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とりあえず乗ってみた

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2024.11.07
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カテゴリ:乗り鉄

↑来年の内に一線を引く可能性が高い。姉妹船だいせつ共々数奇な運命を辿ったフェリーでもある。






苫小牧西港には21時前に到着。

深夜便の手続きは21時からで余裕ありまくりの時間配分。

3日の深夜便を逃すとさんふらわあは休船日に入ってしまう。






↑鉄道の様な案内表。これらを逃しても更に5時のシルバーフェリーがあり、またフェリーターミナルそのもので夜明かしも可能。







最も、この苫小牧西港は九州の新門司港と同じくらい沢山のフェリーを走らせている。

万が一さんふらわあを逃してもシルバーフェリーがあるため、本州に戻ることは可能(席が残ってれば)

体感、物価高で予想以上にフェリー需要は上がってる気がして、多くの動画配信者が閑散期に撮影してるといっても純粋に利用客は増えてる気がする。

それ自体は旅客フェリー存続の可能性が上がるだけのため喜ばしい部分なんだが、子連れや酔っぱらいを避けて静かな船旅をしたいみたいな人はいるだろう。

夕方便だと残念ながら難しいが、これから紹介するさんふらわあ深夜便ならばそうした静かな自分だけの時間というモノをほぼ満席でも体験する事が可能だ。





↑苫小牧西港の売店は23時まで営業。薬品分類の酔い止め薬を取り扱っている。一部セイコーマート商品も(時間帯的に殆ど残ってないが)


↑21時までに来ていればターミナル内のボートミュージアムという資料館を見学可能(無料)こじんまりとしているが資料や模型が色々展示されている。





さんふらわあしれとことだいせつ

関東夕方便、関西び共に最新かつ洒落た内装に中毒性のあるさんふらわあの歌が流れるというお馴染みは、この深夜便には無い。

多くの乗客が疲労と眠気を抑えながら淡々と長いタラップを歩いて船内に乗り込み、年季の入った階段や通路を進んだ後、自分のベッド番号が記された大部屋を目指す。





↑黙々と道なりを進むと部屋。




現在の華やか路線のさんふらわあからは想像がつかない古びた感じ。

但し親の話によれば、昔のさんふらわあフェリー=ボロい大部屋さんふらわあの歌の三拍子が基本だったそうで、そういう意味では往年のさんふらわあらしさが最もある船とも言える。

最もこのしれとこ(だいせつ)は元々商船三井やさんふらわあの船ではない。

かつて博多~直江津(新潟)~室蘭を結んでいた九越フェリーという会社の所有フェリーであり、ニューれいんぼうべると呼ばれていたそう。

九州から北海道までという寝台列車顔負けの長々大航路(しかも日本海経由)で運航するロマン船といえば聞こえが良いが、当然ながら問題は様々あったらしい(元々九越フェリー自体が最初から暗礁まみれだったよう)

現在も日本海で活躍する新日本海フェリーが軒並み船舶を大型にして高速化する事で物流の速達化を図っているのに対し、ニューれいんぼうべる達(しれとこだいせつ)は速力25ノットと早くない。

それでいて長距離を移動する関係で、荷受けも必然的に隔日になるので、当時から純粋に貨物フェリーとして評判が芳しくなかったようだ。

そもそもこのニューれいんぼうべる(しれとこ)は姉妹船共々、九越フェリーが前級の船を豪華に作りすぎて経営も傾いてお金も足りなくなったので、前級のフェリーを売却してかつ設備を合理かつ簡素にする事でコストダウンを図った結果、誕生した船らしい。

要は凄い豪華なフェリー二隻を作ったけど、経営が傾いちゃったから現役バリバリなフェリー二隻を売ってその売却益で安価なニューれいんぼうべるニューれいんぼうらぶことしれとことだいせつを作った訳らしい。

色々本末転倒感は凄いし聞くだけで悲しくなる話。

しかもそんな涙ぐましい努力を持ってしても結局九越フェリーは潰れ、それを介錯していた東日本フェリーもダメになりその後も紆余曲折して最終的に「ニューれいんぼうべる」と「ニューれいんぼうらぶ」は商船三井さんふらわあの「しれとこ」「だいせつ」となった……そう考えると非常に哀愁漂う船となっている。

因みに売られたれいんぼうべるとれいんぼうらぶは現在はギリシャや韓国の船として活躍している模様。





↑船内売店はあり喫煙ルームもある(但し排煙能力はあんまり高くない感じ)。ロッカーはコイン返却タイプで1ヵ所確保すれば下船時まで使える。






そうした経緯もあり、しれとことだいせつは商船三井さんふらわあの現役船舶だと外様船にあたる(他所の船を使うこと自体は凄い珍しい訳ではない)

で、古びてはいるが建造されたのは2001年なのでそこまで古くはない。

色々ありすぎて年齢以上に老けてしまった人みたいな感じの船とも言える。

個室は無く、定員四人の大部屋がカジュアルルームとして販売されている。

そのため完全個室主義の人はまず乗れない。

ただしベッド毎にカーテンの仕切りがあって荷物棚やコンセントに頭上灯ありと、現代旅客フェリー主流のカプセル寝台の様な構造になっていて、そういう意味では昔の雑魚寝さんふらわあというイメージからはほど遠いかもしれない(昔のさんふらわあ知らないけど)

大部屋毎に窓と机とイス2台が備え付けられていて、昨今のシンプルフェリーの走りだったり完全なインサイド部屋より楽しめる部分もあったりと、時代を先取りしていた部分もあったりする。

かつてはデラックスルームとして個室が販売されていたらしいが、過去の他レビューによると乗組員区画にあるものを何とか販売していた感じらしい。
 
そういった経緯もあり、現在は販売されていないようだ。






↑スマホを置けそうな網棚に、鍵を引っ掛けられそうなフック。荷置きも割と使えた。




苫小牧西港を1:45に出港し、その日の19:30に大洗に到着する。

感覚的には日付が変わった日に大阪駅にやってくるサンライズに乗るような感じだが、あちらと違って実質一日かけて帰る形。

最も乗船開始時間は前日の22:30からで、乗船してすぐ大浴場も使えるから、出港を見守るみたいな目的が無かったら出港時刻まで起きている必要もない。

実質23時前にはチェックインできる海上ビジホ。






↑ガルパンも大分前だよなぁと思わせてくれるポスターの色褪せ具合。





日帰り突貫旅だったけど疲れていたので風呂入って歯を磨いたら直ぐに就寝。

バスタオル類はレンタル可能。

また大浴場のシャンプーボディーソープは一応POLA。

こうして次起きた時には船は海の上にいましたという状況が始まる。







↑朝日を見ながら自販機のあるパブリックスペースでサンドイッチ自販機のサンドイッチを食す(サンドリアとかいう店が作ってるらしい)。期限朝の7時だったのでギリギリセーフ。普通に旨かった。






冷蔵ロッカーは無いが、ロッカーのあるパブリックスペースは暖房も効いておらず涼しいので、冬場ならもの凄いナマモノとかで無ければ大丈夫だろう(12月とかは分かんない)








↑食堂遺構が飲食可能なパブリックスペースとなっている。カップ麺や冷食自販機があり、多分一部は東九フェリーと同じ。一応これでも過不足は無いが拘るなら持ち込みは必須。






さんふらわあ深夜便最大の売りは、ほぼ一日海の上で自分だけの時間を過ごせる点だ。

この日は前日西日本を中心に荒らしまくった天候が一通り過ぎ去っていたので、過去最高に晴天で波も穏やか。

多くの人が旅行で望む最高のオーシャンビューを飽きようが見せてくれる。








↑殆ど雲ひとつ無い青空(時間帯によっては本当に雲なかった)に穏やかな波。





二度寝に一時ダウンロード機能でキャッシュ溜めしていたdアニのアニメ鑑賞、酒とツマミをボリボリ。



ただの休日の俺


それを海の上でもやる、それは最大の贅沢なんだと俺達に教えてくれるのかもしれない。

実際マジでこれからはわからないし。





↑転生して俺TUEEEしてる異世界現地妻まみれナローシュアニメ見ながらようやっと買えたサッポロクラシックすすってしかのこにくにくぼりぼりばく。尚、クラシックは温かった。





因みに船内自販機にサッポロクラシックは無い。

飲みたい場合は持ち込むしかない、ステマではない。






↑主食副菜ドリンクでワンコインに抑えられるのは今やセコマくらいか。船内飲食の人8割くらい何かしらセコマ食品持ち込んでた。恐るべし


↑姉妹船だいせつとのすれ違い。大体朝10時頃。夕方便のさっぽろのすれ違いは見忘れた。





大洗行きの方が外海を走るらしい。

陸から結構離れた場所を航行していた。






↑昼便と違ってフォアードサロンがあり、日中は前面展望が可能(出港時は閉鎖されている)


↑アナウンスは無いが、16時頃に仙台港を出たと思われる太平洋フェリーのきそと遭遇。先に苫小牧港を出た船が後ろにつくという光景(当たり前とはいえ)




なんやかんやで長い航海も終わりが近づいてくる。

ダラダラ土日過ごしてても平日が戻ってくるのと同じで、うん。






↑19:30到着だから夕食を船内に拘る必要はそんなに無い。けど折角だし冷食カレーとシーフードヌードル啜って〆




大洗そのものには19時頃にはつく。

ただ着岸の為、下船出来るようになるのは19:40前後。






↑着岸の為の船の旋回と灯りによって海面にいる魚の動きが乱れ、それを狙って海鳥達がすかさず食にありつく。ささやかで無慈悲な人間と自然の共存風景。





行きに俺を北海道まで連れてきてくれたふらのが港で休んでいた。翌日の休船日の後、明後日からしれとこもふらのも大量の貨物と共に、再び北の大地と関東を往来するのだろう。

楽しい船旅だった、ありがとうさんふらわあ









↑下船の時はエレベーターを使えた。






【関東住まい向け深夜便利用後の帰宅方法】

↑首都圏(東京とは言っていない)




さんふらわあ深夜便から下船後した後の大洗から関東圏への帰宅方法だが、水戸行きの連絡バスは大洗フェリーターミナルに20:15で水戸駅到着は20:48(勿論前後する可能性あり)

大洗フェリーターミナルから鹿島臨海鉄道の大洗駅までは約15分ほど(ゆっくり歩いて30分くらい)

俺の場合は7:40頃にターミナルを出て53分に大洗駅についたので迷わなければ遠くはない。

定刻通りフェリーがつくのであれば大洗駅まで歩くと20時台のときわや常磐線に間に合う。

タクシーは距離が微妙な為、事前手配しないと来ない。

洋上では電波が繋がりにくい為、苫小牧で事前に頼むか大洗港が近付いたら電話するのが無難かも。







↑マリンタワーのある方まで出て、カジキ像のある道をそのまま直進すれば大洗駅に戻れる。





ただし注意点として、現在大洗港では岸壁工事をやっていて2024年12月13日まで一部深夜便の大洗到着が19:30から20:30に変更されている。






↑20時台の列車に間に合わせるのは不可能な感じ。





それに伴う代替バスはなく(20:15のバスは間に合わない)、鹿島臨海鉄道もこの時間だと水戸行き最速が21:30で水戸駅到着は21:46。

水戸から出る品川行きときわの最終は21:53とかなりギリギリのため、該当する日付を避けるかそれを前提とした予定を立てる必要がある。

関東圏に旅行とかなら問題無いかもだが、それでも都内のホテルに向かう場合、最終ときわの後の都内への常磐線最終列車は上野止まりである事を留意しとく必要がある。



【さらば、しれとこだいせつ?】

↑来年から新型になるよ




激動の中動き続けたさんふらわあ深夜便しれとこにだいせつ。姉妹揃って事故ったりもしており、色んな意味で苦楽を共にしただろう二隻の船だが着々と引退の時が近づいてきている。

来年の1月末からはさんふらわあかむいが本格的に就航し、おそらくだいせつ→しれとこの順に引退すると思われる。

快適性は大幅に上がるが、雰囲気あるだいせつしれとこの旅もまた唯一無二だ。

もし乗ってみたい方がいたら早めがオススメ。







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最終更新日  2024.11.07 08:00:35
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