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遊心六中記

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2017.12.18
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カテゴリ:探訪 [再録]
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2014年9月27日に、テーマ[近江水の宝]の一環としての「杣の里をゆく -矢川神社・矢川津ー 」という探訪企画に参加しました。地域は甲賀市の甲南町。忍びの里こうなん・観光ボランティアガイド部のガイドさんによるご案内でした。秋晴れの気持ちの良い午後に行った探訪の数時間。このときにまとめたものを一部修正して再録しご紹介します。

探訪はJR草津線・甲南駅集合から始まります。
 

駅前での集合待ちの間、駅前で秋の花々がまず出迎えてくれました。


これが今回の探訪マップです。いただいた資料から切り出しました。(資料1)
 
 

 
    
甲南駅前の道を南に進むと、しばらくして「杣川」に架かる「甲南大橋」をまず渡りますこの「杣(そま)」という言葉、古代にこの地域の山々の樹木が切り出され、平城京や東大寺などで使う木材供給地の杣山として利用されたことに由来するといいます。辞書を引くと「杣山」は「材木用の木を植えた山」(『日本語大辞典』)と説明されています。杣人がきこり、杣小屋がきこり小屋という意味なのですね。

「切り出された木材は、現在の甲南町矢川橋付近の川辺にあったとされる『矢川津』と呼ばれる川津に運ばれ、そこから川伝いに琵琶湖に一旦流され、後に瀬田川を下らされて奈良へと運ばれました」(資料1)。瀬田川が宇治川と名を変えますので、私の地元、宇治がこの甲南とつながっているのでした。
杣川~琵琶湖~瀬田川~宇治川~(小椋池)~淀川~木津川という水系が平城京や東大寺を造ったと言えるのです。
                        
 
この甲南大橋は私好みです。橋詰めに彫刻像が設置されているのです。
 
 

近江の探訪でいくつも橋を渡っていますが、彫刻像がこんな風に設置されているのに出会えたのは初めて! 蒼空の下、川畔の広々とした環境で見るのはいいですねえ。

しばらく留まって、彫刻と景色を眺めていられなかったのが残念。探訪始まりの通過点だったのです。

                     橋を渡ったところに、モニュメント

                      「『一本柳』のはなし」の説明板

 

その傍の道路傍に立つのが「大神宮常夜燈」伊勢街道常夜燈地図の番号9)です。ここにも、”おはなし”という形で説明板が建てられています。
杣川沿いには、三雲(甲南市)から甲南町の深川市場・寺庄を経て、甲賀町(大原市場・上野)から柘植(伊賀市)に入り大和街道に合流する「杣街道」があったのです。(資料2)
つまり、杣街道~大和街道(柘植-上野)~伊賀街道(上野-津)~伊勢街道(津-外宮・古市・内宮)と街道のつながりで伊勢参宮が行われていたということなのです。(資料3)

 
本筋に戻ります。この常夜燈を横目に真っ直ぐ南進して、磯尾川を渡ります。磯尾川は杣川に合流する支流です。その少し先に、右の道標があります。
 
                     
この探訪では、新宮神社には向かわず、まずは磯尾川沿いにのどかな田園景色をながめつつ南への道(県道49号線)を進みます。

道沿いに見えてくるのが「新宮城」の道標です。(地図の番号8)
 
   
ここが戦国時代、甲賀武士の自治組織だった甲賀郡中惣の遺跡群のひとつです。右に山城への登り口があります。丘の上にある城跡という感じです。山はそれほど高くはありません。
「甲賀市甲南町新治地域の5箇所(城前城、村雨城、新宮城、新宮支城、竹中城)が平成20年に国指定史跡になりました。」(資料1)
 
 
 
     
山城跡は、後に樹木が繁茂していき、現地に佇むと土塁が遺るところや曲輪跡、虎口跡が大凡分かるのですが、写真に撮ったものは単に山林が写るだけにしか見えない・・・・・。
現地ではガイドさんが新宮城の縄張図を提示しながら現地の状態を説明してくださいました。山城跡の探訪には、縄張図は必携です。

山城跡を東側の入口から西側に抜けますと、住宅地に向かう道路い出ます。
城跡へはこちら側からの方がアプローチしやすい感じです。


その道沿いに、まず神社の拝殿が見えてきます。そこが「新宮神社」です。
後で調べてみると、直接この神社に甲南駅から来るなら、徒歩20分の距離のようです(資料4)
 

新規に整備された感じの説明板が設置されています。ここにも「新治に伝わる昔話」が記されています。
説明板には「新宮神社は新宮9ヶ村の村社で、一宮は紀伊熊野大社、二宮は常陸鹿島大社、三宮は勝手大明神の三神を祭っています。一宮は天平4年(732)倉治村熊尾の地に勧請されたのが最初で、後にこの地に移され新宮明神と称されました」と記されています。

ここは飯道山麓であり、中世には杣庄と呼ばれる荘園が広がっていた土地のようです。それが新宮・矢川・三大寺(水口町)の三荘に分離。新宮神社は新宮の総社として栄えたとのこと。杣三社(新宮神社・矢川神社・三大寺の日吉神社)のうちの一社です。

 
境内の奥に、このように横一列に社殿が並んで配置されています。
 
    
屋根を眺めると、向かって右端の社殿は三間社流造の千鳥唐破風、その隣りの社殿は流造の唐破風、左端が少し小規模な社殿で流造と、それぞれに形式が異なります。
配置図の有無を確認できなかったので推測が混じります。説明板の一宮~三宮を建物の意味と理解すると、社殿の並び順、形式から考えて、右端の社殿が紀伊熊野大社の神、その隣が常陸鹿島大社の神となり、左端の社殿が勝手大明神と解釈できます。

滋賀県神社庁に掲載の「新宮神社」に記載の説明から、境内社そのものと一緒に祭神が移されたと理解すれば、左端の小ぶりな社殿が三宮(勝手大明神)を祀る社になり、写真の説明文とも整合します。祭神だけを遷座させたとするなら、配祀神としていずれかの社殿に相殿されていることになります。その場合、左端の社殿は境内社として、祭神は何なのか? 不詳となってしまいます。(資料5)

右から2つめの社殿には、左に八幡神社、右に藤本神社の木札が取り付けられています。この社殿が上記の解釈のように常陸鹿島大社の神を祀るものだとすると、八幡神社、藤本神社の祭神は後に相殿の形で祭神に加えられたことになります。

 
それはさておき、この社殿の木鼻が珍しい。ちょっと目にしないデザインです。蟇股は鳥の浮彫の頭部が欠けていて無惨でした。

唐破風の頭貫の中央に、ちょこっと鳥の彫刻がつけられているのもおもしろい。

 
      
左端の社殿は小ぶりながら、しっかりした建物であり、蟇股はシンプルですが、頭貫の彫りには躍動感があり、木鼻の彫刻もなかなか立派です。

はて、何が正解なのか? 記録整理の復習をしていて、新たに課題が残りました。
現地を拝見され、正解が見つかったらご教示ください。

今回はこの神社境内をゆっくり拝見している時間がなく、本殿の細部写真その他を撮れず・・・・という具合。

近江には未だあまり知られていない神社境内もあるのですね。
新宮神社は次回ご紹介する「新宮神社表門」の方がどうも有名なようです。

最後に、説明板に記載の「新治に伝わる昔話」をご紹介しておきましょう。
「一つ藪」と「新宮の五社祭り」
”新治のお姫様をめぐって、三大寺の神さまと深川の神さまが争った際に、深川の神さまが逃れる途中で左目に刺さっている矢を抜いて捨てたものが、そのまま生えたところが一つ藪と呼ばれ、今でも新治の大明に矢竹が残っています。三大寺の神さまと新治のお姫様が結ばれたことが縁で、三大寺の神輿二基と新治の新輿三基が、新治の熊野の刈屋で祝言の盃を交し、明治のころまで猿楽や流鏑馬などが催されていたと言われています。”

地図(Mapion)を見ると、JR甲南駅に近い杣川のあたりに深川の地名が残っています。​地図はこちらをご覧ください。​地図を見ていて気づいたのですが、磯尾川を挟み、新宮城のあるあたりの対岸(東)に「甲賀流忍者屋敷」の史跡があったのです。今回の探訪対象外ですが。

つづく

参照資料
1) 当日の配付資料「探訪 [近江水の宝] 杣の里をゆく -矢川神社・矢川津-」
     滋賀県教育委員会事務局文化財保護課
2) ​杣街道​  :ウィキペディア
3) ​大和街道​ :「観光三重」
  ​伊賀街道​ :「観光三重」
  ​伊勢街道​ :「観光三重」
4) ​新宮神社​ :「観なび」(日本観光振興協会)
5) ​新宮神社​  :「滋賀県神社庁」

【 付記 】 
「遊心六中記」と題しブログを開設していた「eo blog」が2017.3.31で終了しました。
ある日、ある場所を探訪したときの記録です。私の記憶の引き出しを維持したいという目的でこちらに適宜再録を続けています。
再録を兼ねた探訪記等のご紹介です。再読して適宜修正加筆、再編集も加えています。
少しはお役に立つかも・・・・・。他の記録もご一読いただけるとうれしいです。

補遺
近江・新宮城​  :「城郭放浪記」
新宮神社​  :「滋賀県神社庁」
新宮神社​  :「ぐだぐだ月記」
飯道山​  :「たいむとりっぷ甲賀」(甲賀観光ガイド)
飯道寺​ :「天台宗滋賀地区」
日吉神社​ :「滋賀県神社庁」
三大寺日吉神社のケヤキ​  :「巨樹、巨木巡礼」
甲賀流忍者屋敷​ 公式ホームページ
熊野速玉大社​ ホームページ
熊野本宮大社​ ホームページ
鹿島神宮​ ホームページ

  ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

探訪 [再録] 滋賀・湖東 杣の里をゆく -2 新宮神社表門・古代の埋もれ木・杉谷川 へ
​​​​​​​​​​​​​探訪 [再録] 滋賀・湖東 杣の里をゆく -3 矢川津・天保義民メモリアルパーク・矢川神社 へ
探訪 [再録] 滋賀・湖東 杣の里をゆく -4 地蔵堂・甲南ふれあいの館・浄福寺 へ





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Last updated  2017.12.19 22:02:40
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