2011/10/15(土)08:20
遅くなってしまったが...
与謝野晶子訳『源氏物語』全巻を読み終わったのは9月の末であった。半月も経ってしまうと新鮮味が薄れてしまうが、
元々この物語は盛り上がって終わるようなものでもないことがわかったのでかまわない。短編の集まりでストーリーが重複したり一貫性がなかったり、長編の物語としては完成していないと思う。しかしながら、なかなかいい巻もあり駄作の巻もあり、紫式部さんおひとりで書き綴ったのではないだろう、という研究は古文の学者にまかせるとしても、通して読んでたいへんよかったのである。
なんといっても日本の(誇れる)古典文学である。
訳とはいえ知らないよりは知っておいたほうがよい。創造物なので光源氏の身勝手な性格も、女性達のしたたかさも許してしまおう。
それよりもいにしえも現代同様、嫉妬や嫉みによるいじめや無視は絶え間なくあるよなーと思う。思い通りに行かないと悪霊となって祟るなど、ほんとに身につまされる源氏物語の表現である。
いや、現代は霊の如き見えないものではなくて、暗躍している実物が見えるのでなお恐ろしいかも。うっかりしているとどこで何者が悪をたくらんでいるか知れたものではない。だから
自分が怨霊となって他人を羨むのだけはつつしみたい。
つまり、冷静にはっきりと言いたいことを言い、話し合い議論を重ねていくということを心がけたいとしみじみ思う。なかなかそうはいかないのだが。つい熱くなるのが人間の困るところ。