資産運用一千一夜

2006/05/18(木)21:48

SHOP99の新システム

株式投資(202)

アーバンなどの件から「IRについて」書こうかなと思っていたら、 今朝出ちゃったので違う話題を。 SHOP99がシステム全面刷新へ、2010年の3000店体制に備える 食品や日用雑貨を99円均一で販売している生鮮コンビニ「SHOP99」、 これを運営する九九プラスが30億円かけて新システムを構築するそうです。 他に3000店分のPOSシステムや発注端末の費用を70億円とし、 期間を2010年までの5年間とした場合、 前期実績ベースで売上高の約1.8%、営業利益の約1.5倍の規模です。 まあ、「情報化投資は売上高や利益の何%程度が適切か?」 という質問はあまり意味がないのですが、以前であれば、 流通業の場合で売上高の約0.5%~1.2%などと言われていました。 この記事によると、まず分析系システムを稼動させて、 その後にPOSシステム、基幹システムを順次刷新していくそうです。 普通、分析系は最後に構築するパターンが多いですが、 現状のシステムがあまりにも貧弱なようです。 現在利用している第3次システムは1200店まで増やすことを前提に、 2003年1月に稼働させたものだそうですが、 同社の出店計画は、2010年までに現在800店ある店舗網を3000店まで 拡大する内容になっています。 これだけを見ると、なぜもっと余裕を持たせておかなかったのか、 と思うかもしれませんが、同社の沿革を見てみると、 2002年1月 総店舗数100店舗(直営72店舗、FC28店舗)達成 2004年2月 総店舗数300店舗(直営233店舗、FC67店舗)達成      8月 総店舗数400店舗(直営320店舗、FC80店舗)達成      9月 ジャスダック(JASDAQ)上場 2005年1月 総店舗数500店舗(直営411店舗、FC89店舗)達成      9月 9月末店舗数696店 となっています。 ということは、総店舗数が200店舗未満の2002年に要件定義をして、 スペックも含めたシステム設計を固めたと思われます。 まだ上場もしておらず、 資金的にも大きな情報化投資が出来なかった可能性もあり、 その時点で「1200店まで増やすことを前提」としたシステムというのは、 ある意味「妥当」ということになります。 (ただデータ量が増えたとは言え、  分析時間が4~5時間/件かかるというのはどうかと思いますが) その後、異業種からの参入などで事業環境が激変したため、 早く生鮮コンビニ市場を押さえる必要性から、 2004年に出店計画をFC展開中心から直営店主体に変更し、 出店を加速してきました。 そんな経緯で現状に至っているようです。 この様な、  システム構築時の前提(その時に予想されるその後の事業環境)と、  実際の事業環境の推移 に大きく差が出ることはままあります。 なので、ここ数年、 システム構築プロジェクトの短期化が急速に進んでいます。 ちんたら時間をかけてやっていたら、 やっとこさ稼動したシステムは既に使い物にならないモノだった、 なんてこともあり得る訳ですから。 ちなみに九九プラスは、 3000店体制に向けて、パートタイマーを店長に据える「母店サテライト」 という出店形態を採用しており、 新システムはそれに合わせる仕様とのこと。 システムは作ればいいですが、 人材は簡単に「作る」ことはできませんからね。 ただ「99円で日常の食生活ができる」というSHOP99のコンセプトは、 どちらかというとデフレを追い風にしたもので、 これからの時流をうまく捉えることができるのか、そこが疑問です。 事業環境はレッド・オーシャンになりつつありますし、 二極化と言われるように低所得階層向けにニーズはあると思うのですが、 もともとボロ儲けできない業態なのに加え、 商品政策を「LOHAS」志向層に向けた展開を行う、としていますが、 低価格志向とLOHAS志向とが合致するのか良く分かりません。 株価は2005年からずっと下落傾向が続き、 高値から約85%のドローダウンという厳しい状況です。 それでも今期予想PERで30倍と割安感はありません。 私自身、以前はよく買い物していたSHOP99ですが、 最近あまり行かなくなったこともあり、 積極的な出店の後、大きな図体になって二進も三進もいかなくなる、 というようなことがなければいいけど、と思ってしまいます。 余談ですが、飽和状態と言われるコンビニ業界でも、 大手企業は法人FC拡大など、いろいろ試行しているようです。 コンビニ大手、法人FC拡大・駅構内などに出店

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