カテゴリ:短編小説
ココまでの話はコチラ。
-------------------- 「あっ」 急に美紀は、青年のスケッチブックを取り上げて、ページをめくってみた。 そこに、美紀はいなかった。 ごつごつの岩と川だけ。 「やっぱ、モデルが悪かったかなぁ?」 「いえ!そんなことは!・・・ただ、描けないだけで・・・」 「え~、描けないのにモデル頼んだの~?」 「すみません・・・」 青年はつらそうな顔のまま、下を向いてしまった。 そんな青年を見て、 「良い絵じゃん!」 美紀は、スケッチブックを少し離して見て、うんうんとうなづいた。 「岩も川も上手に描けてるよ」 「・・・ありがとうございます」 「子ども達もいないね~。人を描くの苦手なのかな?」 「・・・いや・・・はぁ。あなたなら描けると思ったんですが・・・」 「苦手克服のために描いてたのね。えらい、えらい。でも少し、自分を追い詰めすぎじゃない?描けそうになってからでも、遅くないと思うよ」 美紀はまた、うんうんとうなづいて、スケッチブックを青年に返した。 青年は、少しとまどってから、意を決したように顔を上げた。 「ボクのアトリエで描かせてもらってもいいですか?」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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