山を貫く
一般社団法人日本トンネル技術協会のHPからトンネルに関する漫画、小説などの紹介記事がありました。その中に「山を貫く」の紹介があり、これはぜひ読みたいと思っています。<紹介文>「山を貫く」もりた なるお、文藝春秋 1992.11 明治黎明期を舞台として、西洋画の先駆者高橋由一の悪戦苦闘を政府の命を受け鬼地方長官と呼ばれた三島通康からの「栗子山隧道記録画の作成」依頼を通じ描いた書下ろし長編小説である。 文明開化のなか、西洋画普及の実践者高橋由一<脂派(やには)>は、急激な欧化に対する反動にもめげず、自らの信念を貫き通したひとりである。大久保利通から地方長官に命ぜられ、「道路を開発こそ近代国家建設の大命題であり、道路は、すべて中央政府に直結する。」とする信念の持ち主の三島通康は、栗子山隧道の記録画として高橋由一に依頼した。 栗子山隧道は、山形県の米沢と福島県の福島を結ぶ全長804mのトンネルで明治11年の初めに工事着工し、明治13年12月に貫通した。標高1,217mの抗甲山(栗子山)の山腹を穿って出来上がったもので計画された当時は狂気の沙汰とだれひとりとして成功を信じていなかった。 完成間近い絵は、何かが足りない。苦悶の末、白い絵具を溶いた。見る見る内に絵は賦役によって難工時に従事したものの悲鳴と絶叫が生き返り、自己を主張する絵に変貌した……。 栗子山隧道の絵は、宮内庁および(財)山形美術館に所蔵されているとのこと。 2015年5月17日 栗子山隧道初見参2 posted by (C)coolway2高橋由一の栗子山隧道2 posted by (C)coolway2高橋由一の南置賜郡万世新道の内栗子隧道西口の図1 posted by (C)coolway2高橋由一は日本洋画の父と称され、「花魁」や「鮭」は重要文化財となっています。