やっぱり読書 おいのこぶみ

2019/04/04(木)14:28

『花氷』松本清張

読書メモ(479)

粕谷というのは労働が嫌い、人に使われるのが嫌、だが目端が利くので自信がある、職をあれこれ変えながら、挙句に詐欺まがいのことをしてしのいでいる男。今は不動産ブローカー。国有地払い下げで儲けようと欲に駆られている。 作者は描いていないがきっと姿かたちのいい男なのだろう、今でいうイケメン。女性にはもてるから3人の女性をうまく操り(だから氷の中に凍らせた花=「花氷」にたとえられて)利用しながら、金融界、政界、官庁にと必死に画策するストーリー展開。悪なのに惹かれてしまう女性もだめだなあと思うが、また、その女性に操られる男性も哀しい。 清張さんだから結局悪事は成功しないのだし、書かれたのが1960年代、昭和どっぷりで古めかしいとはいえ、近々でも似たようなことはありそうなのが読ませるというもの。 ***** 清張作品はたくさん読んでいるけれども、まだまだ読んでいないものがたくさんあるのに驚くのだが、と共に60年代当時の清張さんの創作活動がすごかったのだと知る。 ​

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