、松田優作のようなギラギラ感はないけれども、暗く燃える憎しみが伝わってきて、むしろその寡黙さが個人的にはいい雰囲気だと思えるようになった。少なくとも、適度に協調的な原作の棟居よりかはしっくりくる。もっとも、棟居が「人間の証明」に挑むラストシーンは、このキャラクタだとちと難しい気もする。ただし、この点についても、幼なじみの女性記者(夏川結衣)が彼の暗い闇を徐々に解きほぐしてくれるのかもしれない。
それにしても、今年僕が見たドラマといえば、新選組!、白い巨塔、砂の器、逃亡者、そしてこの人間の証明と、昔放映していたリメイクものばかり。仕方ないね。昭和の匂いぷんぷんのオッサンだもの。
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