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カテゴリ:観照
![]() 狩衣 紺地雲龍丸模様 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵 (資料1) ![]() ![]() 狩衣とは、「平安時代から江戸時代まで、公家・武家の平服。襟が丸くて、そでにくくりが有る」(新明解国語辞典・三省堂)というものです。 ![]() 直垂 紅地立涌長尾龍丸紋散模様錦 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵 (資料2) ![]() ![]() ![]() 直垂とは、「鎌倉時代ごろ、武士などが着た衣服。方領(カクエリ)[肩から胸にかけて付けた長方形のえり}・無紋で、胸ひもが付いており、広いそでくくりがある。すそを括った袴(ハカマ)に入れて着る。[初めは庶民の服で、鎌倉時代以降、武家の礼服になった]」(同上)というもの。 ![]() ![]() 素襖 黒麻地松皮菱雨龍菱模様 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵 (資料3) 素襖とは、「直垂の一種。室町時代に始まり、江戸時代には武家の礼服として用いられた。布地は麻で、定紋をつけた」(日本語大辞典・講談社)というもの。 ![]() 黒麻地の地柄のように雨龍が菱形の意匠で潜んでいます。 ![]() 長絹(子方) 緑地雲龍模様 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵 (資料4) ![]() 長絹とは、”(「長絹の直垂」または「長絹の水干」の略)装束の名称。元服以前の公家や武家の童子の着た服。もとはつやのある絹織物の名であったが、のちにそれで作った衣服の名になった” (日本語大辞典・講談社)というもの。 ![]() 踏込袴 紺地雲龍丸模様錦 東京国立博物館蔵 (資料5) ![]() 踏込袴とは、「袴の一種。裾を狭く補足した野袴」(デジタル大辞泉・小学館)です。 野袴とは、「裾にビロードなどで広い縁をつけた袴。江戸時代、武士が火事装束や旅行のときなどに用いた」(日本語大辞典・講談社)というもの。 ![]() 着付 白呉絽地龍波濤模様 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵 (資料6) 剣状にそそり立つ島々と波濤の上空を漂う雲の間を飛龍が富んでいる意匠です。 着付とは、「装束や舞台衣装などの特殊な衣服の着装およびその衣服」(日本語大辞典・講談社)という意味のようです。 ![]() 打掛 黒天鵞絨地鷹龍松模様 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵 (資料7) 打掛とは、「武家の婦人の礼服。帯を締めた上から掛ける。すその長い衣服。今は、結婚式などに使う。かいどり」というもの。(新明解国語辞典・三省堂) 黒のビロード地に、金糸などで勇壮な刺繍が施されています。上部の松模様の上に、鷹が下方を睨み、波濤の中から龍が上空を睨んでいるという勇壮な図柄です。鷹と龍の組合わせは珍しい気がします。 ![]() これは、江戸時代最後の天皇である孝明天皇が着用した赤色の袞衣(コンエ、大袖と裳)で、京都御所の東山御文庫に御物として伝わるものです。(資料9) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 孝明天皇の袞衣の龍等の色糸と金糸による刺繍は、別裂に刺繍したものを切り取って生地に切付の手法で縫い付けているそうです。(資料9) ![]() こちらは袞冕を身にまとう後三条天皇を描いた肖像図ですが併せて取り上げておきたいと思います。出典は石本秋園『大礼服着御図』と言います。(資料8) 袖の部分に龍が刺繍されています。 この辺りでまた、一区切りと致します。 最後に余談です。 衣服に現れる龍を調べ始めて、普段何気なく使ってきた語彙が気になりました。 着物、衣、服、衣服、衣装、装束、服飾、服装、和服、洋服、和装、洋装。 これらの語彙が思い浮かびます。 改めて、初心に返り手元のいくつかの国語辞典を引いてみました。 着物: からだに着るもの。衣服。[狭義では、和服を指す] (新明解国語辞典・三省堂) 衣 : 「衣服」の意の雅語的表現。[狭義では僧の着る法衣を指し、広義ではてんぷら・ フライなどのまわりをくるんでいるものをさす)(新明解国語辞典・三省堂) 服 : 着る物。[狭義では、洋服を指す)(新明解国語辞典・三省堂) 洋服: 西洋風の衣服。[男子は上着とズボンを、女子はワンピース、スーツ、スカート などを用いる) (新明解国語辞典・三省堂) 和服: 日本在来の衣服。 (新明解国語辞典・三省堂) 洋装: [特に女性が]洋服を着ること。 (新明解国語辞典・三省堂) 和装: 日本風の服装をすること。和服姿。 (新明解国語辞典・三省堂) 衣服: 「着物」の意の字音語的表現。 (新明解国語辞典・三省堂) 身にまとうもの。洋服ではドレス・ジャケット・コート・スカート・ズボン・ 下着など、和服では着物・羽織・袴・長じゅばんなど。被服。着物。 clothes; dress; wear (日本語大辞典・講談社) 身にまとうもの。着る物。また、着ること。 (大辞林・三省堂) 衣装: [外出・儀式用の]着物。[狭義では、演劇の舞台で出演者が扮装に用いる衣服を 指す] (新明解国語辞典・三省堂) 服装: 身に着けた衣服の(調和のとれた)状態。 (新明解国語辞典・三省堂) 衣服とその付属品の総称。衣服と人間の一体化を意味し、時代・民族・階級・ 職業・性別・年齢などを象徴する。よそおい。みなり。clothing(日本語大辞典・講談社) 衣服を身につけ、よそおった様子。また、身につけた衣服や装身具。身なり。 (大辞林・三省堂) 服飾: 衣服とアクセサリー。 (新明解国語辞典・三省堂) 装束: 特別の場合に備えて、身じたくをすること。また、その着物。[古くは、衣冠・ 束帯などを整えた礼服をさした] (新明解国語辞典・三省堂) ①衣服を身につけること。服装を整えること。身じたく。②衣服。服装。装い attire; costume ③貴人の衣冠・束帯などの総称。そうぞく。court dress (日本語大辞典・講談社) [古くは「そうぞく」とも] ①特別の場合のための、整った一そろいの服装。 衣冠・束帯・直衣など、一定の法式にかなった装い。また、それで盛装するこ と。身じたくすること。②衣服、着物。③衣服を身に着けること。装うこと。 そうずく。 (大辞林・三省堂) 語彙の使い分け、けっこう微妙ですね。それを普段あまり意識せずに使い分けている! 言葉って、興味深い・・・・。 衣服に関して、インターネットで出逢ったサイトがいくつかあります。 ご存知かもしれませんが・・・・。ついでに、幅広く学べて役立つサイトのご紹介です。 日本服飾史 風俗博物館 ホームページ 綺陽装束研究所 ホームページ 宮廷装束 高田装束研究所 ホームページ 着物の基本 きもの365 ホームページ きものの用語と各部の名称 さが美 ホームページ つづく 参照資料 1) 狩衣 紺地雲龍丸模様 :「国立博物館所蔵品統合検索システム(ColBase)」 2) 直垂 紅地立涌長尾龍丸紋散模様錦 :「ColBase」 3) 素襖 黒麻地松皮菱雨龍菱模様 :「ColBase」 4) 長絹(子方) 緑地雲龍模様 :「ColBase」 5) 踏込袴 紺地雲龍丸模様錦 :「ColBase」 6) 着付 白呉絽地龍波濤模様 :「ColBase」 7) 打掛 黒天鵞絨地鷹龍松模様 :「ColBase」 8) 袞衣 :ウィキペディア 補遺 装束 :「コトバンク」 和服 :ウィキペディア 衣装 :ウィキペディア 服飾 :ウィキペディア ネットに情報を掲載された皆様に感謝! (情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。 その点、ご寛恕ください。) こちらもご覧いただけるとうれしいです。 観照 インターネットで【龍/Dragon】探しの旅へ 」一覧表 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024.06.29 18:11:53
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