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バリアフリー社会の忘れ物~全盲フリーライター・川田隆一のブログ~※講演等、仕事のご依頼もこちらへ

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2007.11.01
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 島根県安来市が主催して開かれた敬老会で、
独演会をしていた落語家の三笑亭夢之助さんが、
舞台に立つ手話通訳者に

「気が散る」

などと退場を求める発言をしていたことが分かったのだそうです。

 夢之助さんは、

「落語は話し言葉でするもので、手話に変えられるものではない」

「この会場は聞こえる方が大半ですよね。手話の方がおられると
気が散りますし、皆さんも散りますよね」

などと話し、会場からは笑い声が聞こえたといいます。

 その後も手話通訳は舞台の下で続けられましたが、島根県の
ろうあ連盟は「聞こえない人に対する侮辱」と、夢之助さんと
市に抗議し、両者がそれぞれ謝罪したということです。

 全盲の私は、障害こそ違え、同じ情報障害を持つ者の
一人として、また著述を生業とする者として、さまざまな思いが
脳裏を巡りました。

 話芸であっても、落語を楽しむ権利は、当然聴覚障害者に
対しても保障されなければなりません。ろうあ連盟の抗議は
当然です。

それに、どんな催し物にも手話通訳が付くのが当たり前の
世の中になれば、「気が散る」こともなくなるでしょう。

 一方、表現者の一人として、「落語は話し言葉でするもので、
手話に変えられるものではない」という夢之助さんの話芸への
思いには、私にも共感出来るところがあります。

 しかし、乱暴な言い方かもしれませんが、手話に変えられようが
変えられまいが、何としても変えなければならないのです。

話芸故の微妙なニュアンスを完全に伝えることは難しいかも
しれませんが、それでも聴覚障害者への情報保障として、
ベストを尽くすしかないのです。

それは、目が見えない人のために、テレビや映画の情景を
音声で解説するのと同じことです。100パーセントは無理でも、
可能な限り伝える努力こそ、「情報のバリアフリー」への
第一歩に他なりません。

 しかし、主催者側にも、表現者への配慮は必要だったと
思います。

今回の場合、市は事前に夢之助さん側に手話通訳者のことを
伝えていませんでした。私も、自分の講演に手話通訳が付く
場合には、ぜひ前もって知らせてもらいたいと思います。

そうでなければ、普段よりも心持ちゆっくり話す等、手話通訳を
しやすくするための配慮が出来ないからです。

 そして、表現者が気が散ることのないように、手話通訳者の
立ち位置を考慮したり、落語という話芸をニュアンスまで含めて
出来るだけ正確に伝えられるよう、経験豊富で優秀な手話通訳者を
起用する等の努力を主催者側が惜しまないことは、表現者への
礼儀ではないでしょうか。

 これは、視覚障害者向けの録音図書の制作についても同様で、
書き言葉の活字図書を、どのように朗読(音声訳)されるのかは、
視覚障害者への情報保障について真剣に考えている著者で
あればあるほど、少なからず気になる点だと思います。

朗読(音声訳)については、手話通訳士のように資格制度が整備されて
いないため、ボランティアのスキルはまちまちです。中には、
とんでもなくへたくそな人まで、堂々とボランティアを名乗って
います。

ボランティアは決して気持ちだけでは勤まりません。活動に必要な
能力やスキルがないのに、ろくな仕事も出来ないくせに、
ボランティア風だけは立派に吹かせている人の、なんと
多いことでしょう。

学生時代に本を読むのが上手だった、というくらいでは、
朗読(音声訳)のボランティアは出来ません。

力を伴わず、自らの偽善に酔いしれるだけのボランティアなど、
福祉目的で著作権を制限されている著者にとっても、
へたくそな読みの作品を「これしかないのだから」と
押し付けられる視覚障害者にとっても、迷惑旋盤以外の何者でも
ありません。

そして、実力を伴わないのに、「ただ働きしてくれるから」と、
利用者そっちのけでボランティアを甘やかし続ける点字図書館や
福祉施設の御都合主義には、虫唾が走ります。

 著者にとって、自分の作品は分身のようなものです。

それを聞くに堪えない読み方をされたら許せないし、
視覚障害者福祉のために、法律で著作権を制限するのなら、
著作権法20条1項の同一性保持権(著作物が無断で改変される
結果、著作者の意に沿わない表現が施されることによる精神的
苦痛から救済するための制度)を尊重し、著者の意に沿わない
朗読(音声訳)を排除し、そもそも技術のない
「自称・ボランティア」に対して、「だめ出し」をする
権利くらいは、著者に認めてくれてもよいのではないでしょうか。

 世の中、何事も一方の立場だけを主張しても、うまくは
いきません。「情報のバリアフリー」の実現には、表現者の立場に
最大限配慮しようとする姿勢が欠かせないのではないでしょうか。

 今回のことについても、表現者としての夢之助さんへの配慮が
決して十分ではなかったように思えてならないのです。

落語家・夢之助さん:「手話通訳気が散る」島根の敬老会で(毎日新聞)

 ※糖尿太郎は本を出版しています。

『怒りの川田さん~全盲だから見えた日本のリアル』

です。この日記との関連では、

・受信料半額、情報半分の公共放送

・くたばれ! ざーますボランティア

などの項目があります。

あなたにも、ぜひお読み頂けましたら嬉しく思います。







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Last updated  2007.11.01 05:41:31


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