カテゴリ:読書感想
倉橋由美子「交歓」がよかった。なんだかなめるように読んでしまった。(ちょっと下品かしら)
それほど私の趣味にあっていたのである。というよりこの私の年齢にしてわかる本なのかもしれない。 しかし、文学が好きな方には是非お薦めしたいと思う一冊に間違いない。私が太鼓判を押す。 感想はちょっと趣向を変えてリンクしていただいているパティさんのサイト「TOMO’S NOTE」に投稿させてもらうということをした。 倉橋由美子といえば昔1975年、横浜に住んでいた頃に取っていた朝日新聞の連載記事のひとつが忘れられない。 「神奈川50年 文学の風景」として神奈川を舞台にした文学作品、住み付いた作家が与えてくれたもの、感じたものの意味を探る、というコラムだった。沢山の作品、作家の中で倉橋由美子の記事に私は瞠目した。 伊勢原市大山のふもとに移り住んだ倉橋さんは、筆を絶っていたのだ。 1960年「パルタイ」でデビュー、61年「女流文学賞」62年「第四回田村俊子賞」などの文学賞を取り、絶頂だったろう、なのに「夢の浮橋」を書いた後「私にとっては育児も小説をかくことも片手間には出来ない」と休筆。 「パルタイ」の読者が「議論をしたい」と訪ねてきて、子育てに夢中な倉橋さんに「堕落だ」と言ったそうな。 違う違う、今にして思えばそれも倉橋由美子流の信念なのだ。 そのコラムが印象的だったのは、文学作品が読めなかった私の育児期間とだぶっていたく共鳴したからだ。(私は単に読者たり得なかっただけだから、次元が違うが) 「交歓」はその後の作品である。もう少し前に読みたかった。亡くなってしまったではないか! 桂子さんというのは「夢の浮橋」「城の中の城」「シュンボシオン」「ポポイ」というシリーズの主人公である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書感想] カテゴリの最新記事
|
|