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カテゴリ:観照
<Ⅳ-2 神々と儀礼>のセクションに進みます。 冒頭のレリーフは、「トラルテクトリ神のレリーフ」と称されています。 玄武岩 高さ73cm、幅58cm アステカ文明 1325~1521年 トラルテクトリは「大地の母または主」という意味だそうです。 この神は「当時の人々のコスモロジーのなかで二重の役割を担っていた。一つは生殖機能で、植物が育つサイクルの始まり、動物や人間さらには星の誕生に関わるものだった。一方で、貪欲な存在としての側面も持ち合わせており、この神自身の体内から出た生き物の血や死体を貪るのだった。そのため、アステカの宗教では、大地は母の子宮であると同時に、あらゆる生き物の墓でもあった」(図録の解説を一部転記) 「アステカの神々は天上界の13層と地下界の9層に住み、暦に応じて地上の万物や天体の動きを支配したといいます。神々は時に多様な神格に分かれたり、融合して唯一の絶対神になったりすると信じられたため、様々な神を祀る神殿が造営されました」(案内パネルから一部転記) 画像処理で色彩補正をしてみました。 「トラロク神の壺」 土器、彩色 高さ35cm、幅32cm アステカ文明 1440~1469年 トラロクは「大地を人格化した雨の神」です。 「雨神トラロクは太陽神ウィツィロポチトリと共に大神殿に祀られ、多くの祈りや供物、生贄が捧げられた。水を貯える壺にトラロクの神を装飾があり、雨や豊穣の願いが込められたものと考えられる」(傍に掲示の説明文転記) 「テスカトリポカ神の骨壺」 高さ32.9cm、幅17.5cm アステカ文明 1469~1481年 テスカトリポカとは、「煙を吐く鏡」という意味だと言います。 「不可視で、あらゆる場所に存在する万物の神、創造神であり、槍もしくは2本の矢で射抜かれたときにだけその姿を表した」そうです。(図録の解説を一部転記) 壺の内部を調べたところ、部分的に焼かれた男性の骨が納められていました。戦死した指揮官と考えられています。 「ミクトランテクトリ神の骨壺」緑色岩 高さ7cm、幅9cm アステカ文明 1469~1481年 ミクトランテクトリは、「死者の世界の主」を意味し、痩せこけた骨のみの姿で表されます。「火打ち石の斧やナイフを持ち、生贄の心臓を抜き出す神でありながら、一方で生を与える役割も併せもつ」そうです。(傍に掲示の説明文転記) 「シウコアトル」 火打ち石、トルコ石、黄鉄鉱 長さ36cm、幅6cm アステカ文明 1325~1521年 シウコアトルとは、「火の蛇」という意味だそうです。太陽神ウィツィロポチトリなどの神々が手にする武器だとか。 波打った形の固い褐色の火打ち石に彫刻を施したナイフです。 「エエカトル神像」 玄武岩 高さ41.6cm、幅20cm アステカ文明 1325~1521年 「風を意味し、生と豊穣を司る神。カワウやペリカン、クイナなどの嘴(クチバシ)の形に似た赤い口が特徴的である」(傍に掲示の説明文転記) 「プルケ神パテカトル像」 玄武岩 高さ36.5cm、幅23cm アステカ文明 1469~1481年 「リュウゼツランの発酵酒プルケは、アステカの儀礼で重宝された。パテカトルは、その発酵を促す植物オクパトリを発見した神。プルケは今も、テキーラとメスカルに並ぶメキシコを代表する地酒である」(傍に掲示の説明文転記) テノチティトランの大神殿の下で発見され、月の女神コヨルシャウキの石彫に関連した埋納石室に納められていたとのこと。(図録より) 「アウマドール(香炉)」土器、彩色 長さ63cm、口径22.2cm アステカ文明 1325~1521年 丸い椀状の部分が香炉。熱くなった炭を入れ、その上に樹脂を置くことで芳香を放つ白い煙が立ち昇ります。「燃焼を容易にするため、三角形が4つずつ合わさった形の空気穴がほどこされているが、この形は世界の中心と四方を表現している。柄とその先端の部分は、芋虫と蝶を表しており、火の特性である変容する力のシンボルである」(図録の解説を一部転記) 「テポナストリ(木鼓)」 木 長さ20.5cm、幅64cm アステカ文明 1325~1521年 横長の太鼓です。「音や振動がよく伝わるよう、上部や下部に銅が使われている。天然ゴムをつけた撥(オルマイトル)を用いて、宗教儀礼や戦闘の場において演奏された」(傍に掲示の説明文転記) 「笛」 土製、彩色 左:長さ18.5cm、幅5.2cm 右:長さ13.2cm、幅4cm アステカ文明 1325~1521年 笛はメソアメリカを代表する管楽器のひとつです。 「ウェウェテオトル神の甲羅形土器」 土器、彩色 長さ21.5cm、幅13.5cm アステカ文明 1486~1502年 1990年代にメキシコシティの大聖堂で地盤沈下対策工事が行われた時に発見されたと言います。 「地下4.3mの建物跡から発見された甲羅形の供物。下の歯を2本突き出す表現は、火の神ウェウェテオトルの特徴と一致する」(傍に掲示の説明文転記) 展示室の壁面には、アステカの代表的な神々の図像が描かれています。何とか見られる図像だけ掲載します。うまく撮れなかった図像が1点あります。 テスカトリポカ ケツァルコアトル ウィツィロポチトリ トラルテクトリ このセクションの最後の展示は、小さな金製装飾品でした。ここでもうまく撮れなかったのがあります。本特別展のPRチラシに載る画像を切り出してみました。 これを併用します。図像に付記された英字の順でご紹介します。 a 「人の心臓形ペンダント」 高さ2.9cm、幅1.7cm アステカ文明 1486~1502年 b 「テスカトリポカ神とウィツィポチトリ神の笏形飾り」 高さ14.8cm、幅3.2cm アステカ文明 1486~1502年 c 「トラルテクトリ神形飾り」 高さ8.6cm、幅5.3cm アステカ文明 1486~1502年 d 「巻貝形ペンダント」 高さ2.9cm、幅3.3cm アステカ文明 1486~1502年 e 「鈴形ペンダント」 高さ2cm、幅0.9cm アステカ文明 1486~1502年 f 「耳飾り」 左:高さ8.3cm、幅4.2cm 右:高さ89cm、幅4.2cm アステカ文明 1486~1502年 これらの金製品は近年、テンプロ・マヨール(大神殿)の3箇所の埋納石室から出土したもの。 「最新発掘成果~金製品一挙公開~」だそうです。 「テンプロ・マヨールを中心とする都の『聖域』では、これまで15.5%にあたる1.9ヘクタールの面積が調査されています。近年では68か所の埋納施設から10万点を越える遺物が出土し、特に金製品はメソアメリカでは珍しいものとして注目を集めています」(案内パネルの説明一部転記) 古代メキシコ地域の発掘調査・研究は今なお着々と継続されています。 新たな発見と古代メキシコの文明がさらに解明されることを期待したいものです。 これで、特別展「古代メキシコ」の覚書を兼ねたご紹介を終わります。 序でに国立国際美術館で眺めた彫刻2点をご紹介します。 地下2階の平常展示はクローズドでしたが、この作品だけ展示されていました。 マーク・マンダース(1968- )作 「乾いた土の頭部」 2015-16 傍の小さな掲示を見ずに、作品だけ眺めてそのトリッキーさに惑わされてしまいました。乾いた土頭部の表層が剥がれそうな脆さを感じさせる作品。美しい1/2の頭部。 後で掲示文をみると、「ブロンズ、彩色」と明記されていました。おもしろい! 地下1階に戻って、眺めたのがこの彫刻です。 ヘンリー・ムーア(1898-1987)作 「ナイフ・エッジ」 1961/76 ブロンズ 側面からは眺めなかったのですが、意外と薄くてたいらだとか。刃物の切っ先に似ているところから、このタイトルが付いたと言います。 ムーアの作品はそのフォルムに暖かみを感じます。 ご覧いただきありがとうございます。 参照資料 *特別展会場に掲示のパネルや説明文 *図録「特別展 古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティカワン」2023 補遺 テンプロ・マヨール :ウィキペディア テンプロ・マヨール :「世界遺産オンラインガイド」 Templo Mayor Museum ホームページ Templo Mayor at Tenochtitlan, the Coyolxauhqui Dtone, and an Olmec Mask :「Khan Academy」 テスカトリポカ :ウィキペディア ケツァルコアトル :ウィキペディア ウィツィロポチトリ :ウィキペディア トラルテクトリ :ウィキペディア ネットに情報を掲載された皆様に感謝! (情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。 その点、ご寛恕ください。) 観照 大阪・国立国際美術館 特別展「古代メキシコ」 -1 いざない へ 観照 大阪・国立国際美術館 特別展「古代メキシコ」 -2 テオティワカン(1) へ 観照 大阪・国立国際美術館 特別展「古代メキシコ」 -3 テオティワカン(2) へ 観照 大阪・国立国際美術館 特別展「古代メキシコ」 -4 マヤ (1) へ 観照 大阪・国立国際美術館 特別展「古代メキシコ」 -5 マヤ (2) へ 観照 大阪・国立国際美術館 特別展「古代メキシコ」 -6 マヤ (3) へ 観照 大阪・国立国際美術館 特別展「古代メキシコ」 -7 マヤ(4) & アステカ(1)へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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