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カテゴリ:本・まんが
こんにちは。
ご無沙汰してしまいましてすみません。ご訪問いただいた方にはたいへん失礼いたしました。 さて、楳図かずおの作品は子供の頃よく読んでいました。 「のろいの館(赤んぼう少女)」タマミちゃん、怖かったです。 「へび少女」、へびのようなぬめりとした顔の描写が印象的です。 「漂流教室」、読んで泣いてしまったことがあります(悲しみと感動で)。 「洗礼」、当時「週刊少女コミック」に連載されて毎週楽しみに読んでましたが、子供向けではないですよね~^^; 他にも「恐怖」「怪」などなど…。 で、「おろち」です。 不思議な力と歳をとることのない永遠の命を持ち、人間の世界を見届け続ける「おろち」という美少女が主人公の話です。 『姉妹』 美しい姉妹に隠された秘密とは? 「美」に対する執着、妬み・憎しみの描写がものすごくて、シリーズの中でも好きな作品です。 『ステージ』 父親をひき逃げした犯人に復讐するために、これほどの執念でこれほどの策略を考え付くとは…。 最後の方の「おはようのおにいたん」からの手紙は、空しく虚ろに感じられてしまいます。 『カギ』 「うそつき」と呼ばれる小憎らしい子供が見てしまった恐ろしい光景。 大人の身勝手な理屈は通用しませんね。 『ふるさと』 SFっぽい不思議な作品ですが、「ふるさと」に対する強い思いが感動をも与えてくれます。 『骨』 幸せを求める気持ちは誰にも責められないけれど、わが身かわいさだけでは不幸な結果になってしまう。 犠牲になった息子のジュンがかわいそうすぎます。 でも、千恵が幸せになる方法は本当になかったのだろうか? 『秀才』 愛と憎しみは同じ形をしていることがある。 優と母、父。あまりにも大きな不幸の中で憎みあうことでしか一緒にいられなかった。そしてもう一人の母の苦しみ。 おろちは 「にくみあっていたとしてもこんなに長い間…そう こんなに長い間いっしょに生活してきたのだ…… ふたりは親子なのだ そうでなければここまでいっしょに生活してはこれない……」 とつぶやく。 おろちの言うように、みんなの傷が癒えて欲しいと願うばかりです。 『眼』 盲目の少女を主人公としたサスペンスになっていますが、社会の矛盾を訴えるという「社会派」の作品でもあります。 『戦闘』 今では遠い遠い昔のことになってしまった戦争…。 正の父は誰にでも親切な自慢の父だ。 なぜ、そんなに他人に親切なのか?正は疑問を抱く。そして片手片足のない男から、戦争中の恐ろしい出来事を聞いてしまう。 自分のため、他人のため。親切や思いやりとは誰のためなのか?それは罪滅ぼしというごまかしなのではないか? 誰も信じられなくなってしまった正を父は雪山に誘う。 雪山で二人の絆はよみがえるのか。わたしたちはおろちとともに見守るしかない。 極限状態での人間の業を描いた重厚な作品です。 『血』 出来のいい姉と比べられ続けてきた妹。 劣等感、憧れ、憎しみ、妬み…。そんな感情に支配され続けてきた妹。 その妹の企てた復讐は、誰も知らない姉の姿を浮かびあがらせる。 「おろち」の目を通して見る人間の世界は、愛憎・業・醜さ・矛盾に満ち満ちている。それでも時には人間も捨てたものではないじゃないかとも思える。生きていくことの困難と素晴らしさ・人間の不思議が、端整な描写で描かれた作品群と言えるのではないでしょうか。 『おろち』楳図かずお 連載誌:週刊少年サンデー(小学館) 連載期間:1969年25号~1970年35号 『おろち』(全4巻)楳図かずお 発行:2005年~2006年 発行所:小学館 ビッグコミックススペシャル 楳図パーフェクション!4 価格:各\1200(税込) おろち(1) おろち(2) おろち(3) おろち(4) ※上記は最新出版。他に多数の版あり。 「おろち」が「姉妹」「血」を基に映画化されることになりました。 おろち役は谷村美月。どうなるのかな?楽しみです。 映画『おろち』公式サイト 『おろち』2008年(日本)今秋公開予定 監督:鶴田法男 原作:楳図かずお 脚本:高橋洋 出演:木村佳乃、中越典子、谷村美月、他 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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