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2009/03/04
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カテゴリ:つぶやき

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開店とともにガラッと扉が開いて

ひとりの男性が入って来た。

年齢は30前後と見た。

難しい顔をして何だか人を寄せ付けないような怖い表情。

「ジーマと、ささみ霜降り・厚揚げ・焼き鳥の心と皮」

オーダーを聞き、ドリンクを出し、すぐに調理にかかった。

彼はずっと入り口のガラスのドアから外の通りを見つめている。

料理を作り終え、最後に厚揚げを出して、彼がその厚揚げを口にした途端

「この厚揚げびっくりするくらいうまいな!ほんまうまいわ!」と笑顔で言ってくれた。

そして彼は、言葉を続け「ママさんら、なんか好きなもん飲んでな^^」

いつもならこんな早い時間からは、いくらお客さんからどうぞと言われても

頂かないのだけど・・・

この時は、感とでも言うのか?!飲んだ方がいいなと思い

「ありがとうございます!遠慮なく頂きます^^」と、

生ビールの小を入れ、乾杯し頂いた。

「この厚揚げどうやって作ってるん?」と聞くその男性に、

絹こしを素揚げするんよと簡単に作り方を教えて、会話も少しスムースになった頃、

彼がいきなり「俺、もうすぐ心臓の手術やねん。。死ぬかも知れへんし

ビール今飲まなくてもいいから、美味しい厚揚げのお礼や10杯ほどつけといて!」と・・・

なんて言って返事をすればいいのかと一瞬頭をよぎったが、

きっと何の関係もない行きずりのお店の人間だからこそ、

話し出したのだと思い、「そんなに悪いんですか?」とか

会話がスタートしてしまった。

聞く所によると Miccoが入院していた国立循環器病センターで手術だとか・・・

Miccoの記憶の中のあの建物の情景が浮かんできてしまった。

思わずMiccoはあそこで手術ならと言いそうになるのを寸前でやめ、

「心臓・循環器ではあそこが一番!私も2年間で8回入退院繰り返した思い出の病院なんです」

と言葉を変えて言った。

彼の話によると、「この近所に元カノが居て手術の前に一度会いたくて駅から降りてくるのを

お店の中から通りを見ながら待ってるねん」とのこと。

よほど厚揚げ気に入ったのか、もう一回厚揚げを注文し食べ終わると、

お勘定をして出て行こうとしたので、

「元気になって、また美味しい厚揚げ食べに来てくださいね^^¥」と

変な励ましの言葉をかけて見送った・・・

お酒のジーマは流石に残していたけど、厚揚げ御代わりもして、

そんな大病のようには見受けなかったが

出て行った後も、その彼のことが気になってた。

それから30分もしなかったと思うが、雨に少し濡れて彼は、またお店に入って来た

「会えんかったわ。。。」

少し沈黙・・・・・・・・・・・

「ママさん、紙と書くもん貸して」

彼はカウンターで何やら一生懸命書き出し、

しばらく物思いに耽った様子で通りを眺めてた。

きっと留守の彼女の家にその手紙を入れに行くんだろうと思い、

「まだ雨降ってるし、さっき少し濡れてたし体によくないから傘持って行ってね」と見送ったが、

彼は「返しに来れないかも知れないから傘はええわ」と受け取らなかった。


開店一番のお客さんとのやり取りだったけど、

彼のその後が妙に気になって・・・

いつか、元気になって厚揚げをまた食べに来てくれるのを、

楽しみに待つことにしようと気持ちを入れ替えた。

本当に手術が成功し元気になってくれることを心から祈った。


Micco



フォトエムの置き場http://blogs.yahoo.co.jp/bluerosecafe_micco

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最終更新日  2009/03/04 11:53:35 AM
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