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カテゴリ:ウオーター・ナイツー聖なる水の僕
ウオーター・ナイツー聖なる水の僕(しもべ)■第5回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 漫画の描き方manga_training動画 「おやめ。みっとないよ。聖水騎士ともあろうものがうろたえるのじゃないよ」 ベラはフガンにむかって罵声を浴びせる。 「あなた、いったいどちらの味方なの、はっきりしてください」 シマもベラの発言にいささか驚いている。 「私は誰の味方でもないよ。私は私の味方さ。私の思うとおりに生きているわけさ」 「あなたも、この人と一緒に捕まえて調べなければなりませんねぇ」 「いやだよ。なぜ、あんたのいう事など、聞く耳をもたないさ。あんたの相手をする。私はそれほど、ひまじゃないよ」 「レディ、いわせておけば、私にも我慢の限界があることをおわすれなく」 フガンはベラを捕まえようとした。 突然ベラは歌を歌い始める。 どうしたのだ。シマは思った。 フガンの手をのがれながら、船の上を走り、歌を歌う。 その歌詞をフガンは理解できない。異国の言葉、あるいは何かの記号のように思える。 ベラは船の外、つまり海にむかって受かっている感じなのだ。 船の動きがおかしい。 海水が急に、甲板に撥ねあがってきた。その海水が徐々に、形になっていく。 やがて、姿が決まる。出現したのは水鳥である。この鳥のむこう側は不完全だが、透いて見える。 「面妖な事。レディもこの男の仲間と見えますね」 フガンが叫んでいた。 「ほほっ、聖水騎士ならそんな事くらい自分で考えなよ」 ベラはフガンにあかんべーをする。かえす顔でシマにどなる。 「ほら、シマ、ばやぼやするんじゃないよ。はやく、この鳥にのるんだよ」 「し、しかし、ベラ、私は」 「早く、あーたら、こーうたら言ってるひまはないよ」 ベラにせかされ、シマは、不承不承、鳥の背に乗る。 シマは今にもこの鳥の水で溺れるのではないかとヒヤヒヤする。 フガンは再び聖水剣を手ににじりよっていた。 「ほら、飛び立つよ」一瞬、フガンの聖水剣から、聖水がベラに向けられて発射される。 「レディ、おかえしですよ」 聖なる水がベラの肩を撫でる。 「やられた。シマ、後を頼むよ」 「そんなこと、いったってベラ、どうすれば」 シマはおろおろする。がベラはすでに気を失っていた。 「おーい、ベラ、起きてくれ」が、水鳥は、シマの都合など無視して、晴れ上がった蒼弓の空へと舞い上がっていく。 船には、空を見上げるフガンがつぶやいていた。 「あのレディは海水を動かしましたねぇ。ひょっとして伝説の『みしるし』かもしれません」 フガンは自分の装甲服についている連絡機器のスイッチをいれる。 聖水騎士団長アマノに今の一部始終を告げ、言葉をついだ。 「少しばかり、私は今のシマ老人と歌姫ベラを調べたいのですが」 しばらくの沈黙のあと、アマノは答えた。 「よし、フガン、その奴隷船の船長を締め上げてみろ。何か、手掛かりがあるかもしれん」 「わかりました」 「『みしるし』であることがわかれば、まあ、よい、気をつけろ。君は、おもわぬくじをひいたのかもしれん」 フガンは早速、奴隷船船長にあっていた。 事情を説明し、船長の協力を得ようとした。 「流体のひとりのシマでしょう。あいつについては奴隷市場では、まったくデータがついていなかったのです」 船長はこういう。 「彼はロボットだったのでは」 「いや、それはないでしょう。生体チェックをクリアーしていますから」 「聖水以前は何をどこで何をやっていたのか、わからないのですか」 「いや、はっきりとはわかりません。ただ」 「ただ、何ですか。言ってください」 「ある流体がシマと歌姫ベラとがしゃべっているのを聞いていたらしいのです」 「ほほっ、それは興味深いですね」 「この流体はベラにほれていましたから、あまり、ベラがシマと仲がよいので, じゃまをしょうとしたらしいのですが」フガンは話しを遮る。 「前おきはいいのです。どんな事をしゃべっていたのですか」 「シマは自分の出自をベラにしゃべっていたのです」 「どんな内容ですか。話してみてください」 (続く) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 漫画の描き方manga_training動画 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.12.04 23:06:59
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