2022/12/19(月)05:00
墾田永年私財法
七四三年の墾田永年私財法により、
それまでの土地国有制の原則は
大きく変わりました。
三世一身の法は田畑を自力で開拓した場合、
三世代にわたって私有が許される
期限付きの私有令であったため、
期限が近づくと田地が荒れる欠点をもっていました。
これを防ぐため、
今度は私墾田の永年私有を許可しました。
墾田は、自由にかつ永久に私財としてよい
という法令が出されたのです。
これにより全国に初期荘園が増大しまし。
ただし、これには条件がついており、
それぞれの位階に応じて
五〇〇町から一〇町までの
限度が設けられていました。
この法令は、この頃の浮浪人対策と同じように、
公田の枠ぐみからはみ出した墾田を
はみ出したままに把握し、
そこから田租の収入を得ようとしたものです。
しかし、毎年開かれる墾田を
政府が正確に把握することは難しく、
思うような効果は上がりません。
また、この法令が
大仏造立の詔発布の直前に出されているのは、
天皇が造立事業に
有力者たちの協力を得ようとしたもので
事実、大仏造立の事業には
地方の豪族たちが莫大な寄進をしています。