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カテゴリ:フアンタジー小説「イシのヒト」
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com ■イシのヒト(1989年作品)■ 第1章 詩人 第2回 詩人ひとりの機械神官がのべた。 「お前が信じないのもむりはない。我々もいまだに、しんじ られんわけだが。我々の予測機械がそれを予言したのだ。我々の滅びの時間をな」 我々だと、その中には私たち人間も含まれているのか、それとも。 詩人は思わず尋ねる。 「滅びの時間ですと」 「そうだ、それで我々は君をこの神殿に招いたのだ」 「なぜ私を、私をどうしょうというのです」 「君に新世界を作る材料になってもらおうとい うわけだ」 ひっかけて私から情報をとるつもりか、それとも私をパニックに陥れようとい うのか。 機械神から告げられたおもわぬ言葉に、詩人はたじろいだ。 「私がキーマンですと、冗談もやすみやすみに」 が、詩人はあることにきずく。 「ははっ、そうか、そういうことか、私をうまくだまして、 追放刑にしょうというわけですか」 「我々の論理機構は、このような非常時に冗談をいわない」 機械神の言葉は、まさに機械的だった。 機械神官のひとりが、あわてていた。機械神をうながす。 「神よ、我々は、その男を、はやく処理しなければなりません」 「そうだな、我々にそう時間は残されていない」 「処理だと」 何か手術を私に施すつもりか。 「手荒い処理だがゆるせよ」 機械神官の一人がいった。もう一人の機械神官が何かを手にして詩人の方にちかずいてきた。 「何を 」 詩人の体に電撃がはしった。 詩人は、機械神殿で倒れている。 神殿地下にある研究室から、詩人の上に、処理機械が、飛んで来ていた。 詩人は神殿の地下に連れて行かれた。地下も機械で張り巡らされている。詩人の体はカプセルにいれられていた。 「はやく、神の歌を頭に埋め込むのだ」神官がいった。 「わかりました」処理機械は答える。 「さて、この詩人のユニットが、いつ、どこにあらわれるかだ」 神は悩む。 「彼の体に種子を埋めておきますか」 処理機械がいう。 「時間がくれば、発芽します」 「彼は、次の世界でのみずからの役割の大きさに、驚くだろう」神がつぶやく。 「それこそ、神の慈悲というものでしょう」神官の一人が言った。 「これが聖作機械B22です」 処理機械はいった。 「このように、聖作はすすんでおります。どうぞご覧下さい」 神の前に突然CRTが出現する、そのCRTに、ある種の機械がうつった。 「これが」 「聖砲です」 「これで星々を収めるわけか。で船の移動機構は」 「はい、事故にそなえてサブブレインを2つ聖作してあります」 「それがいいかもしれん。このごろの移動機構はあてにならんからな」 「おそれいります」処理機械がいった。 この機械神の世界で、星々が次々と消滅していた。 詩人を失った反政府組織は、この動きに観察者をおくりこんでいた。 ある時、反政府組織のメンバーが一室に集まっていた。観察者が報告していた。 「船が作られているらしい」 「どんな船だ」 「我々のみたこともないような船だ」 「その目的は何だろう」 「今の段階ではわからん。とてつもないプロジェクトがすすんでいるようだ」 やがて、予告通り、世界は収斂した。この世界の星々は完全に消えた。 この空間は今はない。 この世界を旧宇宙とよぶ。 (続く) ■イシのヒト(1989年作品)■ 第1章 詩人 第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 1, 2007 05:25:33 PM
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