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2024/01/12(金)11:19

読レポ第1183号 カール・ロジャーズ 新たな研究‐「自己概念と体験の一致・不一致」から「体験様式の変化」へ

心理学 メンタル 悩み、読書(1372)

読レポ第1183号カール・ロジャーズ~カウセリングの原点~著:諸富祥彦発行:㈱KADOKWA第2章 「カウンセリングにおける変化の過程」の発見  新たな研究‐「自己概念と体験の一致・不一致」から「体験様式の変化」へ このように世間から高く評価された研究であったが、ロジャース自身は、この研究でみずからが臨床の中から発見した真実を十分に理論化しえたとは思えなかったのであろう。この研究に先立つ2冊の主著『クライアント中心療法』(1951年)において、クライアントの変化を「自己と経験の不一致」から「自己と経験の一致」へ、という図式で理論化していった。ここで言う「自己」とは、自己概念、すなわち「私はこういう人間である」という観念やイメージの総体であり、それが構造化されたものが、「自己構造」である。この「自己概念」と「経験」のズレが大きいと人間は不適応に陥る。自分についての思い込みでいっぱいで「私はこんな人間のはずだ」といった概念にとらわれて、がんじれめになって不自由な状態にある。これが「不一致」である。クライアントの多くはこの「不一致」の状態にあった。 しかしロジャースのカウンセリングを受ける中でクライアントの多くは変わっていった。筆者のお会いしたクライアントの例をあげよう。「自己概念」(例:私はまじめで、責任感の強い人間である)にとらわていたあるクライアントは、それと一しない体験、たとえば、朝の通勤列車いつの間にか次の駅まで乗ってしまい、ふと「このまますべてを捨てて、どこかに消えてしまいたい」といったことを思い浮かべた。とても気ままで自由に見える人に憧れの念を覚えた。こうした体験をして、自分でも驚きを覚えたり「そんなはずはない」と、ないころにしたり(否定)、歪曲してとらえたり、といったことをしていることに気づき始める。しばらくは、その体験を自分の体験として認めることはともできない。と感じていたのが、カウンセラーが何の脅威もないような仕方で受け入れてくれるを感じていると、だんだんとその体験を自分自身の体験として認められるようになってくるようになってくる。そうした面接が重ねられていくと、次第に、かっては自己概念と矛盾するものとしてしてないことにされた(否定)、歪んでとらえられたりしていた(歪曲)その体験を、そのまま体験することができるようになっていく。そして次第に、自己構造にその体験が取り入れいって、自己概念が変化し始める。がちがちの思い込みから解放されて、より柔軟に、自己概念が変化するようになっていく。 このように、最初、カウンセリングに来た折には、がちがちの「自己」に合致する仕方で体験が歪められ、不一致の状態のあったクライアントは、自己が「体験」に合致する仕方でより柔軟に変化していくようになる。自己と体験は一致するようになる。一言で言えば、この時期のロジャーズ理論においては「自己と体験の不一致」→「自己と体験の一致」というかたちでクライアントはの変化は理解されていったのである。と著者は述べています。  ロジャーズは、クライアントは「自分は○○な人間だ」(例:私はまじめで、責任感の強い人間である、嫉妬な感情ない)とのがちがちの思い込みの自己概念の人が、「自己と体験の不一致」のズレで「私は、そんなはずはない」と、否認、歪曲してとらえたえるクライアントの心を発見した。 ロジャーズは、そのクライアントの「自己と体験の不一致」のズレを「自己と体験の一致」というかたちにするカウンセリング方法を発見した。  ロジャーズは、ひたすらクライアントの話を聴いた。否定せずに、ジャッジせずにありのまに、受容していった。  そうすると、自己概念のがちがちの思い込みから自ら気づきクライアントは解放されて、より柔軟に、自己概念が変化するようになっていったのを発見した。  カウンセリングは、クライアントの心の声に深く、深く、耳を傾けて聴いていくことである。

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