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遊心六中記

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2020.08.13
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カテゴリ:観照
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先週の金曜日に、奈良国立博物館で開催されている標題の特別展を観に出かけてきました。
午前11時過ぎに興福寺境内を抜けて奈良公園の入口に入ったところの景色です。
  
平日とはいえ、閑散とした静かな景色の中を博物館まで歩むのは久しぶりです。
 
      

 
 入場待ちの列はできていませんでした。

 
     
            博物館正面傍の池には蓮の花が咲いています。

     
         正面入口の左側壁面に掲げてある特別展案内の大型パネル
 
池の北側から博物館を眺めると2階部分の壁面にも案内パネルが掲げてあります。
  
   
        
               3枚の大型パネルをクローズアップしてみました。
  
左が特別展のチケットの半券右が今なら各所で入手できるPRチラシの表です。
 PRチラシの裏

正倉院宝物は、正倉院展としてその一部が毎年秋に順次公開されています。
その一方で、その時代時代の最新の科学技術を駆使しつつ、それぞれの分野での工芸作家たちが協力して、天平の技を忠実に再現模造するという試みが行われてきました。
今までの正倉院展で、複製品が宝物と併せて数点展示されていることはありました。

今回のこの特別展は、受け継がれた職人の技を使い、正倉院宝物、その天平の技を当時の姿で再現模造した複製品を一堂に集めた公開です。御大典記念として、時空を経て現存する正倉院宝物を天平の姿によみがえらせたものです。天平の時代にタイムスリップして、当時の宝物の色と輝きとその姿を感じ取れる展覧会といえます。キーワードは「よみがえる」です

8/4より後期展示期間に入っています。当日(8/7)入手した展示品一覧表では4点だけの入れ替えです。また展示作品は図録番号と一致させて128番までありますが、この奈良会場(当博物館)での展示品数をカウントしてみますと、そのうちの81点が現在展示されています。つまり通期では85点の公開になります。
この特別展の企画は巡回展として行われているようです。

    
   こちらは鑑賞後に購入した図録。今回の図録には3分の2ほどの幅広の帯が掛けてあります。
   四半敷様に様々な宝物の部分写真を並べた帯です。
 表紙側
 裏表紙側
帯が表紙の内側に折り込まれた部分を眺めてみましょう。
 表紙の内側
 裏表紙の内側
それぞれ折り込まれていて、外からは見えない部分です。

  
綺麗な帯を外すと、図録の表紙は「八陵唐花文赤綾」(宮内庁正倉院事務所藏)の織物が使われています。例えばこれは平成12年(2000)に川島織物が再現模造された作品です。
原宝物は鏡箱の内敷きに用いられた絹だそうです。

やはり、今回の展示品で一般観覧者の立場で見どころとなる作品は上掲の案内情報に盛り込まれているように思います。上掲諸情報からの引用という形で少しご紹介します。

         
        なんと言っても、やはりこれが目を惹きつけます。
螺鈿紫檀五絃琵琶​(らでんしたんごげんびわ)​(宮内庁正倉院事務所藏)の再現模造です。
左は琵琶の背面で、宝相華・雲・鳥などの文様で埋め尽くされた螺鈿細工は緻密精巧で美しく煌びやかです。
「第1章 楽器・伎楽」のセクションに展示されています。
 
琵琶の表面は、腹板(ふくばん)に花形が配され、捍撥(かんばち)と呼ばれる部分には、駱駝に乗る胡人が表現されています。インド起源の五絃の琵琶だとか。平成23年に実作に着手し、8ヵ年の歳月をかけて完成に到ったと言います。
この琵琶の再現模造には、次の匠たちや会社が共同で製作されたそうです。
[木地]坂本曲齋(三代)、[象嵌]新田紀雲、[加飾]北村昭齋、松浦直子、[絃]丸三ハシモト株式会社。絃には小石丸種の絹糸を用いているとのこと。
 
この琵琶は、1階に設けられた記念撮影用スペースでもその実物大サイズの写真が使われていますので、やはりハイライトの一つと言えます。

 原宝物の「酔胡王面」は正倉院展で観ていますが、これほど鮮やかな色合いの面とは想像もしていませんでした。この面を被って踊り躍動する姿を目にした人にはすごいインパクトがあったでしょうね。
 
こちらは「伎楽人形 呉女(奈良国立博物館蔵)です。
呉女役の面と装束がセットとして再現模造されています。昭和時代に作られたものと言います。
前期は「呉公」が展示されていて、後期にこの「呉女」に入れ替えられたのです。美女ですねえ・・・・・。
「大柄の唐花文を表した赤地錦の袖なしの短衣」(図録より)が煌びやかです。

 
PRチラシの裏に載るこの「黄銅合子​(おうどうのごうす)​(宮内庁正倉院事務所藏)は、「第二章 仏具・箱と几・儀式具」に展示されています。仏前で香合として用いられた容器だと考えられています。
模造の完成品と併せて、制作過程が見えるように部材が展示されています。この五重相論をかたどった塔形鈕はなんと50数枚の部材を重ねて作られているのです。
 
仏前で用いた陶製の鉢「ニ彩鉢(宮内庁正倉院事務所藏)が再現模造されています。
緑色と白色の釉薬を掛けた鉢の模造はわかりますが、釉薬をかける具合で自然にできた結果としての文様をどのように複製したのだろうか・・・・と展示品を観ていてふと思いました。
後で図録を読みますと、「緑釉および白釉は筆で導くように描き、仕上がりを考慮して窯詰めしたのち、本焼きを行い、原宝物にみる釉薬の流れを再現した」という工夫がなされたそうです。

第二章では、新羅製で9口の碗を入れ子式に重ねて一碗の中におさめる「佐波理加盤​(さはりかばん)​(宮内庁正倉院事務所藏)が展示されています。一列に並べられた碗がきっちりと一碗に入るというその精度には驚きです。形はシンプルです。

紅牙撥鏤撥​(こうげばちるのばち)​(宮内庁正倉院事務所藏)と称する象牙を赤く染め表面を彫り白地を出して文様を描き出した琵琶の撥が第一章に展示されています。一方、この第二章には、「緑牙撥鏤尺​(りょくげばちるのしゃく)​(奈良国立博物館蔵)が展示されています。こちらは染め象牙の儀式用のものさしです。長さ29.9cm、幅2.4cm、厚0.7cmに細密な文様が刻まれています。拡大レンズなどのない時代によくぞ小さくて細密な図を刻む技があったものだと感心します。それを再現模造しているのもすばらしい技です。写真が撮れないので・・・・ぜひ会場でご覧ください。

「第三章 染織」のセクションには、図録の表紙として上記した文様の織物が展示されています。

 
こちらは「赤地唐花文錦(宮内庁正倉院事務所藏)の再現模造品です。幡に使われた錦だそうです。
 
こちらは「​紫地鳳(ほうおう)唐草丸紋錦​(宮内庁正倉院事務所藏)です。聖武天皇の肘かけに用いられた錦だとか。

会場に写真とともに説明パネルが掲示されていますが、その説明に相当する個所を図録から引用し、ご紹介します。
「奈良時代の絹繊維は、調査の結果非常に細いことが知られており、日本産の繭では、小石丸がそれに最も近い繊維を産することから、一連の模造では、皇居内の紅葉山御養蚕所において上皇皇后陛下がお育てになられた小石丸の繭をいただき、用いた」とのこと。
試作段階で使った一般の繭では、同じ絹織物の風合いが出せなかったといいます。復元にとって絹素材の重要性が再認識されたそうです。

第四章 鏡・調度・装身具」のセクションに進みましょう。
 
当日館内で入手した「奈良国立博物館だより」です。この表紙に使われているのが、このセクションに展示されています。「黄金瑠璃螺鈿背十二稜鏡(宮内庁正倉院事務所藏)。鏡の鏡背を七宝で飾った十二稜形の銀鏡の再現模造品です。
正倉院には鏡が沢山伝わる中で、鏡胎が銀であるのはこれ一つだそうです。さらに七宝製品というのもこの鏡が唯一だといいます。
 
蛇紋岩を素材にして、スッポンの姿を写実的にかたどった容器がおもしろい。平成10年(1998)詫間裕作。
 
スッポンの体全体が容器の蓋になっていて、その甲羅に北斗七星が表現されています。
丸い星には銀泥、星を繋ぐ線には金泥が塗られているそうです。
 
寄木細工の双六(すごろく)です。駒を並べて骰子(さい)を振り、相手の陣地に駒を進めるゲームの盤ということなのですが、どんな駒をいくつ使い、どのように相手陣地に駒を進めるのかについては、説明の掲示がなかったと思います。どういう使い方をしたのでしょうか・・・・。
昭和29年(1954)木内省古作です。

このセクションでは「赤漆文欟木厨子(せきしつぶんかんぼくのずし)(東京国立博物館蔵)という聖武天皇のゆかりの品を収めた厨子の再現模造品が印象に残っています。丈夫そうで重厚な感じの厨子です。金銅製の直方体形の錠前に関心をいだきました。

第五章 刀・武具」「第六章 筆墨」と続きます。
当時の太刀は真っ直ぐな直刀だったのですね。今回の展示を眺めて再認識しました。
出展されているのはすべて明治時代に再現模造されたものでした。
一番印象に残ったのは、「金銀鈿荘唐太刀(きんぎんでんかざりのからたち)(宮内庁正倉院事務所藏)の鞘の錺金具です。上掲PRチラシ表の上辺中央並びに図録表紙の帯の右下に金具の部分図が載っています。銀製鋳金で唐草文を透かし彫りにして、伏彩色を施した水晶玉や青・濃緑色のガラス玉を嵌入しています。聖武天皇の儀式用太刀だそうです。
筆墨のセクションでは、戸籍や正税帳その他の古文書が再現模造されています。国立歴史民俗博物館が正倉院古文書についてコロタイプ印刷技法により継続的な複製事業をされているということを知った次第です。
一般鑑賞者向けのPRチラシや案内パネルにはさすがに複製古文書は表には出ていません。図録の帯の中、それも折り込まれた内側に1ヵ所だけ載せてあるのを見つけました。

展示会場を出た後、1階から博物館の南側にあるピロティに出てみました。
 
南側にも池があり、こちらには白い蓮の花が咲いています。
 
 


         
        池の南西方向の眺めから南東方向に目を転じてみます。




                 


奈良国立博物館には、春か秋に来ることが多いので、蓮の花が咲いているのを初めて眺めたように思います。

これで、この特別展の印象記を終わります。
ご覧いただきありがとうございます。

参照資料
*「よみがえる正倉院宝物」のPRチラシ
*図録『御大典記念 特別展 よみがえる正倉院宝物 ー再現模造にみる天平の技-』
       発行 朝日新聞社  2020
*「奈良国立博物館だより 第114号 令和2年7・8・9月」 奈良国立博物館

補遺
巡回展 御大典記念 特別展 よみがえる正倉院宝物 ー再現模造にみる天平の技-
                                    :「Internet Museum」
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Last updated  2020.08.13 11:31:06
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