テーマ:Jazz(1977)
カテゴリ:★★★★
タイトルを見たときは「未発表音源発見か?」と喜んで直ぐにオーダーを入れたのだが、どうやら内容はXanaduの"Bebop Revisited Vol.5"にSteepleChase音源が2曲プラスされたものらしい。聴いてみると、どこかで聴き覚えのある音源だった。すっかりダマされたのだが、それでもドーハムを聴くと嬉しくなってしまうのだから困ったもんだ。ダマす阿呆に買う阿呆、同じ阿呆なら聴かなきゃ損々・・・。
猫麻呂にとってのドーハムは「萌え」でもあり「燃え」でもある。ビバップは、とかくパーカーやディジー、バド、モンクなどという超弩級の天才の話が中心になってしまうけど、天才じゃない普通のバッパーがいい感じなのだ。代表格はデクスター・ゴードンとケニー・ドーハム。普段ジャズを聴くときは「このフレーズ使えそう・・」といったお勉強モードが入ってしまうのだが、ドーハムやデックスの場合はなぜか溺愛モードで音楽に浸れるのだ。ハートウォーミングなバラードもいいけど、アップテンポのバップ曲での燃え上がり方が好きだ。音楽の構成はともかく一発ガツンかましてやる・・・的なアプローチをされると、問答無用でアドレナリンが放出されてしまうのだ。このときの気持ち良さときたら・・・。 さて、今回のCDの話に戻すと、バリー・ハリス&アル・ヒースとのセッション6曲とテテ・モントリウ、ペデルセン、アレックス・リールのセッションでは随分雰囲気が違う。前者はまさにバップ・セッション。40年代の放送用録音のような録音の悪さが40年代のガチャピンな雰囲気を醸し出している。バップ・チューンが多いこともあって、ドーハムも40年代のパーカー・クインテットのような暴れっぷりなのが嬉しい。"Ma, He's Makin' Eyes at Me"でマッタリするもよし、バラードのようで実はブローしまくりの"Around Midnight"で燃えるもよし、"Tin Tin Deo"でノリノリになるもよし・・・。40年代からジャズメッセンジャーズ加入直後あたりのむき出しなバッパーぶりが復活したかのような熱い演奏なのだ。これがドーハムの本質なんじゃないかな。 最後の2曲は枯山水のようなドーハムが聴ける。体調があまり良くなかったのだろう。音はか弱く、音程もどことなく不安げで、今にも消えてしまいそうである。こんなドーハムを聴くと、ついつい応援したくなってしまうのだ。頑張れ!ドーハム!しかし、こんなドーハムだからこそドーハム節のメランコリーが増幅されるのだろう。聴き終わるころには、すっかり目頭が熱くなってしまうのである。ウルウル・・・。 この1枚を好きになれるかどうかでドーハム好き度がチェックできる作品といえるだろう。 猫麻呂ポイント:★★★★(4.0) Kenny Dorham - Barry Harris Quintet / New York 1964 (RLR) 1. Introduction 2. Confirmation 3. Ma, He's Making Eyes at Me 4. 'Round Midnight (07:40) 5. Theme 6. Tin Tin Deo Kenny Dorham(tp), Barry Harris(p), Julian Ewll(b), Albert "Tootie" Heath(ds) Recorded live in New York, August 21, 1964 7. Scandia Skies 8. Manha Da Carnaval Kenny Dorham(tp), Tete Montoliu(p), Niels-Henning Orsted Pedersen(b), Alex Riel(d) Recorded live in Copenhagen, Denmark, December, 1963 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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