地球人スピリット・ジャーナル1.0

2008/07/19(土)07:50

父・力道山

スピリット・オブ・エクスタシー(108)

「父・力道山」初めて明かす父の実像、父への愛 百田光雄 2003/12 小学館 文庫 284p 原書1983年 頸文社 Vol.2 No.0197 ★★★★☆  力道山が亡くなった1963年が遠く昔のこととなりつつあった1983年、いきなり力道山ブームがやってきた。その中で、20年前はまだ高校生と中学生だった二人の息子たちが父親の思いでを語ったのがこの本。その後、さらに20年が経過して、長男はすでになく、2003年に二男がもういちど加筆・訂正して出版した。   (p60)  伝説の人物・力道山には数多くの伝聞があり、その太く短い人生は、ひとつの人間の生き方の典型として広く語り継がれている。その中にあっても、側近や妻という立場以上に、実子が書いたこの本には、さすがに実子でなければ書けないような真実がある。遠慮や突っ込みがあり、そして灯台下暗し的なあやふやさも、感じないわけではない。  力道山が子供たちに宛てた手紙が掲載されている。ひらがな文だ。あ、力道山は、半島出身だったので、文字を習うチャンスがなかったのかも知れない。一瞬、あさはかにもそんなことを考えてしまった。 しかし、それはまだ、小学校にもつかない子供たちへの手紙であり、4歳で読み書きができたという長男への配慮だったのである。豪放磊落にして、きめ細かい愛情にあふれた父親でもあったのだ。もちろん、他の要件の手紙も掲載されており、そちらはキチンとした漢字交じりの達筆である。 自動車もスポーツ・カーをはじめとして外車を何台も取りかえ、世界一といわれる高級車ロールス・ロイスも手に入れた。皇太子殿下が英国の女王の戴冠式に参列されたとき使用した二台のキャデラックがホノルルのシャーマン・ギャレージに払い下げられたと聞くと、さっそく父は、二台とも売ってくれとシャーマン・ギャレージに申し込み、二台とも手に入れた。黄色いオープンカーと新田新作氏にプレゼントしたブルーのキャデラックがこの二台である。この一件も、二台とも欲しいというところがいかにも父らしくておもしろい。p59  このような車をほしい、と思うこと自体、とてつもないことだが、それを実現してしまうのだから、さらに凄い。 ベンツの300SLを手に入れたときなどは、新聞社が正月用の写真を撮りにくると、父親はこの300SLのドアを半開きにして半身をのり出してこういったものだ。 「ちゃんとベンツのマークも入るように撮ってくれよ」p61 (p63)  ここでは、ロールスロイスよりもアメリカ車やドイツ車に熱をあげている力道山がいる。中沖 満「力道山のロールスロイス」では、このまだ300キロしか走っていなかった濃紺のロールスロイスに、力道山は、新婚の奥さんに抱かれて、遺骨となって乗ったという、悲しい経緯が書かれている。

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