ホロヴィッツとの対話☆ピアニストと調律師
パルコ劇場40周年企画第一弾『ホロヴィッツとの対話』作/演出:三谷幸喜(以下HPより引用)神に選ばれた天才と神に雇われた職人その天賦の才能を「ピアニスト」として芸術を表現するホロヴィッツ。天才が「神に選ばれた者」とするならば、その選ばれし者に従事する者は、「神に雇われた者」。ピアニストの演奏を支え続ける調律師と天才ピアニスト。彼らの芸術に人生を捧げるそのエネルギーの源泉とは、彼らは何のために身を削り、芸術に奉仕するのか。あるいはそこから何を得、何を失っているのか。三谷幸喜が二人の男,ふたつの家族を通して芸術そのものの会話に迫ります。 キャストはホロヴィッツに段田安則、その妻ワンダに高泉淳子、調律師フランツは渡辺謙、その妻エリザベスは和久井映見。いつも新しい何かを見せてくれる三谷幸喜の舞台。今回はピアニストと調律師の話とあっては見ないわけにはいきません。幕開きは調律師フランツの自宅から。妻エリザベスは、今夜ホロヴィッツ夫妻を自宅に招くので準備にてんやわんや。台詞のはしばしにエリザベスの性格が出ていて、何でもない風のエピソードがさすが三谷幸喜。エビアンとヴォルヴィックの下りなんて思い出しても笑えます。やがて舞台が転換して、いかにもお金持ちそうなホロヴィッツの自宅。段田安則のホロヴィッツは最初(ちっちゃいな〜)と思いましたが(本物のホロヴィッツは巨大な手を持つ大柄は人・・・だったはず)、すぐに違和感もなくなり、神経質で奥さんには弱いおじいちゃん、オフのホロヴィッツってこんな感じだったのかも!と思えました。妻・ワンダは言わずと知れた大指揮者・トスカニーニの娘。わが道を行く、根っからの女王さま体質。物語の前半はコミカルな両家のやりとりで進んで行くのですが、後半で一気に流れが変わってシリアスに。「ピアニスト」を題材に、人間を描いたドラマでした。舞台の作りも物語の構成もシンプルで、(なるほど、今回はこう来たか)という感想です。とにかく四人の役者が素晴らしい。そして、舞台奥に置かれたグランドピアノの前にずっと座ってちょいちょい演技もしながら劇中音楽を奏でていた荻野清子さんも素晴らしかったです。録音で音楽を流すことだってできると思いますが、というかほとんどの演劇ではそうですが、このピアノ生演奏が実に贅沢で、ホロヴィッツを描くには欠かせなかったのかなと。最後の音楽だけ録音が流れますが、これがまた気が利いてました!心に残るお芝居でした。