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遊心六中記

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2024.07.23
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カテゴリ:観照

21日(日)に京都国立博物館に行きました
先般、久しぶりに瑞泉寺を訪れたことをこのブログでご紹介しました。あの後、京博で「豊臣秀次と瑞泉寺」という企画展示が行われていることを知ったのです。これは見逃すまいと、日曜日ですが出かけてきました。
各分野の通常の企画展示の中で、「豊臣秀次と瑞泉寺」は「豊臣秀次430回忌 特集展示」という位置づけでした。お陰で展示室1F-2~1F-4において、普段見られない瑞泉寺所蔵の寺宝の数々を拝見できました。会期は8月4日(日)までです。

 当日、平成知新館で入手したPRチラシ
このPRチラシに使われている場面が、冒頭の七条通に面して設置されたPRパネルにも使われています。
これは『秀次公縁起』に描かれた三条河原で秀次の妻妾と子供たちが公開処刑される一場面です秀次の縁者は全て処刑されたのです。

豊臣秀吉側の視点による小瀬甫庵著『太閤記』にはこの公開処刑の上掲について、次のように記述した箇所があります。(資料1)
「三條河原に著しかば、車よりいだきおろし奉りぬ。各秀次公の御首の前へ、我おとらじと、はらはらとより給ひ、ふしおがみ候しさま、あさからず見えけり。」
「人より先にと思へるかたもありて、太刀取もまへへ急給ふものあり。又人よりあとにとおくしたるも有て、さまざま取々に哀なり。こはいかにと見る處に、五十許なる鬚男の、其さまよりも心もあらげなく見えしが、さもうつくしき若君を狗をひつさぐるように物し、二刀さし給へば、御母儀其他一同に鳴立給ひけり」
「母上の御膝より奪取て、心(ムナ)もとを二刀さして投(ナゲステ)にけり」
さらに続きますが、この位にしておきましょう。この絵の場面と重ねてみてください。

『秀次公縁起』の最後には、三条大橋から見える中州に処刑後に処刑した遺体を投げ入れた大穴を埋めて、その上に二段の四角錐形の塚を築いて、塚の上面に秀次の首を納めた石櫃を置いた景色が描かれています。この塚を心ない人が「畜生塚」と蔑称したそうです。
江戸時代に出版された『都名所図会』には、「瑞泉寺」の項に、「その後塚を築いて上に截石(キリイシ)あり。銘に曰く、秀次悪逆塚、文禄四年七月十五日と書す」と記されています。(資料2)

 
最新刊の「京都国立博物館だより」(2024年7・8・9月号)です。当日入手しました。
見開き2ページにわたってこの特集展示を取り扱っています。
この表紙の右上に部分図が載っています。
この京博だよりからの引用ですが、この図は
 
「豊臣秀次および眷属像」として、このように3幅対として描かれた図像の一部です。
会場で拝見できました。江戸時代、18世紀の作。

『瑞泉寺縁起』全4冊が、第1~3冊が1F-2、第4冊が1F-4に展示されています。
当時の瑞泉寺の様子がうかがえます。

 
これも京博だよりからの引用です。もう一つのハイライトは、秀次の妻妾たちが残した辞世和歌20幅です。1F-2(4幅)、1F-3に(16幅)と2室に展示されています。これはそのうちの2幅です。
右側は一の台辞世和歌。一の台とは、菊亭右府の息女です。
左側は小少将の辞世和歌

「辞世和歌の掛軸は、桃山時代から江戸時代中期の特徴を示す美しい小袖裂により表装され、『瑞泉寺裂』と称されています。寺伝によると、それらの裂は処刑された妻妾らの遺品と尊ばれてきました。時代の下がるものは、江戸時代を通じて同山の大檀越であった角倉家からの寄進の品かも知れません」(京博だより、山内麻衣子さん記)とのこと。
いずれにしても、表装そのものも見応えがあります。

17世紀に制作された「立空桂叔像」(掛幅)と「角倉了以坐像」(木像)が出展されていました。角倉了以は立空桂叔と相談して、秀次一族の菩提を弔うために瑞泉寺を建立したと伝えられています。立空上人が開山となりました。

伝秀次筆という「三首和歌」「和歌扇面」も出展されています、
他にも色々な展示品がありましたが省略します。

これだけの作品を身近に拝見できる機会はそうないことでしょう。一見をお薦めします。

 
1F-5 金工の部屋に展示の鎧兜「縹糸威胴丸(ハナダイトオドシドウマル)」
修理完成記念特別公開として展示されました。
​展示室で入手したこのリーフレットは2回折り込んだ形でA4サイズの大きさです​
つまり、7ページにわたって詳細に解説された内容です。甲冑についての知識を学ぶうえで大変役立つものと思います。実物を見て、このリーフレットを入手することをお薦めします。
リーフレットは、縹糸威胴丸についての概説/甲冑の部分名称(イラスト図で説明)/甲冑の素材と技術/縹糸威胴丸の修理/甲冑の修理における現状と課題、という構成です。
執筆は京博の主任研究員・末華俊彦さんです。

名品ギャラリーとして、その他で私にとって、特にラッキーと思ったのは
2F-1 絵巻の展示室で、「国宝 法然上人絵伝Ⅰ」を拝見できたこと。事前に調べていなかったので、絵伝を見られるとは思っていませんでしたので。現在の展示は7/28まで。7/30からは「国宝 法然上人絵伝Ⅱ」と展示替えで9/8まで続くそうです。

もう1つは、2F-4 近世絵画の展示室で、「京都の狩野派-狩野山雪」として、山雪の作品群を鑑賞できたことです。

最後に定点記録で締めくくります。
 
こんな天気の日でした。この日も熱中症警告アラートが出ていました

 
                                 


 


ご覧いただきありがとうございます。

参照資料
*PRチラシ
*「京都国立博物館だより 2024年7・8・9号」
1)『太閤記 下』 小瀬甫庵著 桑田忠親校訂  岩波文庫 p230~238
2)『都名所図会 上巻』  竹村俊則校註 角川文庫 p77

こちらもご覧いただけるとうれしいです。
スポット探訪 京都・三条 ふたたび瑞泉寺に -1 豊臣秀次一族の墓所、地蔵堂 へ
スポット探訪 京都・三条 ふたたび瑞泉寺に -2 本堂、宝篋印塔、消された菊花紋ほか へ





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Last updated  2024.07.23 01:00:38
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