2023/09/16(土)09:27
観照&探訪 奈良市 奈良国立博物館に -4 久しぶりの庭園散策(1)
茶室八窓庵 庭園のご案内
特別展の会場を出た後、西新館の1階で少し休憩。庭園を眺めるとこの日は庭園が公開されていました。久しぶりに、しばし庭園を写真を撮りながら散策することにしました。今回、この三つ折のリーフレットが準備されていて、ありがたく入手。
開くと庭園がイラスト入りで順路説明されています。以前にも散策しています。
順路通りに歩いてはいませんが、ここでは順路に沿って時計回りに編集してご紹介します。
庭園は西新館の南側に広がっていますので、この図の上辺が北になります。
まず、ピロティに出て、東寄りに進み、そこから庭園を眺めると池の東側はこんな景色です。
藁葺き屋根の建物が木々の向こうに見えます。「八窓庵」と称される茶室です。
八窓庵の全景を比較的見やすい位置から撮ってみました。
ピロティから庭園へのアピローチを渡る時、西方向を眺めた景色です。
右側が西新館です。西方向の空。ピロティ前はほぼ長方形の池になっています。
左側が庭園。庭園の中央部に池があります。
左斜め前方、高生垣の前に「般若寺型石灯籠」が置かれています。
花崗岩製。江戸時代(18~19世紀)の作。
北東側から
笠の上、頂部の宝珠の下には垂花弁が付けられていて、請花の部分が小さめになっています。
笠の上に請花その上に宝珠が載るのが一般的な姿です。
唐獅子の浮彫
橘の浮彫と斜格子窓
火袋は六角形です。その二面が斜格子窓が穿たれ、二面には唐獅子と橘が彫刻されています。
火口が相対する二面に大きく開口されています。
また、火袋下の中台の格狭間には、十二支の動物が浮彫してあります。
石灯籠の下部に眼を転じます。
基壇の上の基礎石には、雌雄の神鹿が彫刻されています。反花の上にはさらに蓮台が設けられています。普通の石灯籠では反花が竿に接合しています。
私は数えていませんが、設置された案内銘板には、この一つの石灯籠に19頭の動物が表されていると記されています。見所の多い石灯籠です。
石灯籠の東方向の景色。この先は立入禁止でした。
池の近くに戻ります。
池の近くには、少し離れて池沿いに南方向への石畳の通路(延べ段)が設けてあります。
左側には柴垣でしょうか。丈の高い垣根です。
池越しに西方向を眺めますと、
八窓庵の茅葺屋根が見えます。
垣根の端から東を見ますと、現在は「寄付待合」として使われている建物があります。
ここに移築される以前は、元が奈良帝室博物館の事務所の一部であり、その後正倉院宝庫掛の御物修理所としても使われていた建物だとか。
石畳の通路の先には、「腰掛待合」があります。
お茶会で、亭主の迎えを待つ間、腰を掛けて待つ施設です。
貴人席を設けて、L字形に造られています。
この腰掛待合は、京都・藪内家家元の茶室「燕庵」の腰掛を写した建物だそうです。
屋根の雨樋の端には綱を伝い雨水が地上に流れるように設えてあります。
ちょっとした風情を生み出しています。
池の畔に近寄ってみます。こちらは池の南側の景色です。
この後、この池の傍を時計回りで巡ります。
この池の対岸に、八窓庵(茶室)があります。
この池全体を空から見ますと、漢字の「心」を草書体で記した形をしていることから、
「心字池」と称されています。
心字池の水面に映じた八窓庵と空の雲
茶室の東側、池畔に中門があり、その前に土橋(ドバシ)が架けてあります。
腰掛待合で待った客人は、土橋を渡り、中門を潜って、八窓庵の茶室に歩むということになるのでしょう。
池に架けられた土橋の左端を一部入れて池の南側を撮った景色です。
この橋には、通行禁止の表示板が置かれています。景色としては無粋になるので、撮るのをやめました。
それでは、心字池の南辺を巡る形で茶室にむかいましょう。
つづく
参照資料
*「茶室 八窓庵 庭園のご案内」リーフレット 奈良国立博物館
補遺
奈良 法性山 般若寺 ~コスモス寺~ 公式ホームページ
寺宝 般若寺型石灯籠も載っています。
藪内家の茶 ホームページ
茶室・露地
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