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遊心六中記

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2017.12.03
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カテゴリ:探訪 [再録]
​​​​​​​​           
それでは、探訪の後半です。
道の駅「竜王かがみの里」の傍の歩道橋を渡って、国道8号(旧東山道、近世中山道)の反対側を少し戻った道沿いに、「義経元服の池」と伝えられている池と石碑があります。
          
                                                                            この小さな池が元服の池
  
         
池の手前に架けられた涸れた2本の竹の上と、池の水面に紅葉した落ち葉が留まっています。

池の上に見事な紅葉を楽しむことができました。

                             石碑を横から見上げると・・・

元服池から鏡バス停の方向(北東)へしばらく歩くと、「鏡神社」です。
 

最初の石段を登ったところに、源義経「烏帽子掛けの松」があります。

                 今では太い松の幹が残るだけです。
しかし、当時はどの程度の背丈の松だったのでしょうか。

謡曲「烏帽子折」は鏡の宿と赤坂の宿での元服前後の義経を扱っています。(資料1)
上歌「勢田の長橋(ながはし)打渡(うちわた)り。野路(のぢ)の夕露(ゆふつゆ)守山(もろやま)の。下葉色照る日の影も。傾(かたぶ)くに向ふ夕月夜(ゆうづくよ)。鏡の宿(しゅく)に著(つ)きにけり。鏡の宿に著きにけり。」と出てきて、その後、牛若とシテの会話で、
牛若「烏帽子の所望(しょまう)にて参(まゐ)りて候。」
牛若「急ぎの旅にて候ふ程に。今宵(こよひ)折(を)りて賜はり候へ。」
と出てきます。

 
 
そして、鏡神社の本殿を訪ねました。主祭神は天日槍尊です。
本殿の左には祓戸神の碑があります。私はこういう形で屋外の石碑を見るのは初めてです。
現在の本殿は室町中期に建てられたものだとか。境内の説明板には「前室付き三間社本殿。蟇股を多用し、屋根勾配をゆるくみせる外観」と記されています。

天日槍尊については、『日本書紀』の垂仁天皇の三年春三月の条に出てきます。
「三年春三月、新羅の王子、天日槍(あめのひほこ)がきた。持ってきたのは、羽太の玉一つ・足高の玉一つ・・・・・出石の桙一つ(出石は但馬の国)・日鏡一つ・・・合わせて七点あった。それを但馬の国におさめて神宝とした。
 -一説には、初め天日槍は、船に乗って播磨国にきて宍粟邑にいた。・・・・そこで天日槍は宇治河を遡って、近江国の吾名邑に入ってしばらく住んだ。近江からまた若狭国を経て、但馬国に至り居処を定めた。それで近江国の鏡邑の谷の陶人(はざまのすえひと)は、天日槍に従ってきた者である」(資料2)
つまり、「鏡邑」として、この鏡の里が出てくるのです。
「鏡神社由緒」の説明板には、「持ち来たる神宝の日鏡をこの地に納めたことから『鏡』の地名が生まれ」たと記し、「鏡山の麓は渡来集団に関わる地名も多く、須恵器を焼いた古窯趾群も広く現存する」と説明しています。



神社の石段を下り、左折して国道沿いに歩くと、江戸時代・鏡の宿(中山道)の「旅篭 加賀屋」趾「本陣跡 元祖 林惣右衛門則之也」の案内板が建てられています。
その先に、義経が宿泊した場所「白木屋跡」がありました。
 
                案内板と石碑が建てられていました。
「義経元服の盥」というのが、ここにあった白木屋に代々伝わってきたそうです。白木屋が絶えた後、鏡神社で保管されているとか。今回はみることが出来ませんでした。いまは、盥の底板が半月板のようになったものが残るばかりのようです。
道の駅の歴史コーナーにはその盥の復元したものが展示されていました。

ここで、道の駅に戻り、今回探訪の予定コースは終了です。
帰路のバスに乗るまでに少し時間がありました。
その時間を利用して、オプションで一人探訪したところがあります。ガイドさんに尋ねると、この道の駅のある側で、10分もあれば行けるとのことだったので、チャレンジしてみました。
実は、ここも見たかったものがあるのです。

途中に、西光寺跡の石碑が。

その先に、この石灯籠。これが見たかったものの一つ。
西光寺の鎮守八柱神社の社宝です。当初は星ガ峰の中腹の若宮王子神社本殿前にあったと伝えられているものですが、保存環境の問題などがあり、現在地に移設されたようです。これも現在は鏡神社が管理されているそうです。
        

高さ2.8m、石燈籠の竿部分が八角柱という珍しいもの。裏面の刻銘があり室町時代初期の作とされています(「応永28年8月8日願主敬白」の刻銘)。

火袋の部分に四仏が彫られています。竿の下部をみれば八角柱がわかりやすいでしょう。


もう一つが重文・宝篋印塔です。石灯籠に近いところにありました。
西光寺を偲ぶ唯一の宝塔です。鎌倉時代後期1300年頃の作だとか。

この宝篋印塔には、塔身の四つの角に梟の彫刻が施されているのです。我が国では例のない塔と言われているものです。現地で見ておきたいものが、何とかクリアできました。

この石灯籠と宝篋印塔のある場所が、星ガ峰城跡への登り口だということがわかったので、また機会を見つけてこの山城趾や鏡山に登ってみようと思っています。

当日、鏡の里のガイドさんも説明されていたのですが、義経が元服したのはここではなくて、熱田神宮だという説もあります。
それは『義経記』に出てきます。手許にある本を繙くと、まず巻第二の「鏡の宿吉次が宿に強盗の入る事」という段では、鞍馬を脱出した牛若が金商人吉次の一行と奥州に下るとき、この鏡の宿で泊まるのです。夜半に由利太郎、藤沢入道などという強盗が入り騒動が起こります。「義朝の子、牛若といひけるものの、謀反を起こして奥州へ下る。鏡の宿にて追っかけられて、甲斐なき命は生きたりけれども、忝くも太政大臣に心をかけたりけると言はれん事こそ悲しけれ。とてもかくても逃れじと思召し、太刀置いて、大勢の中へはらひ入り給ふ。」「吉次は・・・・遮那王殿と一つになりて、敵の松明取りて打ち振り、大庭に走り出でて、逃ぐれば追ひ寄せ追ひ寄せ散々に斬り、・・・」と強盗を退治するのです。そして「明くれば、鏡の宿を打ち出で給ふ」
その次が「遮那王殿元服の事」という段であり、「熱田の前の大宮司は、義朝の舅なり」という一文で始まるこの段で、つまり熱田大明神の前で元服するという下りになっています。「昨日までは遮那王殿、今日は左馬の九郎義経と名を改へて、熱田の宮を打ち出で給ふ」ことになっています。(資料3)

いずれにしても、義経伝説はロマンの源ですね。 これで、今回の探訪は終わりです。

前半で課題としたことへの疑問点が解けました。最後に補足しておきたいと思います。
新宮神社の境内に、境内社の一つとして都久夫須麻神社も祀られているそうです。境内で見落としていたようです。滋賀県神社庁のサイトで、新宮神社を検索して判明しました。こちらをご覧ください。

滋賀県には、都久夫須麻神社という名称の神社は3箇所、湖北にありました。
 〔米原〕 都久夫須麻神社 〒5210221 米原市池下  市杵島姫命
        〔祭礼日〕 5月 1日
 〔長浜〕 都久夫須麻神社 〒5260062 長浜市列見町  市杵島姫
        〔祭礼日〕 4月 14日
 〔東浅井〕 都久夫須麻神社 〒5260124 長浜市早崎町    浅井姫命 市杵島姫命 宇賀御霊命
        〔祭礼日〕 6月 15日 / 6月 10日 / 6月 14日
序でに触れておきたいと思います。

ご一読ありがとうございます。

参照資料
1)​ 謡曲「烏帽子折」(えぼしおり)​:「鏡の里義経元服ものがたり」
2) 『全現代語訳 日本書紀  上』  宇治谷 孟 訳 講談社学術文庫
3) 『義経記』 日本古典文学全集 小学館

【 付記 】 
「遊心六中記」と題しブログを開設していた「eo blog」が2017.3.31で終了しました。
ある日、ある場所を探訪したときの記録です。私の記憶の引き出しを維持したいという目的でこちらに適宜再録を続けています。
再録を兼ねた探訪記等のご紹介です。再読して適宜修正加筆、再編集も加えています。
少しはお役に立つかも・・・・・。他の記録もご一読いただけるとうれしいです。

補遺
烏帽子折【えぼしおり】​ :「コトバンク」
奈良絵本 烏帽子折解説​ 国語教育国文学教授 真鍋昌弘氏
遊びにおいでよ竜王町​ :「竜王町観光協会」
祓戸の神​  :「コトバンク」
祓戸大神​ :ウィキペディア
祓戸大神​ :「玄松子の記憶」
都久夫須麻神社​ :ウィキペディア

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

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Last updated  2017.12.03 16:00:12
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