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遊心六中記

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2018.02.18
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カテゴリ:観照
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​京都の岡崎公園傍にある細見美術館では「細見コレクションの江戸絵画」として「はじまりは、伊藤若冲」と題するの記念展を平成30年(2018)の皮切りとしています。開館20周年記念展Ⅰという位置づけです。​

若冲好きの私は、この​「はじまりは、伊藤若冲」​というタイトルに惹かれて、久しぶりにこの土曜日の午後に出かけてきました。冒頭のチラシは今なら各所で手に入るでしょう。
この美術館の若冲コレクションが一堂に展示されたのを眺めるのは久しぶりでした。原画を身近に眺めるのはやはりいい!

今回のコレクション展示をどこでみたのだろうか・・・・。2003年年末のなんば高島屋での展覧会でした。これがその時に購入していた図録の表紙です。「若冲と琳派」展で、その副題が「-きらめく日本の美-細見美術館コレクションより」です。
今回の「はじまりは、伊藤若冲」展では、着色画数点を除くと伊藤若冲の作品は水墨画が中心です。展示室は3セクションだったと記憶しますが、前半に若冲の作品展示があり、後半では、宗達、大雅や狩野派の絵師他のコレクションが併せて展示されています。

チラシとこの表紙に載っている「雪中雄鶏図」がやはり微細な描写と彩色の具合がすばらしくて、若冲と名乗る前の初期の作品としてここまで描いていたのかと、再認識しました。款記に「景和」の号が記されていますので、初期の作と解るそうです。細い一本一本の線が力強くかつ優美に延びていてすごい・・・・。


2016年に特別展を鑑賞するためにここに来たときは、入場チケットで半券が残ったのですが、今回はこんなシールがチケットの代わりでした。服か鞄などに貼り付けて入場してくださいということです。曜日ごとにシールの色が変化するのでしょうか。この方式は初体験です。


こちらが、チラシの裏面です
  作品に番号を付しました
今回の若冲作品の展示でこのチラシに載っているのは1~4の作品です。(薄い図柄に見えるのは割愛)
番号1は「糸瓜群虫図」です。右側が一部カットされた部分図で載っていますが、淡い着色の色調で微細克明に描かれた昆虫や虫食いになった糸瓜の葉などが見事です。
番号2,3は「瓢箪・牡丹図」で、二幅一対の作品。他の水墨画もそうですが、画に賛が記されているものについては、その賛の原文をそのまま活字体に印刷したものが案内として作品の傍に表示されています。悲しいことに全文を正確に読み下せないのが悲しい・・・・。部分的に判読できる程度。せめて読み下し文でもルビ付で並記してあると、私のような素人には絵の鑑賞の助けになるのに・・・・・と、思った次第。まあ、これは京博の展示でも言えることなのですが。

手許の上掲図録には、「瓢箪図」の賛を、こんな風にわかりやすく絵の傍に記しています。
引用します。
  空カラ化物(ばけもの)降リテ来タ。
  痩セッポッチデモ大キナ頭。
  ソウデハナクテ神様ガ
  起コッテコブシデブンナグル。
  ホトケノ道ニ入ラナイ
  凡人タチヲブンナグル。
  オソロシゲナルコブシダト
  見エタガ実ハ瓢箪(ひょうたん)ダ。

若冲の描いた絵のモチーフを禅宗の文脈で鑑賞・解釈して賛が詠まれているそうです。
何となく水墨画を眺める凡人には、こういう風に意味がわかると、別の視点も見えて一歩踏み込めるんですけどねえ・・・・。やはりちょっと残念。
番号4は、「仔犬に箒図」の部分図です。図はご覧の通り、立て掛けられた箒のもとにうずくまる仔犬の絵です。この絵の背景には禅宗の公案「趙州無字」があるようです。
犬にも仏性があるかという問いに、趙州が無いと答えたという有名な問答です。それを思うと、この箒からあの寒山拾得の図に描かれる箒を連想してしまいます。

水墨画の展示作品の中では、特に六曲一双の「花鳥図押絵貼屏風」が端から2図ずつが一つの対になって、モチーフや構図が構成されているという説明を、なるほどと思いつつ興味深く眺めました。上記の鶏とは趣の違う描法による鶏が対比して楽しめました。同じく「鶏図押絵貼屏風}(六曲一双)も展示されています。やはり若冲の鶏図は見応えがあります。
他に楽しめたのは「鼠婚礼図」です。ファンタジーの世界に引き込まれます。
「虻に双鶏図」は構図がおもしろい。「朱達磨図」は眉毛とひげ(髭・鬚・髯)の緻密な線描と厳しい眼差しの眼そのものの細部へのこだわりに惹きつけられました。

番号5は、俵屋宗達筆「双犬図」です。番号6は青木木米の「富士望見図」。陶工の木米の作品は京都国立博物館で眺めていますが、絵を描いているのを初めてみました。番号7は江戸後期の絵師・浮田一蕙いっけい、1795~1859)の六曲一双「やすらい祭牛祭図屏風」のうちの「牛祭図」第4扇に描かれている青鬼です。京都・太秦の広隆寺で行われる祭礼行事を描いた屏風です。ちょっとユーモラスな楽しい絵です。一度、この牛祭を見物してみたくなります。

細見コレクションの江戸絵画の中では他に、池大雅筆「児島湾真景図」は点描派風の描写部分もあり、印象に残ります。若冲と同様に大雅も点描手法を使っていたのですね。

「京の雅俗」のセクションでは、土佐光吉筆「源氏物語図色紙『初音』」、俵屋宗達筆「伊勢物語図色紙『大淀』」、「伊勢物語かるた」に惹かれました。江戸前期の「男女遊楽図屏風」を見るなり、国宝「彦根屏風」を連想してしまいました。

今回の「はじまりは、伊藤若冲」展では、図録は作成されていませんでした。
しかし、以前に購入していた図録で大凡、事後の再確認ができました。

これで、若冲徒然としてご紹介してきたものに一区切りをつけたいと思います。

美術展覧会に行き、購入した図録がたくさん眠っています。私の手許にある図録で伊藤若冲の絵が展示された展覧会では、1998年10月、京都文化博物館​で、開館十周年記念特別展として、「京(みやこ)の絵師は百花繚乱」という展覧会が最初のものかもしれません。この展覧会は、「『平安人物誌』にみる江戸時代の京都画壇」というサブタイトルが付いていました。当然のことながら、伊藤若冲はこの『平安人物誌』に登場しておりました。有名絵師の一人としての作品展示でした。図録をあらためて見ると、『白鶴図』二幅(京都文化博物館)、「雪中遊禽図」(京都文化博物館)、「鶏図」二曲一隻(兵庫・黒川古文化研究所)という出展です。若冲展ではありませんので、図録表紙は割愛します。

一部重複しますが、購入して手許にある若冲に直接関連した図録の表紙とそこに載せられた作品を最後にご紹介します。


2000年10月、京都国立博物館にて​。これは文化財保護法50年記念事業として、特別展覧会「没後200年 若冲」の図録表紙です。
右上:「付喪神図」部分(福岡市博物館)、右下:「紫陽花双鶏図」部分(エツコ・ジョウ プライス・コレクション)、左:「鶏頭蟷螂図」部分(京都国立博物館)、左下:「百犬図」部分(京都国立博物館)


                                     裏表紙
上部・中央:「菜虫譜」部分(栃木県・葛生町)、左上:「売茶翁像」部分(京都国立博物館)、左下:「付喪神図」部分(福岡市博物館)、右下:「寒山拾得図」部分(ギッター・コレクション)


2006年9月、京都国立近代美術館​にて。「プライスコレクション 若冲と江戸絵画」展です。この表紙は、京博の表紙の部分図をさらに拡げたもの。「紫陽花双鶏図」です。

                                      裏表紙
こちらは、プライスコレクションの江戸絵画が4作並べて部分図で載っています。序でにご紹介しておきましょう。「源氏物語図屏風」、円山応挙筆「懸崖飛泉図屏風」、雅煕筆「百福図」、鈴木基一筆「群鶴図屏風」からの出典です。


​2007年5月​京都の相国寺承天閣美術館にて。開基足利義満600年忌記念として開催された「若冲展」の図録です。若冲は相国寺に「動植綵絵」三十幅を寄進しました。これはその中の「菊花流水図」の部分図です。

この裏表紙は同じく「動植綵絵」の中の「老松白鳳図」の部分図です。
この若冲の代表作である「動植綵絵」は現在宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵となっています。この足利義満600年忌記念の折に、120年ぶりに「動植綵絵」三十幅が相国寺に里帰りし、「釈迦三尊像」の三幅と再会を果たすという機会になったのです。
現在は、たしかそのデジタル複製画が制作され承天閣美術館で所蔵されています。


2016年10月、京都市美術館​にて。「生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲」展の図録表紙です。「布袋図」(京都市美術館)の部分図で、「あかんべ」は何を意味するのでしょう?

こちらは裏表紙。「蝶に狗子図」(京都市美術館)の部分図です。
この図録の表紙は、若冲の意外な側面を採り上げた感じで飄逸です。


2016年12月、京都国立博物館​にて。特集陳列「生誕300年 伊藤若冲」として展示されたときの図録です。表紙は「大根に鶏図」の部分図(京都国立博物館)です。

こちらは裏表紙。「玄圃瑤華」の中の「10 冬葵」図です。

こうして振り返ると、伊藤若冲の絵が私のような一般美術愛好レベルにも知られるようになったのはごく近年ということになりますね。

伊藤若冲に関連した歴史小説が出ています。私の読んだのはこの2冊です。
澤田瞳子著『若冲』(文藝春秋)​と​河治和香著『遊戯神通 伊藤若冲』(小学館)​です。それぞれについて、読後印象をもう一つの拙ブログで記しています。お読みいただけるとうれしいです。
                  (クリックでアクセスしていただけるようにしています。)

ご一読ありがとうございます。

参照資料
画像を掲載した各図録
『細見美術館名品図録』 細見美術館 平成10年3月発行
「はじまりは、伊藤若冲」 出品リスト​  :「細見美術館」

補遺
伊藤若冲プロフィール​  :「古美術 景和」
伊藤若冲​  :ウィキペディア
動植綵絵​  :ウィキペディア
伊藤若冲の作品画像コレクション​  :「NAVERまとめ」
『平安人物志』​  :「日本文化研究センター」
  上辺にある明和5年版の項をクリックして、26-27ページを開くと、画家の3人目に「滕汝鈞 字 景和 号 若冲」として載っています。

THE PRICE COLLECTION
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プライスコレクション 若冲と江戸絵画展​  過去の展覧会 :「京都国立近代美術館」
細見美術館​  ホームページ
承天閣美術館​ :「相国寺」
   ​名宝紹介  伊藤若冲の世界

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

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Last updated  2018.09.10 01:03:07
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