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Serendipity

2006-2007

2006年05月12日 『文法書ってすごい』


ここ2・3日、毎晩寝る前に文法書を読んでいました。
わたしが塾で教え始めてから愛用している文法書は、『英文法解説改訂3版』です。

塾講師を始めて生徒に英語を教えなければならなくなってから、ただなんとなく英語を使っているような状態ではなかなかうまい説明ができず、壁にぶつかることがあります。そうやって行き詰るたびに紐解いては勉強させていただいている一冊です。

ここ数日文法書を読みつつ眠るに至った理由は、新しく受け持った生徒さんにあります。その生徒さんは大学の浪人生なのです・・・。

さすが浪人生は勉強に対する厳しさが違います。某大手予備校と平行して通っているらしく、その予備校の指導法の影響なのか、はたまた性格なのか、やたら文法的説明を求めてきます。

色白の顔で、受験生特有の神経質さと思春期特有の繊細さでもって、文法的解釈を迫ってくる姿は・・・・・・けっこうコワい^^;。

でもここで「コワい」とも、「そんなのわからない」とも言うわけにもいかないので、ここは「その勝負、受けてたつわい!」と、わたしも文法書を紐解き、頑張っているわけですね。

でもね、こういうのってすごく勉強になるんですよね。
文法書を開いて、「こう説明すれば納得してくれるかなぁ」とか、時には「ああなるほどなぁ・・・」と頷きながら、わたし自身に欠けていた、あいまいだった知識が補強されていく感じがするんです。

それにしても感心するのが、この文法書を書かれた江川総一郎氏の英語力です。この文法書の初版が発行されたのは、なんと1953年。その時代に英語をこのようなレベルまで会得されていたそのお力には脱帽だなぁ・・・と思います。

今の時代は、少しの努力でいくらでも英語に接することができる時代です。この時代に生まれたメリットを生かし、英語の先達に対し恥ずかしくないような英語力をつけていかないとなぁ・・・と思いました。

そして例の浪人生くんとも、すぐにはムリでも、良い関係を築いていけたらと思います。いろいろな点で、頑張るぞ☆







2006年05月20日 『がんばろう。』


ここ最近ユウウツな状態が続いていました。その原因は、塾の生徒さん。

以前の日記にも書いたのですが、この5月からわたしは浪人生に英語を教えています。これが・・・しんどいんです。

教えること自体は辛くはないんです。授業の内容は、高校3年生向けの長文読解の問題集をやっています。教えるための予習には他の生徒さんに対してよりも多くの時間が必要ですが、自分の勉強にもなるし、その点は気になっていません。ただ、生徒の態度が・・・悪い。

簡単に言うと、態度が横柄でわがまま。わたしが教えることについて、反抗してきます。彼の中では、まず自分の答えが一番正しいようです。だからたとえ解答が間違っていても、それを否定されるとすごくプライドが傷つくようなんです。

こういうタイプの生徒さんは確かに今までもいました。
といっても中学生ですが、自分が間違えるとすごく抗議してくるんですよね。
自分の答えでもいいじゃないですかぁ・・・って。でも、そんな生徒さんも、数回教えるうちにお互いの教え方・教わり方が確立できてきて、だいたい良い具合にバランスが取れてきたんですね。

今の生徒さんは、全くダメです。
心を開いてくれないし、間違えるのが嫌なようなので、それなら自分で答えを導き出せるようにヒントを与えると、今度はそれが気に入らない。「それはわかってる!」とかなんとか言って、とりつくシマなし・・・なのです。

それに気になるのが、もう18・19歳なのに本当に子供なのです。
難しいお年頃なのかもしれませんが。
挨拶もなし。
いつも横柄な態度。
もう少し大人であって欲しいと思うのは、わたしの講師としての度量の小ささなのでしょうか。ひとりの人間同士として、適度な敬意と距離感をもって接することってできないのかな。

浪人生って辛いと思う。
もしかしたら、彼にとっては初めての挫折かもしれない。
だから、解いている問題を間違えたら焦るだろうし、自己弁護のために人に噛み付きたくもなると思う。
でもさ、それじゃ自分や人を傷つけるだけで、何も解決しないと思うんだよ。

わたしは大学浪人はしたことはないけれども、社会に出てから何度も挫折を経験をしたし、その時は本当に辛かった。周りの人のひとことひとことが自分を責めているようで。だから世間から身を守るためにいつも気持ちを尖らせていた。イライラしていて、嫌な人間だったと思う。

浪人生のきみは、何だかまるで昔のわたしみたいだよ。
だから、きみの抱えるしんどさもわかるような気がする。
・・・でもだからといって「辛いんだろうから、しかたないよね」とも言いたくない。

週に2回。計3時間。
いっしょに時間を過ごして、それなのに嫌な経験ばかり積み重なっていくのはしんどいです。どうすればいいのかなぁ・・・

・・・と、そんなことを考えながら、運転していた車の窓から外を眺めていたら、ヒューっと、一台の自転車が前を通り過ぎました。

見覚えのある顔。

そう、それは昨年英語を教えていた中3生のハリネズミくんでした。
(ハリネズミくんについては、詳しくは前のページをご覧ください。)
高校生になっても相変わらずのジャージ姿で、『魔女の宅急便』に出てくるトンボさんみたいに飄々と走り去っていきました。

思えばハリネズミくんも大変な生徒さんだったな。
でも一生懸命頑張ってくれたっけ。

ハリネズミくんを見かけたのをきっかけに、わたしは昨年度教えたたくさんの生徒さんのことを思い出しました。みんなそれぞれ個性があって、時には反抗されたり、険悪になったこともあったけれども、不思議なぐらいかわいかったな。

そんなことを思い出したら、不思議ですけど、パワーがわいてきました。
頑張ろうって、思ったんですね。

いろいろあって、塾講師を始めて、もうすぐやっと一年になります。まだまだ新米。これからもいろいろなことが、嫌なこともうれしいこともたくさんあると思いますが、投げ出さずに、そのときそのときのベストを尽くして頑張りたいと思います。







2006年05月21日 『愛他心を持とう』


昨日の日記では「相性の悪い生徒さんへの指導も頑張ろう~!」と決意しましたが、いかに頑張るかについても考えてみました。

今まで4回ほどその生徒さんの授業を受け持ったのですが、気づいたことは、とにかく神経過敏だということです。

とにかく間違えたくない。間違えてしまった問題や、解けない問題は、問題が悪いせいにする。わたしからの指導もプライドが傷つくのでできるだけ受けたくない。

上記のような特徴があります。

これらに対し、下記のような対応をしてみたいと思います。

◎とにかく褒める。良く解けていた問題は褒める!!
◎間違える前にヒントを出す。知っていることを教えるとそのことに対してキレるので、教える前に「何が問題を解く妨げとなっているのか」をまず聞き出し、そのポイントのみを教えて、あとは自力で答えを出してもらう。
◎そして、できるだけマルをしてあげる。
◎文法用語を用いた、簡潔で理論だった説明をこころがける。(これは本人の性格がそういうのを好むためです。反対にそういうのがダメな生徒さんもいます。)

あんまりにも彼の態度が悪いので、わたしの方もストレスがたまっていたし、それだけに彼のことを大目に見てあげられなかったのですが、要するに彼はまだお子ちゃまなんですよね、きっと。そう思えば少し気持ちも楽になります。

そして、浪人生という立場上、なかなか周りから認めてもらったりする機会がないのかもしれません。要するに、認めてほしい、褒めてほしいという気持ちが強いのかもしれません。

だからできるだけ褒めて、マルもたくさんつけてあげて、自信をつけて、毎回帰っていってもらいたいと思います。なんだか子供に対して接するような態度ですが、きっと結局のところ、誰にとっても達成感って必要だし、「できたらうれしい」という気持ちには年齢は関係ないのではないかなぁと思ったのです。

ところで、この『褒める』という発想は、『「運命の人」は存在する』という本から得た発想でもあります。この本は恋愛でいう「運命の人」のみならず、「あなたの人生を好転させてくれるきっかけを与えてくれる人」との出会いについて語られています。

そこで必要な要素が、次の3つ。
積極心、楽天心、そして愛他心。

この愛他心という言葉は、他を愛す心であり、具体的には以下のような行動をすることです。

1)相手の存在価値や自己重要感(自分は重要な人間であると思う気持ち)を認め、それを褒める発言をする。
2)相手の関心事を大切にする。
3)相手の良いところは大げさなぐらいに褒める。
4)人に対して許容心を持つ。(少しぐらいの間違いは見逃してあげる。)
5)笑顔を心がける。鏡の前でニッコリ笑い、自分の笑顔を身につける。
6)人には親切に。援助・奉仕・教示・紹介の4つを心がける。ただし、直接的な見返りは期待しないこと。

なかなかおもしろい本です。ご興味をもたれた方はぜひお読みください。







2006年07月09日 『「ありがとう」の大切さ』


最近、「ありがとう」という言葉にはパワーがあるんだ、と実感しています。

塾でいろいろな生徒さんに接していると、まあわたしも人生修行の足りない人間ですので、生徒さんの態度によっては「ぷつっ」ときそうになったり、また、塾長や生徒さんからの突然の、無理難題を含む要望に蒼白になったり(←青くなったところで、結局ひきうけざるを得ない^^;)・・・と感情の起伏の激しい日々を送っています。

そんなカッカする頭をクールダウンしてくれるのが、生徒さんからの「ありがとうございました」というひとことなんです。

最近たくさんの生徒さんが、授業の終わりに「ありがとうございました」とか、「さようなら」とか言ってくれるようになりました。

これは本当に、とてもとてもうれしいです。ムカッときてしまっていたときでも、疲れて精根尽きた気分のときでも、それでも、「次回からも頑張ろう!」という気持ちになって、力がわいてくるんです。

「ありがとう」がもたらしてくれるパワーってすごいんだな、とあらためて感じています。

自分自身を振り返ってみると、普段はなんとなく過ごしてしまっているけれども、やはり自分の周りにいてくれる人たちや、感謝を伝えるべき人たちには、笑顔でさわやかに、でもイヤミなく「ありがとう」を伝えられる自分でいたいと思いました。

生徒さんからあらためて教えられた「ありがとうの大切さ」でした。







2006年10月10日 『受験生へのメッセージ』


わたしが英語を教えている生徒のなかに、少し問題のある生徒がいます。

彼の名は、A君。中学3年生。受験生だというのに、A君は授業中はいつも睡眠しています。少し目を離すと、シャーペンを片手に、ピクリとも動かず眠る彼をむりやり起こして、伸びをさせて、ヒントを出しまくって、むりやり問題を解かせて・・・そんなふうにして、授業を進めています。・・・英語力より、かなり体力のいる授業です。

ある日のこと。A君のあまりにもやる気のない態度を見かねた塾長が、わたしに言いました。
「bonaさんに怒られれば、A君も目覚めるんじゃないかしら?」

塾長いわく、A君は「優しい先生」を希望していて、わたしはその「優しい先生」なのだそうです。そんな優しい人から怒られれば、効果があるのではないか・・・とのこと。

う~ん・・・。わたしは考え込みました。はたして「怒る」ことはいいことなのだろうか、と。「怒る」ことが人に与えるものは、「恐怖」です。
「恐怖」を原動力に学ぶことは、彼のためになるのだろうか、と。

わたしはA君には、恐怖を避けるためではなく、自分の将来のために、勉強して欲しいのです。

1週間ほど、どうすればA君がやる気をだしてくれるか考えました。そして、はたしてA君に伝えるヒマがあるかどうかはナゾですが・・・いつも頑張っているけどへこたれそうなときもある、そんな受験生みんなへのメッセージを考えました。

* * *

あなたは英語が好きですか?・・・ん、何?英語だけじゃなく、数学も嫌いだと?!まあ、英語も数学も、難しくて嫌だよね。

そういえばわたしは、小中学生のとき体育が嫌いだったんだよね。小学生の頃から運動が苦手で、マラソンをやると、かならずビリ。ビリになると目立つし、足が遅いのをみんなに知られるのがイヤで、つらかったなぁ。

わたしはね、運動が苦手なくせに、中学ではバドミントン部に入ったんだ。
毎日の練習が、めちゃくちゃきつかった。学校の敷地を5キロ走って、腕立て伏せと腹筋とスクワットを50回ずつ。それからやっと、ラケットを持って練習が始まるんだよ。

でも、運動が苦手なわたしは、いくら練習を頑張っても試合に出してもらえなかったんだ。だから、3年間ずーっと補欠。それでも毎日5キロ走っていた。成果も出ないのに、何のためにこんなことやってるんだろうって、何度も思ったよ。

でもね、ある日すごいことに気づいたんだ。

中3の持久走大会でのことだった。
その年もわたしは、自分のタイムに全然期待はしていなかった。だって毎年、最下位に近いタイムだったから。でも、走り始めて気づいた。わたしはかなり速く走ることができていたんだよ。途中、運動神経が良い友達を、何人も追い抜いた。わたしが彼女たちよりも速く走れるなんて、とても意外だった。

その年のわたしの持久走の成績は、女子130人中50位。1位には程遠いけれども、最下位付近の記録しか取ったことのなかったわたしは、とてもうれしかった。

変化は他にもあった。9秒台だった50メートル走のタイムは8秒台になり、運動会の徒競走では3位を取れるようになっていた。結局わたしは、部活では一度も試合に出られなかったけど、得たものもあったことに気づいた。毎日の練習が自分の体を強く変えたということに、気づいたんだ。

苦手なことに取り組むのは大変なことだし、結果が出ないと投げ出したくなるときもあると思う。でも、勉強をすることって、走ることと同じことなんだと思うんだ。つらくても、つまらなくても、投げ出さずに毎日続ければ、1年後、2年後、3年後には必ず今の自分よりも強くなれる。

わたしはあなたに、今の自分よりも強い自分を「自分の力で」つくる経験をしてほしいと思う。

生きていると、もう英語や数学を勉強しなくていい大人になっても、英語や数学と同じぐらいか、それ以上にしんどい出来事に出くわすことがある。そんなとき、自分の力で強い自分をつくった経験がある人は、「頑張れば絶対に乗り越えられる」と思えるんだよ。

だから、あなたに頼みたいんだ。
今あなたがつらく感じていることから逃げずに向き合い、それに取り組んでいってみてほしい。英語でも、数学でも、受験でも。目をそらさずに毎日、取り組んでみてほしい。

努力は必ず実を結ぶ。そして必ず、今よりも強くなった自分に出会えるときが来るから。







2006年11月02日 『bounce - 跳ね返る』


実は、物心ついてから大学卒業までの間、一度も「教師になりたい」と思ったことがない。

大学では教員免許も取らなかったし、塾講師や家庭教師のアルバイトすらしたことがなかった。

理由は、何よりも「教師という仕事は自分には向いていない」と思いこんでいたからだ。わたしは内省的な人間で、みんなでワイワイ騒ぐより、1人でブラブラしている方が好きなようなタイプだった。そんな感じだから、先生という人に備わっているべきリーダーシップなんて持っていなかった。

そんな性格は、今でもたいして変わっていないと思う。
けれども、ひとつ変わったのは、今わたしは人にものを教える仕事をしている、ということだ。

これって本当に不思議だ。自分が一番考えていなかった場所に来てしまったような感じ。ちょうど、まっすぐ一カ所をめがけて投げたはずのボールが、思わぬところに当たって跳ね返り、思ってもみなかった方向へ行き着いてしまったような感じだ。

もしかしたら、人生には、こういう不思議な面があるのかもしれない。

わたしの場合は、一直線に別の道を目指してきて(まあ今も目指しているのだが)、当面の仕事として、とりあえず英語を教えはじめた。ところが、その「とりあえず」が、妙に居心地が良いのだ。

とはいうものの、ときどきもともとの「ひとりが好き」な面が顔を出し、教えるのが妙に億劫な日がある。

でも、そんなとき、生徒の顔が浮かぶのだ。

わたしから教わりたい、といってくれる生徒の顔が浮かぶ。
頑張ってついてきてくれる生徒の顔が浮かぶ。
反抗期真っ只中で態度は生意気なくせに、部活で疲れ果てているくせに、毎週律儀に顔を出す生徒の顔が、浮かぶ。

そうすると、どうしても、やっぱり頑張ってしまうのだった。

結局のところ、ボールが跳ね返った先にたまたまあった「講師」という仕事を、わたしはとても好きなのかもしれない。







2006年11月16日 『「その時」が来るまで』


11月も半ばを過ぎました。
この時期受験生は、さまざまな表情を浮かべ塾にやってきます。

いまわたしが担当している中3生は、今週期末テストを受けています。そのなかの1人、夏期講習から塾に来はじめたSさんは、昨日の授業中、何度も大きなため息をつきました。

Sさんは、クールな女の子で、感情を表に出さないタイプ。というか、反抗期もあるのでしょう、なんというかかんというか、あの思春期特有の反抗とナマイキさを出すことも多々あるような生徒でした。(例えば、話しかけたときに、「・・・ハ?」と言い返してにらみ返す、みたいな感じのナマイキさですね^^;)

そんなSさんが、何度目かのため息をついた後、困ったように言いました。
「・・・全然自信がないよ~。何度やっても間違えてばっかり。」

Sさんがわたしに、自分の不安さを打ち明けてくれたのは初めてのことでした。そしてわたしは、Sさんが自分の素直な気持ちを話してくれたのが、とてもうれしかったのでした。もしかしたらSさんは、わたしを少しだけ、受け入れてくれたのかもしれません。

塾講師を始めて、せっかちだったわたしは以前より少しだけ「待つ」ことができるようになりました。

それは、生徒の学力の進歩をじっくり待つこと。
そして、生徒との関係が少しずつよくなるのを祈り、努力し、待つことです。

勉強は、何もせずにいきなり結果がでることはない。けれども、やるべきことをやり続け、時機が来るのを待つ。そうすると、ある日、結果が出るのです。

同じように、いきなり最初から気の合う生徒もいない。
最初はぎくしゃく、お互いに緊張したり。
ムカッときたり、反省したりしながら、待つ。
そうするうちに、何ヶ月もかけて、今週もあの子やこの子に会うのが楽しみになり、あの子やこの子のちょっとした表情や、気持ちの変化に気づくようになったりします。

わたしは、英語を教えることを通じて、逆に生徒からたくさんのことを教えてもらったのでした。

最近気持ちがぐらぐらして、今年の受験シーズンが終わったら、講師を辞めようかなと思ったりしていました。

でも、講師をすることで得られる、たくさんの気付きや、喜びや、自分自身の成長。それらについて考えると、わたしは決してこの仕事を辞めてはいけないような気がしています。この仕事を辞めると、自分の中に育ってきた大切な何かが、消えてしまいそうな気がするのです。

わたしは、いろいろなことで焦っていたのかもしれません。
でも、講師として生徒を「待つ」ことができたように、わたし自身の人生のいろいろなことを「待つ」ことも大切なのかもしれません。
やるべきことをやり、あとは時機が来るのを待つ。
努力したことの結果は、「その時」が来れば、自然と姿を現してくれるのではないかな・・・と、ふと、思いました。

そう考えたら、なんとなく、肩の荷が下りたような、楽な気持ちになりました。







2006年11月22日 『cannibalism』


"cannibalism"という単語の意味をご存じですか?・・・その意味は、「共食い」。

のっけから不気味な始まりで恐縮でございます。それで、なぜ「共食い」という言葉を引用したかと言いますと、昨日の授業での出来事に関連するからです。

B君は、現在中3生です。15歳にして「20世紀、もっと楽しみたかった・・・」という名言を残した生徒です。中2の頃からB君は、目を離すと寝てばかりいました。そんなB君を起こし、伸びをさせ、また寝るB君を起こし、伸びをさせ・・・(以下繰り返し)

B君は、中3になると、おしゃべりになりました。
席に着くやいなや、「もう無理です。」
問題を解くよう指示すると、「この問題やったら、寝ます。」

わたしが巡回するたびに、「眠い。眠い。」とウダウダを繰り返すため、「一日何時間寝ているの?」と尋ねると、胸を張って「9時間!」「・・・・・・じゃあ、寝過ぎなんじゃない?^^;」と言うと、「まだ足りない・・・12時間は寝たい。」・・・と言ってまた寝ようとする。それを起こすわたし。(以下繰り返し)

ある日B君は、わたしにこう聞いてきました。
「先生。先生は、今まで努力して勉強してきたんですか?」
・・・B君だって受験生だ。もしかして、わたしに励まして欲しいのかもしれない。そう思い、金八先生さながらに、わたしはこたえました。
「そうですよ。わたしも嫌な勉強でも頑張って、今までやってきたんですよ。だからB君も頑張ってくださいね!」

するとB君は、こともあろうに、こんなことを言ってきやがりました(失礼)。

「ふーん・・・じゃあボクは、そうしないようにしよ~っと!」

・・・ずっこけたわたしが、「ちょっと、わたしの人生を否定しないでよ~」と言って思わず笑ってしまうと、B君も、さもうれしそうに笑うのでした。

そんなわけで、B君を教える日は、わたしは英語講師と言うより、言うことをきかないやんちゃなサルがたくさんいる、動物園の猿山の飼育係のような気持ちになります。いえ、きっと実際そうなんだと思います。

そんなB君、昨日は、関係代名詞を使って英文を作ることになりました。「わたしは~な・・・を持っています。」という文章を作れ、という問題でした。

B 君: 「わたしは猫を持っています、にしよーっと!」
bona: 「いいんじゃない?でも、関係代名詞を使ってどういう猫なのかを説明してね。」
B 君: 「じゃあ、『猫を食っている猫』にしよ~っと。」
bona: 「・・・それ、怖いよ。」

そう言ったあと、わたしが笑うと、B君は、本当に無邪気に大声で笑い始めました。アハハハハ、と明るく笑うB君を見て、わたしは思いました。B君は、志望校に受かろうと、受かるまいと、きっとどこへ行っても幸せに暮らせるだろう、と。だって、「猫を食っている猫」と自分で言っただけで、あんなに幸せそうに笑っているのだから・・・。

ちなみに。チャイムが鳴ると、B君はさっさと英文を仕上げました。英文は、こうなっていました。

I have a cat that eats a lot. (わたしはよく食べる猫を飼っています。)

・・・なんだ、ちゃんと書けるんじゃない。そしてふと、気づきました。もしかして、B君は、わたしで遊んでいるだけなんじゃないだろうか、と。

さて、本日のおさらいです。「共食い」は、英語で言えば"cannibalism"です。







2006年12月19日 『norovirus - ノロウイルス』


今日の授業でのこと。いつもおしゃべりなD君が、誇らしげに話しかけてきました。

「せんせ~、ボク、ノロウイルスにかかったんですよ!」
「え、大丈夫なの~?!」と言いつつ、内心「頼むからうつさないで~!」と思ってしまったりする、精神的に未熟な私・・・^^;。

皆様はお変わりなくお過ごしですか?私はノロウイルスにこそ感染していませんが、しゃべろうとすると咳き込んでしまって大変です。授業中も咳き込んでばかり。不審な様子で私を見上げる生徒に、「ごめんねぇ、かぜひいちゃってねぇ。ゴホゴホ・・・」とごまかしています。(・・・というか、ごまかしになっていないような^^;。)

さて、受験シーズンもいよいよ本番といった様相を呈して参りました。今週末からは冬期講習が始まります。

私立の上位校を目指す生徒さんにとっては、公立で学んできた英語との違いに直面せねばならない時期。過去問に取り組む生徒の姿を見ていると、「そういえば、去年この過去問を解いたKさんも、苦戦していたっけな」・・・などと、去年教えた生徒の顔が思い出されてきます。

と、そんな折、高3の生徒さんが、とある大学の過去問を持ってきました。見ると、それは去年受け持っていた高3生のI君が受験した大学でした。

I君・・・ともにセンターの予想問題を解き、入試直前は、問題を解くよりも時間配分の話をしたがった生徒・・・顔は「おぎやはぎ」の「おぎ」に似ていた・・・それはよしとして、結果としてI君は、志望大学の2部に合格し、入学したのでした。

去年の私は本当に新米の講師で、いろいろと模索しながら体当たりの指導をしていました。そういう中で、I君にはたいした指導もできずに過ごしてしまったような気がします。2部に進学を決めたと聞いて、素直に喜んで良いものかどうか、複雑な気持ちになりました。

考えてみれば、英語の講師を始めて一年半弱。
いろいろな学年の、さまざまな生徒さんに英語を教えたことで、逆に、文法面で自分に足りなかった知識を補強することができた気がします。まさに、生徒に育ててもらった、ということでしょう。生徒のみんなには、お礼を言わねばなりません。

去年の糧を生かし、より良い指導ができるように、今年の受験も頑張ろうと思います。

余談ですが・・・近頃、何でもかんでも文法的に説明をしようとする癖がついてしまった気がします。例えば洋楽を聴いていても、曲を楽しんでいるはずなのに、いつのまにか、

「う~ん、ここで使われているのは原形不定詞ですな。そしてこの部分はhear + 人 + ~ing。」

というような感じで、曲そっちのけで、ひたすら文法的解釈をしていたり・・・^^;







2007年01月23日 『サクラサク!』

今日は、「よかった~!」と、ほっと一息つきました。

2人の生徒が、私立高校に合格してくれました!
まだ本命校が残っていますが、合格校があれば気持ちも安定して勉強に取り組めるでしょう。気を抜かないように注意もしなければならないけれども、とにかくおめでとう~!

今年の生徒さんには女の子が多いので、ここ最近気をつかって大変でした。昨年は男の子の生徒が多くて、男の子は割とクールに入試に立ち向かっていた印象があるのですが、それに比べて、今年の女の子は繊細でした。

先週などは、入試直前のため、みんなの表情や言動が結構ピリピリしてしまっていて。塾講師2年目のわたしは経験値が低いため、どうしたら良いか手探り状態でしたが、とにかく今まで頑張ってきた自分を信じてね、と伝えたものでした・・・。

塾講師という仕事。「疲れたなあ」と思うことも多いです。

でも、自分以外の誰かが頑張ってくれるよう祈ったり。
その子達が結果を出してくれるととてもうれしかったり。
そんな気持ちを味わえるのは、本当に幸せなことです。
生徒のみんな、ありがとう。

明日からもがんばろう!







2007年02月02日 『かわいくないヤツ』


今日の塾での出来事ですが・・・

生徒のN君は、高校1年生。中3生の時から通ってきていて、彼とは結構長いつきあい。・・・そんなN君は、かわいくない。

N君は、にぎやかな外見と、社交的な話術を持つ男の子。でも、そんな外面とは裏腹に、ものすごく繊細なハートを持っています。すぐ、いじける。何かが気に入らないと、カチッとスイッチが入り、怒る。しかも、いじけた感じで、感情を内に秘めて怒る。

今夜もその通りで、何が気に入らないのか、ずっと不機嫌。わたしには自分の感情を出しやすいのか、不機嫌なまま。嫌な空気で、授業終了。

で、わたしが「N、ゆるさ~ん!!」と思ったのは、その後のN君の男の講師さんへの態度。わたしに対してはムクレ続けていたくせに、次の時間の男の講師さんには、急にオトナな態度を取りだしやがった・・・もとい、とりだしました。くっそ~・・・もとい、くそぉ(変化なし。失礼いたしました)。

そういえば、去年教えていたF君もそうだった。わたしに対しては超クールな態度をとり続けたくせに、その男の講師さんには素直だった。無邪気ささえ見せていた・・・。「男同士が羨ましい・・・」と、その時も思ったのだけれども。そして、その男の講師さんをちょこっとライバル視したのだけれども(相手はいい迷惑?)。


高校1年生。難しいお年頃なのかもしれないけれども・・・それにしても、かわいくないヤツ!

でも、ここではぐちってしまいましたが、結局のところ、どの生徒もみんな、わたしの弟みたいなもんだとは思っているんですよ。時にはものすごくかわいくないけど、それでいて、かわいいヤツらなのです。







2007年02月13日 『感慨深い』


本日、塾の授業の合間の、休み時間のこと。

「bona先生~」という声。

それは、中2の夏から現在まで英語を担当してきた、中3の女の子でした。彼女は先週末、第一志望校の私立高校の入試を受けていたのですが・・・。

「合格しました!」

・・・本当に、本当にうれしい知らせ。

実は、わたしは彼女の結果がとても心配だったんです。なかなか難しくて名のある高校の受験だったこともあり、その上、過去問の結果はけっこう悲惨だったので・・・。「もしだめだったら、何と言って励まそう」・・・なんて悩んでいましたが、そうならなくてよかった!

いつも明るくて、頑張り屋の彼女。どんなに多く宿題を出しても、いつも明るく頑張ってくれました。きっとその頑張りが通じたんだな。良い結果を聞けて、わたしは本当に幸せでした。

生徒達の進路が決まるのはとてもうれしいけれども、この子達とももうお別れか・・・と思うと、ちょっぴり寂しいな。

みんなが素敵な未来へ羽ばたいていってほしいなぁと思います。

ところで明日はバレンタインデー。想いを告げようとしている全国の女子、頑張って(^_-)-☆!

ちなみにわたしは、女の子の生徒から、チョコをいただいちゃいました。バレンタインデーに、チョコレートをもらったのは初めてでした・・・とってもうれしかった。・・・けど、複雑。だって、わたしも女の子だもん・・・なんてな^^;。







2007年03月01日 『ありがとう - 最後の授業』


わたしの働く県では、公立高校の入学試験がすべて終了しました。あとは1週間後の合格発表を待つのみ。生徒のみんなは、本当にお疲れ様でした。あとは残りの中学生活を楽しんで、高校生活に備えてほしいです。

そして、わたしにとっても区切りの時がやってきました。この入試終了を機に、塾講師を辞めることにしたのです。

2月末。

今まで教えてきた生徒達との最後の授業が、次々と終わりました。今までいろいろなことがあったけれども、教えることより、むしろ教わったことの方が多かった気がします。

最後の授業が終わったとき、生徒の一人が、手紙をくれました。
内容は秘密ですが・・・本当にうれしい手紙でした。言葉にできない感じ。一生大事にとっておこうと思っています。

何人かの生徒が、bona先生と出会えて本当に良かった、と言っていたのよ・・・と、塾長から聞きました。本当に光栄な言葉です。そんな言葉をもらえる仕事って、世の中にいったいいくつあるでしょうか?

わたしはこれからも、教える仕事を、きっとやめられないと思います。でも、今は小休止して、自分の夢に向き合い、新しい仕事に挑戦することにしました。・・・なんだかすぐに、また先生を始めてしまう気もするけれども・・・^^;。

生徒のみんな、今まで本当にありがとう!
みんなの未来にたくさんの幸福が訪れることを、祈っているからね。

わたしも、塾講師から卒業。
自分で決めた事ながら、なんだか寂しい気持ちもする、今年の春です。









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