テーマ:Jazz(1977)
カテゴリ:★★★★
キャノンボールの陰に隠れて目立たないながら実は超実力者のナット・アダレイだが、どうもナット作品はファンキーなイメージが強すぎてあまり好きではなかった。おそらく"Work Song"のイメージが強すぎるのだろう。でも、ナットの音コルネットへのこだわりには、ちょっと共感を覚えるものがある。
話は脱線するが、コルネットの丸くて詰まったようなサウンドはフリューゲルホーンでは出せない。音色のバリエーションはトランペットやフリューゲルホーンよりもコルネットの方が引き出しの数が断然多いのだ。ナットの場合は引き出しの一部しか使っていないような気もするが、ナットが軽く吹いた時のつやつや感は、トランペットの神様-クラーク・テリーの音に匹敵するほど美しい。 話を本題に戻すと、このCDはナットのワンホーン・アルバムで、ファンキー臭さはあまり感じない。ナット特有のアップテンポでのすばしっこさとミディアム~スローでの堂々とした歌いっぷりがたっぷりと楽しめる。前半の1~4曲目はザビヌル、サム・ジョーンズ、ルイス・ヘイズという、キャノンボール・バンドのリズムセクションとの演奏。後半5~8曲目は、ケリー、チェンバース、フィリー・ジョーというマイルスバンドのリズムセクションとの演奏。これだけでも興味深い作品だと思う。 1曲目"Naturally"はスイング感が心地よい曲。ナットの無理のないフレーズが気持ちよくはまる。サム・ジョーンズのベースがビンビン入っているのも嬉しい。2曲目"Seventh Son"はザビヌル作品でユーゼフ・ラティーフも演奏しているというキャノンボール一家ゆかりの曲(?)だけあって、このメンバーで演奏すると味わい深いものがある。3曲目はスタンダードで"Love Letters"。ナットはバケットミュートを使っているようだが、これがハーマンミュートであれば、マイルスっぽくなっていたはず。曲の節回しがマイルスくりそつなのである。容貌とサウンドが一致しないので普段はやらないだけなのかもしれない。4曲目"This Man's Dream"はいつものナットらしいガチャピンサウンドが出てきそうな曲調だが、意外なことに落ち着いた演奏を聴かせる。こんなナットは滅多に聴けるものではない。 5曲目"Chloe"でもナットは落ち着いた演奏を聴かせる。ケリーのソロが素晴らしいのだが、ピアノの調律が狂っているらしく、ちょっと気持ち悪くなる。(このセッション全体でピアノの調律に難ありのようだ。)6曲目はフレディー・レッドの曲"Image"。一聴すると"Speak Low"のようだが、実はモードの曲。マイルス風の演奏と言うと身も蓋もないが、まぁそんなところだ。7曲目"Oleo"では、ようやくいつものガチャピン風ナット節が現れる。今までもったいぶって吹いてきたのは何だったのか・・・全くの別人ぶりに驚かされる。ナット節は次の8曲目"Scotch and Water"でも続くが、それでも比較的おとなし目の演奏だ。 全体的に地味な感じのする作品だが、ワンホーン作品としてじっくり味わうには良い作品だと思う。 猫麻呂ポイント:★★★★(4.0) Nat Adderley / Naturally! (Jazzland) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年02月11日 16時01分18秒
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