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ばう犬

ばう犬

Feb 21, 2005
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小川隆之 生月誠 1992 逆説志向の適用過程の分析 ―強迫行為のケース― カウンセリング研究,25,112-121.

(前回日記から続く)

(略)
カウンセラー(以下「カ」と略す): ですから、2通りありますね。で、気持ちの悪さを感じられて、手を洗いたくなる時に、どちらのほうか、つまり、多く擦らなくちゃいけないほうか、少ないほうか、自分で分かりますね?
クライエント(以下「ク」と略す): ええ、もちろん分かります。感じますもの。
(略)
カ: で、その時にやっていただきたい課題があるんですが。
ク: はい。
カ: これは、正確にやっていただきたいんです。
ク: 何をやればいいんでしょう?
カ: 気持ちの悪さを感じて、手を洗いたくなりますね。その時に、多いほうだと感じたなら、80回擦ってください。
ク: はい。80回。
カ: 必ず80回。それより少なくちゃだめですよ。必ず80回。
ク: あ・・・そう。
カ: 80回より少なくちゃだめですよ。
ク: 80回・・・
カ: 分からなくなると困るんで、数え方も決めておきましょう。
ク: どういうふうにすればいいんですか? 数なんて分からなくなっちゃうんですよ。
カ: まず、ゆっくり擦りましょうよ。こうじゃなくて(両手を速く擦り合わせながら)。ゆっくり、しっかり、丁寧に擦ったほうが、きれいにとれるでしょう?
ク: あ、そうですよね。
カ: ですから、ゆっくりと。ちょっと同じようにやってみてください。こんなふうに(ゆっくりと両手を擦り合わせてみせる)。
ク: あの、こんなふうですか?(カウンセラーを真似る)
カ: (数を数えながら、ゆっくりと両手を擦り合わせ始める。クライエントもそれに合わせて擦り始める)1・2・3・4・5・6・7・8・・・(数え続ける)・・・42・43・44・45、だんだんゆっくり、47・48・49・50・・・(数え続ける)・・・77・78・79・80。こんなふうにやってください。
ク: 先生、こうやって(両手を拝むようにして擦り合わせる)擦るんですか?
カ: どうやって擦るのが一番いいですか?
ク: ん・・・(両手を擦り合わせる)こっちの手を洗うでしょ。最初に、1・2・3で洗って、今度はこっちを洗ったほうがいいかな。だから・・・
カ: だから、最初に、1・2・3で洗ったら、今度はこっちを洗う時には、4・5・6ですね。1から80まで、ずーっと通して数えます。
ク: こうやっちゃったほうがいいでしょうね、先生。こう(片方の手の指先を反対の手の手首のところまでもってくる)。こういうふうにやるほうが洗えますものねえ。
カ: そうですね。洗えますね。では、こうやって(クライエントを真似る)。
ク: そうですね。
カ: 1・2・3・4・5。
ク: ああ、そうですねえ。それなら・・・
カ: それで、声を出して数えてください。
ク: 声を出すの?
カ: 出すの。
ク: (笑い出す)
カ: 出してください。・・・出してください。
ク: 近所に(笑いながら)。
カ: 近所に聞こえますか?
ク: 聞こえますよねえ。私は、大きな声なんですよねえ(笑いながら)。
カ: では、小さな声で。小さな声でいいですよ。
ク: あ、そうですか?
カ: ちょっと、練習しましょう。今やってみてください。1・2・3・4・5。
ク: (両手を擦り合わせる)1・2・3・4・5。
カ: その声で聞こえますか、近所に?
ク: 聞こえますねえ。
カ: では、もう少し小さな声で。
ク: あのう、口で・・・頭の中で数えるだけじゃなく、口で言ったほうがいいですか?
カ: 間違えやすいし、分からなくなりやすいでしょう? そうすると、余計に大変でしょう?
ク: (両手を擦り合わせながら)1・2・3・4(4からカウンセラーも一緒に数え始める)・5・6・7・8・・・(数え続ける)・・・77・78・79・80。あのう、手の平はきれいになりますよねえ。だけど、指の間はきれいになりませんねえ。
カ: では、どうします?
ク: こうですねえ(指の間も擦る)。
カ: なるほど。(クライエントが示した擦り方で擦りながら)1・2・3・4・5・6・7・8。いいですね。9・10・11・12・13(13からクライエントも一緒に数え始める)14・15・16・17・18・19・20(20からカウンセラーは数えるのをやめる)。
ク: (両手を擦り合わせながら)21・22・23・24・25、ああ。
カ: 洗い方はどんなふうでもいいですよ。きれいに洗えると思われれば。
ク: あ、どんなふうでもいいわけですか?
カ: だけど、数は通して。それから、ゆっくりと数える。
ク: あ、ゆっくりね。
カ: ゆっくり数えたほうが、丁寧にゆっくり擦ったほうが、とれますでしょう?
ク: そうですねえ。
カ: いいですね?
ク: はい。
カ: それで、少ないほうは、15回にしましょうか。
ク: ああ、15回。やっぱり同じように?
カ: ええ。同じように。
ク: 分かりました。
カ: 数えているうちに、もし飽きてしまって、途中でやめたいと思われても、必ず最後まで数えてください。数を通して、ゆっくりと。
ク: そうですか・・・
カ: 途中でやめないでください。多いほうは80まで必ず数えます。少ないほうは15まで必ず。いいですか? それより少なくちゃだめですよ。
ク: あの・・・かえって悪くなりませんか? そういうのは・・・いいんですか? 洗っちゃっても・・・
カ: ええ。洗ってください。次回までの1週間だけですから。いっとき悪くなったように思われるかもしれません。ですが、必要なんです、この課題が。確実に良くなっていくために。それと、もう1つお願いがあります。
ク: はあ・・・
カ: 観察をお願いしたいんです。あなたの症状の仕組みを、はっきり知っておきたいんです。そのために、すすんで症状を出していただく、つまり洗っていただくわけですが、その時の自分の気持ちや、心の中に起きることを観察していただきたいんです。ですから、洗うだけでなく、きちんと観察もお願いしておきます。いいですか?
ク: ああ、その結果を見て・・・
カ: ええ。その結果を見て、これからの治療方針を決めていきましょうよ。そのほうが、
ク: ああ、そのほうが正確に方針が・・・という・・・
カ: そうですね。そう思われませんか?
ク: そうですね。
(略)
カ: もちろん、ご主人やご家族の方には、今日帰ったらきちんとお話ししてくださいね。これは課題だからとおっしゃってください。内容も具体的に話して。これをやらなくちゃならない理由もね。よろしいですか?
ク: はい。
カ: どういうふうに話されます?
ク: これは課題だからと言って・・・回数をゆっくり通して、少ないほうは15回で、多いほうは80回・・・
カ: それより少なくちゃだめですよ。それに、声を出して数える。1・2・3・4・5・6・7・8と。
ク: でも、それでも分からなくなっちゃうかもしれません。そうしたら・・・
カ: そんな場合もあるかもしれませんね。ですが、かまいません。分からなくなったら、数え直してくださればいいですよ。80回以上になるかもしれませんが、それはかまいません。でも、少なくちゃだめですよ。たとえば、1・2・3・31・32・33なんて、とばして数えたりしちゃだめですよ。重なって数えるのはいいです。80以上だったら、まあいいでしょう。15回のほうもそうですよ。
ク: はあ・・・
カ: 80回より、または、15回より少なくしないでください。いいですか?
ク: はい。
カ: では、もう1度聞かせていただけません? どう話されるおつもりか。
ク: ・・・課題だということを言って・・・ん・・・
カ: 課題だということを言って、その課題の内容もおっしゃってください。
ク: ああ、はい。
カ: 課題の内容ですが、気持ちの悪さを感じて、手を洗いたくなりますね。その時多いほうだと感じたなら、80回手を擦ります。1から80まで必ず通して、ゆっくり声を出して数えます。少ないほうだと感じたなら、15回擦ります。やはり1から15まで必ず通して、ゆっくり声を出して数えます。で、観察も忘れません。
ク: ああ、観察も・・・ですね。
カ: そう。症状の仕組みをはっきり知って、治療の方針をきちんと立てるためでしたね。ですから、すすんで洗っていただいて、そのうえで観察ということです。
ク: ええ・・・だけど・・・できるかなあ、こうした課題が・・・
カ: まあ、大変ではありますよねえ。
ク: ええ。
カ: たとえば、こんなふうに考えてみてください。・・・ええと、あなたも娘さんも、お魚が好きだとおっしゃってましたよねえ、たしか? 変な例なんですが、お魚を料理する時、まな板の上にのせないと、料理しにくいですよねえ。泳いでるお魚なんて、とても料理できませんでしょう? この場合もそうなんです。特に、18年もずっと自由に泳いできた症状ですから。まず、きちんとまな板の上にのせて、症状をはっきりさせてからでないと、きちんとした治療ができませんでしょう?
ク: ああ、そうですよねえ。それはそうですねえ。ん、だけど・・・
カ: 大変だと思われたら、こんなふうにしてみてください。手を擦るほうではなく、数を数えるほうに集中するんです。だって、擦るほうは、長年やってらして体が覚えてるでしょう? だから、数えるほうに集中するんです。
ク: ああ、数えるほうにね。
カ: 分かります?
ク: ええ、分かります。
カ: ただ数を数えるだけなら、80までなんか簡単に数えられますものねえ。ですから、そんなつもりで。どうですか?
ク: そうですねえ・・・
カ: どうでしょう?
ク: これは・・・あれですか? あのう・・・我慢できれば・・・手を洗うのを我慢できれば、やらないでいいですか?
カ: 我慢できれば、というと?
ク: つまり、洗わなくても大丈夫なんだと自分で納得すれば・・・というか・・・もしも洗わなくても大丈夫だと思えたら、洗わずにいたほうがいいですよねえ? ・・・だって、そんな時に観察しても、きちんとできませんでしょう? もう大丈夫だと思えたなら、その時には症状が出てないわけですものねえ。だから、観察しても・・・
カ: ん・・・
ク: だって、そうですよねえ?
カ: 大丈夫だと思えたらねえ。まあ、しかたないですね。そんな時は洗わなくていいでしょう。ですが、ほとんどの時は、大丈夫だと思えないんじゃないかと思うんですよ。ですから、大丈夫だと思えなかったら、必ず課題をやっていただけません?
ク: ええ、それはそうですね。分かりました。あのう、まな板にのせるんですね(笑う)。
カ: 必ずですよ、必ず。さぼらないでくださいね。では、しつこいようですが、もう1度おっしゃってください。ご家族の方にどういうふうに話されますか?

次回日記へ続く)





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Last updated  Feb 22, 2005 12:27:17 AM
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