2005/04/13(水)16:34
湖畔は冬、下界は春。
昨日の30日は、配偶者と子供たちふたり、合計4人家族が久しぶりに揃って、息子の就職祝いと、はるるの誕生日祝いを兼ねての日光国立公園内、明治時代創業の老舗のリゾート・ホテル泊まりだった。
JR宇都宮駅前に、東京から戻ってくる息子のあきらを迎え、そのまま「はらへった!」と騒ぐ兄妹たちの意見で、市内から日光に向かう道沿いにある、美味しいと評判のとんかつやさんに入る。
ちいさなすり鉢に白ごまが入っているものが、みんなの前にそれぞれ置かれて、玩具のように可愛いすりこぎが付いて来た。ソースと合わせて、自分でつくった香ばしい「ごますりとんかつ」で、食べるようだ。
お水と、そのすり鉢セットだけが運ばれて来て、手持ち無沙汰の家族全員が熱心にぶちぶちとごますりすり♪
一瞬、会話が途切れて、ごまの良い香りが漂う。
はるるが、小さな小さな声で植木等の【日本全国ごますり音頭】を唄いながら作業を続けると、配偶者が忍び笑いをこらえながら「おねがいだから、やめて」と懇願する。
・・・こどもたちには大ウケだったんだけど、中断する。
う~む。題名は『ごますり行進曲』だったかも知れない。
出て来たとんかつは、全員ちがうメニューを注文したんだけど、どれも確かに美味しかった。
食事が終っても、まだお昼の12時前後だったので、高速を使わないでゆっくりと晴天の中、杉並木をたどることにした。ところが、うっかりしていたせいもあって、オソロシイものを目撃してしまった。えんえんと続く、樹齢400年近くにもなる杉の並木の大木の群れが、総て杉の花粉で黄色く染まっているのだ。風が強く吹くたびに、ぼわあああ~っと、周辺に巨大な黄色いけむりが立つ、なかなか素晴らしい眺め。笑
そう言えば、日本の花粉症の第1号の症例報告が発表されたのは、栃木県のこのあたりの患者だったと聞いたことがある。
元祖とゆうか、本家「花粉症」の由緒タダシイ発祥の地、だものなあ・・・。
日光市内でガソリンを入れ、世界遺産の東照宮に差し掛かったあたりで、今度は白いものが目の前をふわりふわり。
空気もちょっぴり冷たくなって、雪片が横に流れてゆく。
しぐれ雪というより、男体山の方から風に飛ばされて来た『風花』のようだ。
いろは坂を登るにつれて、あたり一面が雪景色に変化してゆく。ふもとのほうから、あちらこちらに観光客目当ての野生サルたちが出没してる。地元のひとたちはものすごく迷惑してるんだけど、面白がってえさを与えてしまう通りすがりの心無いひとたちは、後を絶たない。見晴らしの良い明智平を過ぎて、トンネルを潜ったら雪は本格的になっていた。
冬景色のうさぎ☆日光戦場ヶ原
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この付近の景色が見られます☆
さて、夜のコース。
本格的な調理のフランス料理だった。
(でも、メニューの説明の中身はうろ覚えだったので、なんかの料理がひとつくらい抜けてるかも?!)
もちろん、皿などはすべてホテルの名入りオリジナル陶器、ナイフやフォークはずっしりとした純銀製。
給仕たちの制服も、男性は蝶タイ姿で、女性は紺の制服に白いエプロンという、伝統的スタイル。
ホテルマンたちの立ち振舞いがプロフェッショナルで心地よい。
ぼくと配偶者とあきらは、赤ワイン。
ゆめちゃんは、地元産のあっぷるじゅーす100%。
茄子とサーモンのマリネ。野菜添え。
ポタージュ・スープ
ひらめとえびのサフラン・ソースがけ
サーロイン・ステーキ(おおきい!)温野菜付き
アーモンドとチョコレートのムース。
レーズン入り自家製チーズ・ケーキ。
フルーツ添え。
〆は、珈琲と紅茶。
前菜と一緒の頃にバスケットに入って出て来た、ほかほかに温かい出来たてのフランスパンとライ麦パンが美味しくて、こどもたちが何回も親切な給仕さんにおかわりをもらっていた。
銀食器の中のバターをつけて、パンだけでもモリモリ食べてる、笑
カメラを持って、テーブルについたけれど、配偶者に正面からにらみつけられて、とうとう料理の写真を撮るような雰囲気にはならなかった・・・とほほ。
きちんとした手間のかかった料理が朝晩の2食ぶん食べられて、日光の中でもとびきりのロケーションのゆったりした部屋に宿泊する。
これだけのことが、9000円だなんて。
ちょっと前までは、このホテルをよく知っている地元のひとや、首都圏の常連客たちにも考えられなかっただろう。
デフレ不況は、旅行業界に特に深刻な影を落しているらしいけれど・・。
いろんなものが「安い安い」とばかりは、喜んでは居られない時代。
ホテルの湖に面した広い庭の隅に、ログハウスの温泉施設が出来ていた。
前に来たときは無かったので聞いたら、去年完成したばかりとの話。
うす緑に近いミルク色の天然温泉は、独特の硫黄の香りにあたらしい木の香りがミックスされていて、つい何度も入ってしまった。
ひとしきり降っていた雪も、明るい内に止んでいた。
暖房のきいた部屋のおおきな一枚硝子窓から、ゆっくりと暗くなってゆくみずうみと、その周囲の雪景色をぼんやり見ながら。
食事の前に部屋で配偶者と軽く飲んで、食事の時はちょっぴりワイン、さらに家族みんなで風呂上りにひと部屋に集まって、おしゃべりしながらしたたかに四季桜の本醸造酒。
けっこう、深酒になってしまったかも。
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若い柳としだれ桜にふちどられた池。下界はすっかり春景色。
一夜明けて。
今朝は中禅寺湖に面したホテルを7時前にチェックアウト、8時半の始業時間に間に合うようにと、日光と宇都宮を結ぶ高速道路を使った。
で、配偶者もはるるも、普通どおりの勤務に。