カテゴリ:短編小説
ココまでの話は、コチラ。
------------------- 「今の薬では白血球の数値がなかなか減らないので、薬の種類を変えてみましょう」 主治医は、祖父母を呼び出し、また詳しい話をしてくれた。 沙織の白血球は一向に下がらない。 「まだ、薬の種類はあります。でも、最終的には骨髄移植をしなければならなくなります。白血球の型が合う人を見つけなければならないのですが、親御さんが一番近い可能性が高いのですが、沙織さんのご両親は?」 「沙織の両親は、離婚してまして。母親の場所は分かってるのですが、父親の方は、今どこにいるか分からないんです・・・」 「親御さんがいらっしゃるなら、是非、ドナー登録してほしいのですが、出来ますか?」 「・・・連絡してみます」 「えぇ!今、忙しいのよ。休むなんて出来ないわ」 「お前、自分の子どもが大病を患ってるんだぞ。それなのに、なんだその態度は!!」 「・・・分かったわよ。型調べるだけだからね。さっさと終わらせて。仕事山積みなんだから」 祖父は、沙織の母親、つまり自分の娘に連絡すると、早急にドナー登録を勧めた。 こんな時まで、仕事仕事。 祖父は、憤りを感じていたが、今は沙織の体が一番心配だ。 どんどん痩せていく沙織を、これ以上見ているのは辛い。 母親の型は、みごと、沙織と一致した。 ただ、主治医は、薬で治せるなら、それで治した方が良いと言う。 骨髄移植は、最後の手段でとっておきましょうとのことだった。 母親は、これ以上時間が潰れなくて済んだと喜んで、沙織にも会わずにさっさと病院を後にした。 リリちんのショートショートでは、 【幸せのカケラ】の一話先が読めます♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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