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カテゴリ:観照 & 探訪
![]() ミイラ04は、テーベの中年の裕福な既婚女性だそうです。名前はタケネメト(別名タケブケネム)。第3中間期・第25王朝、前700年頃のミイラだとか。 このミイラの内棺の頭部が、図録の表紙として使われています。 小さくて見づらいと思いますが、このミイラには覆い布の上に、ビーズネットがかぶせてられた状態で展示されています。内棺が開けられたときの状態を示すのでしょう。数百個のビーズを編み込んで連ねた網です。 「網のデザインは死んだタケネメトをオシリスと結びつけ、タケネメトの首元を飾るビーズは、日出の太陽神を象徴する有翼スカラベをかたどっている」(図録より)とのこと。 木製の棺は入れ子式の三重構造で、内棺、中棺、外棺がそれぞれ展示されています。 今回の会場の3D画像についての説明で知ったことですが、「骨盤前面にある恥骨結合面の形態は、タケネトメトはおそらく35歳から49歳くらいで亡くなったことを示唆している。」と述べ、恥骨結合面は信頼できる年齢推定法だと言います。(図録より) この絵ハガキの左下隅に「弓形ハープ」が紹介されています。 「ハープの本体は木製で、響胴は繊細に装飾され先端は人物の頭部の形をしている。5本の弦(後世に新しく追加)は、ハープ本体に差し込まれた木製のねじに取り付けられている」(図録より) ミイラ05は、推定死亡年齢が3~5歳のハワラの子どもです。ローマ支配時代、後40~後55年頃のミイラと言います。 この特別展で知ったのは、ローマ支配時代までは子どもをミイラ化することはあまりなかったということ。「それ以前の時代でミイラにされた子どもはほとんど例がなく、もしされたとしても社会的地位の高い家族の一員だったと考えられる。」(図録より) ローマ支配時代に、埋葬習慣に変化があった可能性が考えられるそうです。 順番にミイラと3D画像の動画を見てきて、興味深かったのは、画像解析でミイラ本体に副葬されている様々な小さな護符を、CTスキャン画像の分析から、3Dプリンターで再現して展示されていることでした。ここでも最先端印刷技術がミイラ研究に活用されています。 ![]() 金と長石で作られた護符。「魚形護符は再生を意味し、身に着けた人間の生まれ変わりをうながすと信じられた」(図録より)そうです。 第2会場の最後がミイラ06です。グレコ・ローマン時代の若い男性のミイラと副葬品などが展示されています。プトレマイオス時代後期~ローマ支配時代初期、前100~後100年頃だとか。このミイラ06その他の展示されているエリアが撮影OKでした。 ![]() ![]() ![]() 若い男性のミイラは、カルトナージュ棺の形で展示されています。 ミイラ化された上で、葬祭用マスクで顔を覆われ、カルトナージュの装身具を身にまとっています。 このマスクと腹部を覆うカルトナージュの副葬品は包帯を何重にも巻いて固定されています。 ![]() 大英博物館の所蔵品になった際に、この若い男性を納めていた木棺(本体)と考えられているものだそうです。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 前回、イメージをご理解いただくために先取りでご紹介しており、重複しますが触れておきます。 この若い男性のミイラも3D画像の動画で細部まで紹介されています。 ![]() ![]() ![]() カルトナージュのミイラマスク このマスクは、「死者が神-エジプトの神々は金色の顔に青い髪をしていた-に変身したことを象徴している。葬祭用マスクは、ローマ支配時代以前から使われていた。」(図録より) ![]() 上部はカルトナージュのミイラの部分覆い(胸飾り)、中部はホルスの4人の息子が描かれたカルトナージュのミイラの部分覆い、下部は有翼女神が描かれたカルトナージュのミイラの部分覆いです。 ![]() こちらもカルトナージュのミイラの部分覆いで、上部は脚部分、下部は足入れです。(図録より) ![]() ![]() 絵を描いたミイラの覆い布。ローマ支配時代には、このような覆い布はカルトナージュの副葬品に置き換えられる場合があったと言います。(図録より) ![]() ホルネジイトエフの「死者の書」:日出の太陽への崇拝 パピルス文書 ![]() 「永遠を横切るための書」 パピルス文書 ![]() 「トリフォーンの葬祭用ステラ」(石灰岩製) ステラは碑を意味します。 ![]() さまざまなミイラ札。死者の名前や祖先、出身地を記した短い文が書き込まれているそうです。 埋葬場面を装飾として描いているものもあるとか。 ![]() ![]() ![]() ディダスの娘、アフロディーテという名の女性のカルトナージュのミイラマスク ![]() 左は若い男性のミイラマスク。右は女性のミイラマスク ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() これらは、画像処理技術を駆使してミイラの肖像画を復元したものだそうです。 「近年、ミイラ肖像画に使われた顔料の研究にさまざまな画像処理技術が利用されるようになった。こうした画像処理技術により、どのように彩色されたのか、その顔料の特定、隠された下絵の存在など、肉眼では見えないより多くの情報が解明されるようになった。」(図録より) 参照ページには、コンピュータX線撮影、可視光励起赤外線蛍光(VIL)技術、紫外線誘発可視蛍光(UVL)技術という技術が駆使されているという説明があります。私には文字面を追うだけ・・・・なのですが。 ![]() ![]() 第2会場を出たところに、「エジプトの主要遺跡」地図の大きなパネルが掲示してあります。 遺跡の多さに圧倒されます。まだまだ新発見が続きそうです。 ![]() レプリカですが、このマスクが地図の左側に展示されていました。 誰でも知っているツタンカーメン王の黄金のマスクです。 ![]() 大英博物館ミイラ展を鑑賞した後、2階のコレクション展を併せて見てきました。 今のコレクション展示室は初めて入った気がします。 最近、黄檗山萬福寺とその周辺を探訪したあとでもあり、タイミングの良いことに、「美術」セクションで「隠元禅師と黄檗絵画」を見ることができました。この企画展示は2022年5月8日(日曜)までだそうです。 「聖フランシスコ・ザビエル」セクションでは、「聖フランシスコ・ザビエル像」(重文)の実物展示を見ることができました。これも実物展示は5月8日(日曜)までとのこと。 「桜ヶ丘銅鐸・銅戈 」を一堂に見ることができるのも良かったです。 その他の展示室も一通り鑑賞して、1階の神戸の歴史展示室を久しぶりに巡ってから、退館しました。 つづく 参照資料 *当日購入した図録 『大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語』 2021 2022 朝日新聞社 補遺 神戸市立博物館 ホームページ The British Museum ホームページ The British Museum :「Google Arts & Culture」 古代エジプトの碑(ステラ)について語ってみた YouTube ツタンカーメン :ウィキペディア ネットに情報を掲載された皆様に感謝! (情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。 その点、ご寛恕ください。) 探訪&観照 神戸市中央区 -1 フラワーロードから神戸市立博物館に へ 探訪&観照 神戸市中央区 -2 神戸市立博物館「大英博物館ミイラ展」(1)へ 探訪&観照 神戸市中央区 -4 旧居留地点描 へ 探訪&観照 神戸市中央区 -5 京町筋を歩く へ 探訪&観照 神戸市中央区 -6 神戸ポートミュージアム(1)へ 探訪&観照 神戸市中央区 -7 神戸ポートミュージアム(2)へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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