テーマ:Jazz(1977)
カテゴリ:★★★★
クラリネットという楽器は、何故かモダンジャズではあまり使われない。この現象、どんな背景があるんでしょうネェ・・・。猫麻呂仮説として2通り考えてみました。
猫麻呂仮説その1は、ジャズ・クラリネットといえばスイング王ベニー・グッドマン、モダンジャズ・クラリネットといえばデフランコというのが固定観念になってしまったのが問題だという説。クラリネット奏者人口はサックス奏者人口と比較して少ないはずはなく、テナーサックス界でのハンク・モブレーやデクスター・ゴードン、スタン・ゲッツのような個性的なプレイヤーがクラリネット界でも次々と出て来ても良さそうなのだが、不思議と出てこない。結局のところ、「ベニー・グッドマンのように吹いてくれ」という客の要望に応えることが、クラリネット奏者として生きていくためには必要条件だったからなのではないか・・・、と某国のクラリネット業界を横目で見てると思えてくるのである。グッドマンというあまりにもポピュラーな存在が、ある意味でジャズ界の健全な成長を阻害してしまったということなのだろうか。 猫麻呂仮説その2は、クラリネットという楽器がお上品な音楽に向いているのではないか、という説。クラリネットの音量が小さいから・・・という話をよく聞くが、決してそんなことはない。昔のシドニー・ベシェとかエドモンド・ホールなんていうのは、トランペットより音量のデカい録音が山のようにある。しかし、クラシックで使われるクラリネットの音は、やっぱり小さい。クラシック的な音色を出している限りでは、クラリネットは室内楽的な楽器なのだろう。アウトドアでビヒャーとやる楽器としては本来は不向きであり、間違ってもイリノイ・ジャケーやロックジョー・デイビスにバトルを挑むことなどありえない楽器なのだ。だからクラリネットの得意分野としては小洒落たスイングジャズがメインになるのも解らなくはない。(個人的には現代音楽に最も向いている楽器がクラリネットとフルートだと思うのだが・・・。) 前書きが長くなってしまったが、今回の作品はあれこれコメントしても仕方ない作品なのだ。古臭い表現だが「ゴキゲン」で「ハッピー」な音楽という以外に言うことがない。そのくせ小洒落ていて、デフランコとオスピーという名人の対決という割りにはすんなり聴けてしまう。何ともケチのつけようのない作品なのだ。ただし、デフランコがソニー・クラークやケニー・ドリューと録音した他のヴァーヴ盤と比較すると「モダニティの追究」という求道的なところがなく、今ひとつ重みに欠けるというか、聴いたあとで満腹感がない作品だと思う。 Buddy DeFranco and the Oscar Peterson Quartet (Verve) 1. Sweet And Lovely 2. Fascinating Rhythm 3. Love For Sale 4. Easy To Love 5. Pick Yourself Up 6. They Can't Take That Away From Me 7. Lullaby In Rhythm Buddy DeFranco (cl), Oscar Peterson (p) Ray Brown (b), Herb Ellis(g), Louis Bellson (ds) Los Angeles, October 29, 1954 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年07月22日 23時17分48秒
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