2015/02/28(土)23:26
浅田真央ちゃんのプログラムについて
真央ちゃんの今季のプログラム、SP「仮面舞踏会」FP「鐘」はどちらもロシアの作曲家の作品です。
格調高い旋律の繰り返しが印象的な重厚感のある曲です。
人妻のニーナが疑心暗鬼に囚われた旦那に一服盛られてのたうちまわり、息絶えるまでをイメージしたのが昨季のFPでした。
今季SPはそれと同じ曲を短縮し、「華やかな仮面舞踏会に初めて参加する」イメージだといいます。
しかしジャッジにその違いが伝わっているかどうかは疑問です。
余談ですが、昨季の仮面舞踏会はジャッジや海外のスケート関係者には評判があまりよくなかったという意見もあります。
同じ旋律の繰り返しでメリハリがない、盛り上がりがない、真央のイメージと曲が合っていない、滑って跳んでの繰り返し、ジャンプするためにただ滑っているだけに思える、などなど。
マイナスのイメージを持っているジャッジや関係者の印象を覆すことは難しいと思います。
FPの「鐘」は、真央ちゃんのコーチであるタチアナ・タラソワが、トリノオリンピックでアメリカのミッシェル・クワンに作った幻のプログラムの曲です。
「鐘」は、クワンがオリンピックで金メダルを獲るためにタラソワが選び抜いた曲です。
クワンの演技を思うと、ラスボス感ある「鐘」はクワンの持つイメージにぴったりです。
しかし、真央ちゃんに「鐘」のイメージがあるかどうか・・・。
結局クワンはトリノオリンピックには出場せず、荒川さんが「トゥーランドット」で素晴らしい演技をし、金メダルを獲得しました。
今まで、真央ちゃんのイメージやスケーティングに合うと思ったのは「くるみ割り人形」「ノクターン」「幻想即興曲」の辺りでした。
美しい旋律のピアノの曲が似合います。
真央ちゃんの持つ明るい清らかなイメージと洗練されたスケーティングには、軽やかで透明感のある美しさがぴったり。
真央ちゃんは技術的にも高難度で、その上に芸術的な要素でも申し分のない才能を持つ稀有な選手です。
柔軟性があるので美しいポジションでの滑りができ、姿勢がいいのでただ滑っているだけでも品があるのです。
真央の武器は美しいこと_____前コーチ、ラファエルが言った言葉です。
軽くて重力を感じさせない滑りは、妖精や天使が氷の上で踊っているような表現ができます。
幼稚だ、子供っぽい、お遊戯会のよう、表現力がない・・・そんな意見もありましたが、とんでもない!
誰にも真似ができない真央ちゃんだけができる滑りだと思います。
多くの子供たちが憧れ、人を惹きつける真央ちゃんの持つ世界です。
大人っぽい演技を目指したプログラムの中では、「ラヴェンダーの咲く庭で 」、EXの「タンゴ」が個人的には好みです。
上品で格調高い曲ですがとっても似合っていたと思います。
「くるみ割り」と対のSP「カルメン」も可愛らしさがある中に、ちょっとした大人っぽさが見え隠れする様子が感じられました。
真央ちゃんの演技中にする何気ない仕草は上品なので、とても自然なエレガンスが大人っぽさになるんですね。
無理をして大人っぽさにこだわるよりも、真央ちゃんの持つ明るく清らかなイメージと、しなやかで柔軟性のある演技、ふわふわな滑りを生かして、エレガントな振りで大人っぽさを演出したほうがいいと思います。
個人的にオリンピックには当たり曲を持ってくると思っていました。
クラシックピアノで「英雄ポロネーズ」「ラ・カンパネッラ」「愛の夢」
映画音楽では、ジブリ音楽(久石譲)、「パイレーツ・オブ・カリビアン」なんかもいいです。
バレエ音楽でいうとSPは黒鳥、FPは白鳥、とかね。
真央ちゃんにはピアノが良く似合いますが、ジブリ音楽も合うと思います。
真央ちゃんが大人になる前にぜひ一度、エキシでもいいのでジブリ音楽で滑ってほしいです。
曲もプログラムも滑れる「時期」があります。その旬の時期を逃さないように、見極めてほしいと思います。
真央ちゃんは、曲も演技構成も変更する予定はないようですね。
ライバルとしてみたなら、これは願ってもない展開だと思います。
真央ちゃんのイメージにない、重厚で、難解な曲。
しかも最高難度の3Aというジャンプにこだわり、それに捉われて他の3-3や美しいジャンプを入れてこないでくれる。
昨今のルールでは、少しのミスでさえ、大幅に下げる理由になります。
ジャンプさえ手堅くまとめて、ミスさえ感じさせなければ、ぐんと勝てる率が上がります。
雰囲気重視です。
キムヨナ陣営の戦略ではシーズン序盤でライバル陣営に戦意喪失させるのが狙いでした。
「もう何をやってもかなわないんじゃないか」と思わせること。
そして「完璧な演技とプログラムだ」とジャッジに思い込ませること。
それに全てを注いできました。
よく見ると、キムヨナは結構ミスしていますし、真央ちゃんと比べるとプログラムの内容は大したことはやっていません。
キムヨナの演技は、足元を見ると魔法が解けてしまいます。
印象的な音楽と振り付け、ただそれだけです。
キムヨナのコーチと振付師は、独自の美意識を持つ方達です。
ヴォーギングという芸術性の高いダンスがありますが、キムヨナはまさにそれです。
表現力が素晴らしいといわれていますが、アゴの角度から目線に至るまで事細かに指定されています。
美意識にうるさいコーチと振付師の指示のたまものです。
柔軟性とスタミナがないために、なんとか最少の労力で最大限の効果を引き出すというプログラムが作られています。
しかしキムヨナの演技は何度も見ると印象が薄れ、粗が見えてくるのでリピートされればされるほど、都合が悪いはず。
それに反して真央ちゃんの演技は、見れば見るほどその凄さがわかります。
難しい技やポジションをさらっとやってしまっている為に、スケート経験のない人やジャッジにはわからず、その凄さが凄いと思われないのです。
もったいつけて、「どうよ?これすっっごい難しいんだからね!!どりゃー!!」と滑るのと、軽々と「よいしょっと♪」と滑るのでは印象が違います。
誰にもわかりやすいようなプログラムのほうが今は高得点と加点をもらえるようです。
ロシア杯での皇帝プルシェンコの演技、休み処がたくさんあって笑えました。
キムヨナばりに上半身だけの決めポーズが多くって、盛り上がる音楽に合わせてうまく滑っていました。
復帰してまだ滑りきるだけの体力がないんだと思いますが、音楽の強弱に合わせて巧妙に止まって休んでいました。
たとえ全く滑っていない時間があっても、ステップ中にも関わらず止まって表情だけの時間が長くあっても、すべて「メリハリ」「表現力」という名の魔法の呪文に変わります。
今のルールはどうやら、止まって休んだもの勝ちのようです。
易しいジャンプを手堅くまとめて、一見ノーミスふうに滑ればオッケー。
つなぎに劇的な表情と、止まって大きな手振りが入れば高得点のボーナス付き。
跳べるジャンプが少なくても、柔軟性がなくても、曲のメリハリと衣装と印象的な振り付けがあればトップ選手の出来上がり。
でもさすが皇帝プルシェンコ。
エキシビションでは、4回転を跳んで観客をあっと言わせました。
それだけでなく、3Aを3回も!!!!!!
ふつう試合でもないのに、高難度のジャンプをエキシでは入れてきません。
昨今の大技回避傾向にあるフィギュア界に、挑戦的ともいえる内容でした。
3Aを3回跳んだプルシェンコ。
真央ちゃんに向けた何かのメッセージ?それともエール?と思いたい私です。
が、まーそんなドラマティックなことなんてなくて、ただのアピールかもしれませんが。
(試合ではあえて難易度を落とし、スカスカの演技でしたから)
プルシェンコが試合で4-3を跳んだことで、男子のレベルが一気に上がりました。
男子シングルでは4回転を跳んでくることがメダルへの絶対条件となるでしょう。
オリンピックの金メダルは、男子は混戦と見られていましたが、4回転が必須となるとかなり限られてくると思います。
スポーツとしての側面から見ると、技術の向上は喜ばしいことです。
前のオリンピックと比べると、技術的難易度はどう変わっているでしょうか。
スポーツは、技術の向上、選手の成長なくしてスポーツたりえません。
女子のほうは、今のところただ一人の独走体制です。
なにしろ何をやっても、たとえミスをしていても、ルールとジャッジに愛され続けているのですから、手のつけようがありません。
ルール改正に踊らされ続けた日本のフィギュア界ですが、日本のスケート連盟はいったい何をやっているんでしょうか。
ここ数年、日本の選手の味方でなく、誰の味方をしているのかと思わされることが多々あります。
日本の選手が被害にあったり、不利になってもなんの対策もせずにスルー。
何かあっても選手に責任を押し付け、雑誌や新聞・ニュースに出すコメントも見当違いもいいところ。
選手は連盟の金儲けの手段ではありません。
自分たちの保身や収入だけでなく、まずは選手のことを考えるべきだと思うのですが。
採点競技であるフィギュアスケートは、過去のオリンピックで不正が行われました。
同じ悲劇が繰り返されないよう、細心の注意をはらってほしいものです。
真央ちゃんは今のプログラムの完成形を求めています。
全て成功したら最高のプログラムになるでしょう。
芸術家タラソワの理想、究極のプログラムが形になるのです。
タラソワは芸術家ですから、計算はできません。高得点を獲りに行くプログラムよりも、芸術性を重視します。
不恰好な滑りやブツ切りでプログラムの流れを無視して得点を獲りに行くよりも、トータルでの芸術度と難度の高さを優先すると思います。
今のルールで得点が出ないのは仕方ありません。
ジャッジにはそれを見極めるだけの力を持った人は少ないというのもあるでしょう。
個人的には、FPのステップを見るたびにゾクゾクするんです。
ラストに向けての音楽と、迫力のあるステップがぴったりですごいプログラムだなと感動します。
天使を演じられるかもしれない才能を持つ真央ちゃんが、何かに追い詰められ、苦しみを知ったように感じられます。
ジャンプが決まらなくて、悲痛な表情に見える真央ちゃんの演技を見るのはつらいのですが、真央ちゃんは今、自分の中にいろんな引き出しを作っている状態なのでしょう。
金メダルを獲るには、何かを捨てて、何かを選ばなければなりません。
自分の理想を追い求めるか、結果を追い求めるか。
そのどちらもが一致すればこんなにいいことはありません。
真央ちゃんが世界チャンピオンになったとき、ヨーロッパのメディアは「春のお姫様」と表現しました。
小さな子供たちに憧れられ、たくさんの人から愛される真央ちゃん。
「春のお姫さま」これ以上ないくらい真央ちゃんにぴったりです。