2023/08/31(木)10:22
8月の読書
短編小説の妙味
このところ国木田独歩とチェーホフの短編を読み返している。
すごいなあ、ぎゅっと圧縮された人生模様、到達感、達成感の文章。
両作者とも早世、独歩37歳(1908年)チェーホフ44歳(1904年)で、その晩年に円熟したとある。
だからなのか?
国木田独歩
『武蔵野』(新潮文庫)
『牛肉と馬鈴薯』(新潮文庫)
『運命』(岩波文庫)→ 作品が『牛肉と馬鈴薯』とダブル部分はある
チェーホフ
『かわいい女 犬を連れた奥さん』(新潮文庫)
『チェーホフ・ユーもレスカ 傑作短編集 1』(新潮文庫)
『チェーホフ・ユーもレスカ 傑作短編集 2』(新潮文庫)
読み比べているのだが「いづれがあやめか、かきつばた」
晩年の作品集は、国木田よりチェーホフがすこしはやく亡くなっているので、発表も少し早かっただろうが、国木田に影響があったのかどうか?ロシア文学と日本の文学の夜明け、明治時代にそんなにも伝わるのが早かったとしたらすごいなあ。
ともかくも、人生の機微をもりあげ、解剖していく文章は、胸を撃つこと、なおそこに詩心を加味されて、なんとも心揺さぶられる。
特に好きな(印象濃い)短編は
国木田独歩
「酒中日記」「竹の木戸」「忘れ得ぬ人々」「武蔵野」
チェーホフ
「イオーヌイチ」「犬を連れた奥さん」「谷間」
後、長編2冊(夏休みの読書モードなり)
辻邦生『夏の砦』
倉橋由美子『アマノン国往還記』
はやりのデストピアの世界かユートピアか?と読みましたが、1986年に書かれた作品なので、その後を過ごしているわたしたちには、現実とダブりました。
著者もこの小説で言っています「食べても食べても飽きないお菓子」さらさらと読めたのはさすがです。
夏よ、さらば!