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鎌倉日記(極上生活のすすめ)

ジプシーの殺意

 旧ソ連でジプシーにまつわるこんな事件があった。

 政府の強制定住政策に従って、アパートに住み始めた男が、ある晩、刺殺された。
犯人を探し出すと、同じジプシー仲間のひとりだった。
犯行の動機を、警察に追求されたとき、犯人のジプシーはこう答えた。
「あいつは放浪をやめたから、殺した。」
自由の民は、奔放な生き方をしない、男を憎悪して殺したのだ。ほんとうに起きた話だ。

 ヨーロッパに行くと、ジプシーは、泥棒と同義語のような感覚をうける。実際、男たちは博打をして、子供や女たちにはこそ泥のようなことをさせている姿をときおり見かける。
 ジプシーというロマンチックな響きとは、程遠い印象を、ヨーロッパ人はもっている。 
 ヒットラーの時代、ユダヤ人の大量虐殺は映画や小説にもなり、有名な話になっているが、同じときに、ジプシーも大量虐殺されている。これはユダヤ人がハリッウド資本を握っていることと、ジプシーが貧困であることの相違が、情報の相違にもなっている背景があるが・・。
 
 ともあれ、ジプシーはユダヤ人と同様に潜在的な嫌悪の対象なのだ。
 彼らは、そんな状況の中、被抑圧民族として、スペインのフラメンコや、ハンガリーのジプシー音楽を作り出してもいった。

 ジプシーは言う。
「あいつは放浪をやめたから殺した。」

 ジプシーはフランスでは「ボヘミアン」、ドイツでは「チゴイネル」、ハンガリーでは「チガニー」、スペインとイタリアでは「チンガロ」と呼ばれている。
 彼らは、ヨーロッパだけではなく、中東や北米大陸にも10万単位でいる。


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