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近江八幡市のボーダレス・アートミュージアムNO-MAに行ってきました。
ボーダレス・アートミュージアムNO-MAは、アール・ブリュットと呼ばれる芸術を主に扱う美術館です。 アール・ブリュットは、「加工されていない、生(なま・き)のままの芸術」を意味するフランス語で、専門的な美術教育を受けていない人が、伝統や流行などに左右されずに自身の内側から湧きあがる衝動のまま表現した芸術のことを指す言葉です。 個人的な感想ですが、他にはない一味違ったアートが見られるとても興味深い美術館だと思っています。 現在、NO-MAで行われている企画展は、「快走老人録II-老ヒテマスマス過激ニナル-」です。 出展者6名は、すべてお年寄りという珍しいコンセプトの企画展です。アール・ブリュットの作品と一般アーティストの作品が、ボーダレスに並列されて展示されているのも特徴です。 建物入口では、「受付」と書かれた机に座ったかかしがお出迎えしてくれます。これも展示作品の一つだそうです。 1階には、こけしや箸袋などを長年にわたって収集した白井貞夫さんのコレクションや、認知症のお母さんを介護する日常をアートに転化した折元立身さんの作品群が展示されていました。 その中で、素朴ながらも印象的な作品で異彩を放っていたのが、福田増男さんの作品です。一冊の古い「ぬり絵帳」を鉛筆でトレーシングペーパーに写し取っていく手法で制作されており、絵のモチーフは、野菜、果物や動物たちなど、かわいらしいものばかりなのですが、単純な「かわいい」というだけの枠には収まりきらないような不思議なオーラがあります。 また、アール・ブリュットの作家たちによく見られる傾向の一つに「作品数の多さ」があるのですが、福田さんにもそれがあてはまるようです。うずたかく積まれた作品の山は、彼のあくなき制作意欲を雄弁に語っているように思えました。 NO-MAは古民家を改築した美術館なので、中庭があります。 中庭は、かかしだらけでした。 ! 全部かかしです。 かかしが、庭でビールを飲んでいたり、植木の手入れをしていたり、手押し車を押しています。ビデオカメラでこちらを狙っている怪しいのもいます。なんとも不思議な空間で思わず吹き出してしまいそうです。これらのかかしたちは、小西節雄さんによる作品で、中庭のいたるところで来館者をお出迎えしてくれます。すぐに見つからない意外な場所にも、かかしたちが潜んでいました。是非探してみてください。 庭を後にして、2階に向かいます。 階段を上ると、地域のお祭りの様子などをパステルカラーの優しい色使いで華やかに描いた独特のタッチの絵画が迎えてくれます。鹿児島の西之原清香さんの作品です。ちなみに西之原さんは81歳の男性です。鮮やかでやわらかく、温かみがあって実に不思議な色鉛筆の絵です。 西之原さんは、軽度の知的障害がある方で、障害者施設に入所されているそうですが、長年このような優しさにあふれた絵を描き続けているそうです。きっとご自身も心優しい人なのでしょう。 NO-MAには、もう一つ特色があります。 それは、畳の上でアートを鑑賞できることです。 築80年の古民家を改築した建物で、1階は、普通に美術館ぽいのですが、2階は和室に畳です。美術館なのに畳に和室です。床の間もあります。畳なので、あぐらをかいてゆっくり作品を鑑賞することができます。解放感があってとてもいいです。すぐに立ち去ってしまうのはもったいないような絶好の癒しスポットなのです。 その和室の奥に、中川幸夫さんの作品が展示されています。これも心を動かされる作品でした。 中川さんは、既存の華道流派には属さず、独自の「生け花」を追求した方です。NO-MAに展示されているのは、ちぎったチューリップの花びらを積み上げてつくった「魔の山」や、まるで意思をもった生き物のように枝や花をひろげる「みもざ」など。花はやがて枯れ、命つきるものですが、中川さんは、その生命をとどめるために、写真という手法を使っています。花の命の輝きが頂点となる瞬間を収めた写真を展示していて、ダイナミックで独特の表現は圧巻で一見の価値があります。 2階奥のライブラリーコーナーでは、一般の子どもたちとのワークショップ「レッツタイムトラベル!60年後の私に変身!?」で作った作品も展示されていました。いろんな取組みをやってるんですね。 NO-MAは、小さい美術館ですが、「こんなアートもあるんだな!」と、見る人の視野を広げてくれる素敵な場所です。 ギャラリートークなどの関連イベントも定期的に実施されていますので、ホームページで内容や開催日、入館料等をご確認の上、是非お立ち寄りください。ご紹介した「快走老人録II-老ヒテマスマス過激ニナル-」の会期は11月24日(月曜日・祝日)までです。 http://www.no-ma.jp/ ちなみに、NO-MAは近江八幡の観光地の中にあります。鑑賞後は、八幡の古い町並みを見ながら散策したりして一日のんびり過ごせます。日牟禮八幡宮や八幡山のロープウェーもすぐそばです。周りには、しゃれた雑貨屋さんやカフェなどがたくさんあり、うろうろするだけで半日くらいはたっぷり楽しめます。おみやげの定番、たねやさんのバウムクーヘンも近くで買えます。秋の行楽シーズンに向けて一押しのお出かけスポットです! また、今回NO-MAは、どの場所も撮影が可能です。ご自身で撮影スポットを探してみてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.09.05 18:01:50
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