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カテゴリ:観照
この狩野派略系図は桃山時代を中心にしたもの.
2015年の特別展開催PRチラシから切り出した略図の引用です。 こちらは手許にある図録の表紙。京都国立博物館で特別展覧会として、2007年に「狩野永徳」展が、2015年に「桃山時代の狩野派 永徳の後継者たち」展が開催されました。 冒頭の略図は、2015年の図録に挟んで残していた展覧会PRチラシに掲載されている略系図です。 この2つの図録を糸口に、インターネットでの龍探しをしてみました。 「狩野永徳」図録には、洲信印がある「雲龍図屏風」六曲一双が収録されています。 洲信とは永徳洲信で、狩野永徳のこと。この雲龍図屏風は、今治河野美術館蔵です。 ネット情報では、伝狩野永徳筆で開示されています。(資料1) 同図録には、紙本淡彩の山楽筆蟠龍図縮図一幅も収録されています。2007年のこの特別展覧会で初展示された京狩野家に伝来するもの。東福寺の天井画を縮図で描いたもので筆者は不明とのこと。 ネット検索しましたがこの縮図の画像は調べて見た範囲では開示されていません。 「桃山時代の狩野派」図録には、狩野孝信(右近孝信)筆「羅漢図」(東福寺蔵)が二幅収録されていて、その一幅は、羅漢たちの頭上はるかの天空に龍が現れた図です。 2023年に京都国立博物館で特別展「東福寺」が開催されました。この特別展の中で、吉山明兆筆「五百羅漢図」が展示されました。この明兆が描いた五百羅漢図の中の第46号と第47号の「羅漢図」二幅が孝信筆なのです。 明兆筆の原図が損傷したので、狩野孝信がその二幅を描いたということなのでしょう。図録に明記はされていませんので、私的な想像です。「東福寺」展は前期に鑑賞しましたので、第46号の展示を見ましたが、第47号の龍が描かれた方は図録で眺めたに留まります。 孝信筆「羅漢図」に現れるの龍像に、ネットのブログ記事で出会いました。(資料2) 永徳以前に狩野派で龍を描いた人がいるのだろうか? 調べていて見つけました。 狩野派の祖は正信(祐勢正信)。その子の一人、元信(永仙元信)が龍を描いています。 京都・清水寺の傍にある「地主神社」の拝殿に狩野元信筆「丸龍」図が天井画として現存していることを今にして知った次第です。(資料3) この龍、にらみ龍として有名だとか。地主神社は縁結びで有名な神社。 永徳の子である光信(右京光信)は、慶長10年(1605)に、相国寺法堂天井画「蟠龍図」を描いています。板絵著色。 禅宗と龍図は縁が深いので、そちらを探る時に触れたいと思います。(資料4) 狩野山楽は、狩野派の門弟ですが、京狩野の祖となった画家です。 山楽は「龍虎図屏風」六曲一双(京都・妙心寺蔵)として、 龍図を描いています。(資料5) 狩野派で、江戸幕府御用絵師となったのは孝信の長子、狩野探幽(探幽守信)です。 探幽は、「波に龍図」(大場家蔵、資料6)、「龍図」(資料7)、「龍虎屏風地取」(資料8)を描いています。 探幽の弟の尚信(主馬尚信)が、尾形光琳との合筆で「瀧龍図」を描いているのを知りました。 狩野派の龍探しを試みて、見つけたのは、山楽の婿養子となった後継者、 狩野山雪筆「龍虎図屏風」の部分図です。(資料10) 狩野派の龍を調べていて気づいたことは、正信を祖とする狩野派において、狩野家の系譜は、歴代原則的には「信」の一字を継承しているようだということでした。 この辺りで、一区切りと致します。 ご覧いただきありがとうございます。 つづく 参照資料 1. <雲龍図屏風> 伝狩野永徳筆 今治市河野美術館蔵:「IM アイエム internet museum」 2. 桃山時代の狩野派 :「THE SALON OF VERTIGO」 3. 狩野元信筆「丸龍」 にらみ龍 :「京都 地主神社」 4. 狩野光信 :ウィキペディア 5. 狩野山楽 :ウィキペディア 6. 波に龍図 狩野探幽 :「世田谷デジタルミュージアム」 7. 探幽/龍図 :「文化遺産オンライン」 8. 探幽/龍虎屏風地取 :「文化遺産オンライン」 9. 瀧龍図(狩野尚信・尾形光琳合筆) :「MIHO MUSEUM」 10. 狩野山雪/龍虎図屏風 龍 :「壁紙ギャラリー KAGIROHI」 補遺 狩野派 :ウィキペディア 狩野元信 :ウィキペディア 狩野永徳 :ウィキペディア 伝狩野永徳筆「雲龍図屏風」 国府叢書・文化財絵はがき :「今治市立図書館」 1089ブログ 【禅展】研究員のおすすめ 「山楽の吼えるトラ」:「東京国立博物館」 狩野山楽筆「龍虎図屏風」(京都・妙心寺蔵) 狩野山雪 :ウィキペディア ネットに情報を掲載された皆様に感謝! (情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。 その点、ご寛恕ください。) 観照 インターネットで【龍/Dragon】探しの旅へ 」一覧表 へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.03.22 17:34:25
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