遊心六中記

2022/11/29(火)12:37

探訪&観照 宇治市 再び折居台を越えて紅葉狩 -1 折居台~源氏物語モニュメント

観照 & 探訪(143)

  宇治市役所前の坂道を上り折居台の交差点で左折して、さらに坂道を少し上がれば、幅の広い石段が右手に見えます。                         宇治市文化センター          歴史資料館・中央公民館・中央図書館がある建物 11月20日(日)に、宇治市中央公民館で開催された宇治市中央図書館講演会を聴講しました。「寂聽先生と文学・そして宇治 -源氏物語に寄せて-」と題した講演会です。事前申込みしておいたところ参加できました。講師は宇治市源氏物語ミュージアム館長家塚智子さんでした。同館名誉館長だった瀬戸内寂聴さんと宇治及び源氏物語との関わりを内容とする講演でした。 講演後に、再び折居台越えで宇治川周辺の紅葉を眺めることにしました。 運動不足を補うウォーキング機会でもあります。 ​「探訪 宇治市 講演会聴講後の帰路は違った経路にて」​と題して、シリーズでご紹介した探訪記事の補完を兼ねています。   冒頭の石段前から北東寄りに伸びる折居台の道路景観です。ここが起点です。  坂道を上る   「折居台第3児童公園」が下方に見て、北方向の宇治の景色が眺望できます。  急な坂道の途中にて 上って来る人が居ましたので、途中まで下ってから撮ると緩やかな坂道に見えることに・・・。  路傍の石仏 右側は多分双体地蔵石仏かと・・・・。左側は不詳。           道沿いに進みます。このあたりは平坦な箇所                         再び展望が開けます。             比較的緩やかな坂道を右方向に下ります。                    府道3号線へ出る手前の坂道   突き当たり、府道の北側歩道傍には地蔵堂が見えます。 地図を確認すると、「芳香園」の南西角前辺りです。「芳香園」は京都の茶問屋です。 「京都・城陽の地にて、160年余りの歴史を持つ老舗茶問屋」だそうです。(資料1)   府道を横断して右折し、歩道沿いに東へ。    ​平等院の生垣と樹木が一体となって、歩道沿いに緑の壁​となっています。 右の景色は、東側から撮った景色。   ちょっとした広場があり、平等院の南門がこの景色の左側に見えます。                              歩道傍の案内板   この部分図の現在位置が案内図の設置場所です。 青色のドットを追記しました。部分図左下が、折居台側から歩き下ってきた経路です。 宇治川の左岸(西岸)、「あじろぎの道」に向かいます。   今回は、左岸のあじろぎの道を下流側に、橘橋に向かいます。   遊歩道・平等院側の紅葉した木々。平等院の生垣の外側です。   「橘橋」の西詰からの景色。橋を渡れば「橘島」(府立宇治公園)   橘橋上からの上流側の景色。この日、雨は降りませんでしたが曇天でした。               橘島の下流側先端部とその先の宇治橋        橘島から眺めた右岸(東岸)と朝霧橋                  朝霧橋の向こうに見える「観流橋」。上掲の案内図で橋名を知りました。   朝霧橋上から眺めた観流橋。この橋は関西電力宇治発電所の放流路に架かる橋です。      橋上から右岸のモニュメントを眺めた景色                         『源氏物語』宇治十帖石像   匂宮は浮舟を密かに小船に乗せて、八の宮の山荘から、対岸に渡り、「因幡の守が、自分の荘園の中にささやかに手軽に造った家」に人目を忍んで移るという行動に出ます。 瀬戸内寂聴さんの訳を引用します。 ”匂宮は女君に、  「どうしてそんなところに行けましょう」 などという暇も与えず、いきなり抱きかかえて、外へお出になってしまいました。・・・・・  女君が明け暮れ、何と頼りないものかと、川に浮かぶのを御覧になっていた小船にお乗りになって、棹をさして漕ぎ渡られる時も、まるではるかな岸に向かって漕ぎ離れて行くかのように心細く思われて、女君は、匂宮にひしと寄りすがって、身動きもせず抱かれていらっしゃるのを、匂宮は可愛くてたまらなく思われます。  船頭が、  「これが橘の小島でございます」  と申し上げて、棹をさしてお舟をしばらくとどめたのを、匂宮が御覧になりますと、その島は巨な岩のような形をして、洒落た枝ぶりの常磐木が葉を繁らせています。”   (資料2) 橘の小島を眺めつつ、二人が歌を詠む場面が続きます。  年経(ふ)ともかはらぬものか橘の小島のさきに契る心は   匂宮  橘の小島の色はかはらじをこの浮舟ぞゆくへ知られぬ     女君  ”  (資料2) この女君の歌に詠みこまれた「浮舟」が、宇治十帖のこの帖の名「浮舟」となります。 ”向こう岸に着いて舟をお下りになる時に、浮舟の君を人に抱かせるのは可哀そうに思われて、ご自分でお抱きになって、供人に介添えされて用意された家にお入になります。”   (資料2)  瀬戸内寂聴さんの訳では、この歌の後からは「浮舟の君」という訳に変わって行きます。  ふと思い原文を確かめると、歌を詠んだ後にも出てくるのは「女君」という表現です。(資料3)  原文は当然そうですよね。後の読者たちが浮舟と、いわばニックネームで呼ぶようになったのですから。私達には浮舟で記される方がわかりやすいのですが。  長々と引用しましたが、この情景がモニュメントのモチーフとなったそうです。 それでは、前回行かなかった興聖寺の方に紅葉を愛でながら向かいましょう。 つづく 参照資料 1) ​芳香園​  ホームページ 2)『源氏物語 巻十』 瀬戸内寂聴 訳  講談社文庫 p67-70 3)『源氏物語 6』 新編 日本古典文学全集 小学館 p152 補遺 ​宇治十帖石像(宇治十帖モニュメント)【宇治市観光】​ :「京阪宇治線 おけいはん」 ​関西電力 宇治発電所​  :「京都の産業遺産」 ​関西電力株式会社 宇治発電所​  :「水力ドットコム」   ネットに情報を掲載された皆様に感謝! (情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。 その点、ご寛恕ください。)​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​探訪&観照 宇治市 再び折居台を越えて紅葉狩 -2  観流橋・興聖寺ほか へ​ ​探訪&観照 宇治市 再び折居台を越えて紅葉狩 -3 観流橋から宇治神社 へ​ ​探訪&観照 宇治市 再び折居台を越えて紅葉狩 -4 さわらびの道・宇治上神社 へ​ ​探訪&観照 宇治市 再び折居台を越えて紅葉狩 -5 源氏物語ミュージアムと周辺 へ​ ​

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