私の人生論 (思考が運命になる)

2023/05/11(木)05:10

海上輸送の技術

認識の歩み(1051)

インドでも、中東でも、 極東や西欧のような入り組んだ自然の 水路の網の目は存在しませんでした。 日本の刻みの多い海岸線、 支那の運河と川は、 西欧と同じくらい水上輸送にとって 都合のよい条件でした。 しかし、支那の社会構造は あまりにも官吏と大地主に牛耳られていたので、 海運や通商が自由に発展しませんでした。 日本は、平家が海に関心を示し 貿易に力を入れていましたが、 やがて勇壮な戦国の時代を経過したのち、 十七世紀のはじめに支那と同じように、 あらゆる海上の事業を禁止しました。 この間、西欧は進取の気象に富んだ商人階級が、 官僚の敵意に邪魔されずに、 地理的好条件にめぐまれながら、 海上輸送の技術の可能性にいどみました。 不順で潮流のむずかしい海域を 安全に航海するためには、 造船、航海術の改良が必要でした。 ヴァイキングの時代には、 櫂(かい)で方向をとるよりも ずっと能率的な船尾方向舵が作られ、 航海上画期的な改良がなされました。 それ以後、西欧は海運が隆盛になるにつれて、 のちアダム.スミスが『諸国民の富』において 記述することになった 経済的分化のありとあらゆる恩恵を受けたのです。

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