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遊心六中記

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茲愉有人

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2024.07.31
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カテゴリ:観照

7月24日(水)、祇園祭・後祭の山鉾巡行を見物しました。冒頭の図は後祭の宵山巡りで入手したチラシです。追記した赤丸は河原町通の東側歩道脇で見物した大凡の位置を示します。六角通よりも少し南に下がった場所。京都BALというビルの前あたりです。

巡行は、山鉾が烏丸御池を9:30から順に出発し、御池通を東に進みます。先頭が河原町御池に10時頃に到着し、河原町通を南進し巡行するという予定でした。

 
後祭巡行を先導するパトカーが見物地点の近くを通ったのが10:40頃でした。
当初予定からすると、少し遅れ気味の巡行です。
この見物地点を選んだのは初めて。河原町通の西側歩道に幕を張った席が設けてあり、裃を着た人々が座っていたからここに決めました。後祭巡行順のくじ改めは市役所前ですので、ここは何? という関心から。こういう席が設定されていることを今回初めて知った次第です。

  
祇園祭の幟を掲げる先導がいよいよ近づいてきました。先導を務める関係者が、ここで挨拶を交わしています。この場所を何と称するのかは不詳です。情報無し。
 先導に、荷車が続きます。

 
巡行1番は、くじ取らずの「橋弁慶山」です。
平成26年(2014)度から後祭が復興しました。この時から橋弁慶山が1番で巡行しています。それは平成24年度より約140年前の巡行順の復活になるそうです。(資料1)
 
前懸は「藍地波濤に雲龍文様」綴錦です。今年(2024)の新調品。
元は18世紀、中国清時代の官服を切り継ぎしたもので真向龍丸を刺繍した図柄です。
 
ご覧のように、この山ニは前祭の山に見られた真松や傘、見送掛けの衣桁などがありません。
山の上は、弁慶と牛若丸の五条橋上での闘いの場面を再現する舞台です。
 
牛若丸は五条橋の欄干の擬宝珠の先端に足駄の前歯ですっくと立って弁慶に対しています。前歯一つで牛若丸を支えているという場面づくりがスゴイ! 見せ場です。

 
側面の欄縁下の水引は「唐子喜遊図綴錦」
胴懸は葵祭を絵巻風に描写した綴錦で「加茂葵祭行列図」。円山応挙の下絵と言われています。
葵祭の「路頭の儀」の様子だそうです。復元新調品。
山の前後に二対の金幣が装着してあります。
 
後懸は、昨年まで前懸に使われていた富岡鉄斎作「椿石霊鳥図」が使われています。


 
2番はこれもくじ取らずの「北観音山」です。

観察していますと、各山で裃を着て行列を先導する人が、山の粽(チマキ)をここで手渡しして、挨拶を交わされています。これが一つの儀式なのでしょう。巡行の進行確認地点を兼ねているのかもしれません。

​共にくじ取らずである北観音山と南観音山は、現在は巡行の2番目と6番目を隔年で入れ替わり、巡行​するようになっています。かつては隔年で交代に巡行するという慣わしでした。ここにも山鉾巡行の歴史がうかがえます。
     
                 
           北観音山は曳山ですので、大屋根の上に立つのは真松です。
 
          
  
天水引は「唐草文」が刺繍されたもの。「雲龍文」の刺繍と隔年で使われています。
下水引は、「関帝祭の図」の刺繍。人物風景は京都円山派の絵師、中島来章(1796~1871)が嘉永2年(1849)に下絵を描いた。復元新調。
二番水引は、「赤地牡丹唐草文様綴織」の復元新調。
三番水引は、「金地紅白牡丹文様唐織」の復元新調。

 
胴懸は、インド絨毯「斜め格子草花文様」の復元品。

 
裾幕の下を眺めますと、張られた綱の上に、辻回しで使われる割竹が載せてあります。
こんな箇所を巡行見物中にどれだけの人が見ているでしょうか。

 
見送は「百子喜遊図」で17世紀末の中国・明時代の名品。チベットの寺院所蔵のものを昭和61年(1986)に新調(購入)されたそうです。

北観音山は、巡行の際に楊柳観音像が安置されます。この尊像にちなみ、山の右脇から大きな柳の枝を挿し出すことになっています。これは、後に触れる南観音山も同様です。
 
     最後尾に荷車



 
       
        
3番目に「黒主山」が続きます。謡曲「志賀」にちなむ山。
平安時代初期の六歌仙の一人、大伴黒主が桜の花を仰ぎ見ている姿を表しています。
 
水引は「雲龍文様の繻珍(シュチン)」
二番水引は、緋羅紗地に菊、牡丹、瑞鳥などの模様を刺繍したものです。
前懸は「五龍爪文様錦」。萬暦帝即位の折の御服と伝えられる古錦を復元新調。
 
胴懸は「草花胡蝶文様の綴錦」
 
見送は「牡丹双鳳凰文綴錦」。中国製の吉兆をあらわす図柄です。平成16年(2004)復元新調。
房が掛けられていて見づらいですが、上部は玉取獅子の図柄です。その下に日輪、双鳳凰が続きます。
 
 
最後尾の荷車は、黒地に「黒」の意匠化された文字を白抜きにした布で覆われています。
シックな感じです。ピタリと決まる感じ・・・・。黒色が黒主山の名と照応しています。

この辺りで一区切りに。

つづく

参照資料
*祇園祭案内チラシ 2024年
*​祇園祭 祇園祭山鉾連合会​ ホームページ
*図録『京都 祇園祭 町衆の情熱・山鉾の風流』 京都文化博物館 2020
*『祇園祭細見 改訂版』 島田崇志編著 都のまつり文化研究会発行 2024年4月
1) ​巡行の順番​  :「橋弁慶山」

補遺
橋弁慶山​  ホームページ
北観音山​ 六角会 ホームページ
黒主山保存會​  ホームページ

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Last updated  2024.08.03 14:40:39
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